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2010年5月

2010年5月 1日

赤ひげ

長坊連呼でボロ泣き.(ここ,泣いてる人多かった)

この前にお別れに来る長坊がいじらしいじゃん.いいところに行くんだと言ってるくせに,全部知ってるんだもん.今日の姉ちゃん,本当に綺麗だとニッと笑った後でひどく暗い顔するんだもん.止めろ,追いかけろ,って思ったわ.

ちゅうわけで,『赤ひげ』.黒澤映画最後の白黒作品であり,最後の三船敏郎出演作である.

長い映画で,いちおう,新出去定(にいできょじょう)こと赤ひげと保本登という養生所の医師師弟の関係を軸に,他の人々の関係やエピソードも語られる.いちおう,保本主軸はぶれないので『どん底』みたいに主人公不在という感じはさほどしない.

時代劇に分類すれば分類されるんだけど,医者だから三船さんはさほど暴れない.が,「うーむ,これはひどい」「医者ともあろう者がこんな乱暴なことをしてはいかん」の場面は「いやいや,あんた,何言ってんのー?!」と思った(笑).もしかしたら,人体分かってる分,質(たち)が悪いかもしれない.

赤ひげ [DVD]

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2010年5月 2日

悪い奴ほどよく眠る

うわー,本気でbad sleep wellだったー!!

あんまり可哀相で救われなかったからかしらんけど,妙な気分になった.つまり,女の人のせいで3人殺されたわけだけど,この女の人は狂っただけで,それでいいのか,それで許されるのか,それで悲劇の人の側になっていいのかってことなんだ.板倉曰くの通り「騙されただけ?!」と詰りたくなったのだ.そりゃ,状況把握しとらんからかしらんけど,でも,純真であることが罪に見える.

ミステリー・サスペンス仕立てで全編はらはらしっぱなし.だって,どう転ぶんだかわからんのだもん.状況は粛々と移り変わる.刻一刻と変わるんだけど,それが整然と静かに移って行くようにも思う.

死体が一つも映されない.にもかかわらず,恐ろしいし悲しい.さっきまで生き生きと動いていた人物が,口笛吹いて祝杯まで上げそうだった人物がもう舞台から降りてしまったという喪失感がやりきれなくてかなわない.

板倉はいい奴だったなあ.彼,この後,どうするんだろう.

それからね,結局,本当の黒幕って姿を見せないんよね.大臣か首相クラスかな.こればかりは副総裁しか知らなくて,嗅ぎ付けてはいなかったんじゃないかなあ.

役人が上司をかばう気持ちがよくわからん.一種,やくざが組長かばうのみたい.でもさ,その場合,ムショ入りしたら箔が付くとか出てきたら面倒見るとかありそうなもんだけど,役人なんて泥がついたら生きていたとしても仕事に就けないと思うんだがなあ.

背広姿で髪をしっかり整えてる三船さんはあんまり見たことなかったから,新鮮でした.しかも,秘書だから何かと人にかしづいてるのも珍しい.うーん,ぜんぜん違って見える.......あれ?この時三船さん40歳じゃねぇか?うわー,全然疑問にも感じずに新婚場面見過ごしてた!役者さんって本当にすごいねえ.三船さんって老けて見える方かなと思っていたから余計驚いた.

大阪にまで黒澤映画を観に行った理由がこの映画だったんですが,観られて良かった.現代劇サスペンスで比べると,私は『天国と地獄』よりこっちの方が好きだ.黒澤映画って題名がすごく印象に残る物がいくつかあるけど,この題名が一番好きだな.観てないけど『虎の尾を踏む男達 』もいいなあ.

悪い奴ほどよく眠る [DVD]

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2010年5月 5日

荒野の素浪人

三船さんの素浪人物がもっと見たいーとは思ったんですが,これはちと迷った.だって,何でか知らんけど主役格に五連発銃撃つ人おって,「外国の西部劇ドラマを時代劇として仕立てたような雰囲気」っちゅうんやもん.マジかい?!

そんで,おそるおそるDVD第1巻借りてきて(それでも観るんか)観てみたら.

え.いいの?一話目からこんな複雑な人間模様で?!

いや,主役三人組は別に複雑じゃないよ.でも,その回その回の登場人物とストーリーがなんとも深くて腹の内にシンと来る.かと思えば,始まって10分ぐらいで悪代官切り捨てて思わず「早すぎるだろう!」と叫んでしまった回とか,ともかく展開が読めん.それで,思わず,一気観してしまった.

確かにばんばん銃が出てくる辺りは西部劇なのかもしれん.代官所やら藩やらが,種子島何丁と揃えている.いや,そりゃまずいだろ取り潰しだろってぐらい持っている.この時代(文化年間)の時代劇でこんなにバンバン鉄砲撃ってるの初めて見た.

スタッフや脚本も「お?!」と思う人が関わっていて豪奢だ.

第1シリーズと第2シリーズ(第2シリーズDVDは『新・荒野の素浪人』という題名になっている)で雰囲気が違っている.私は割と楽しげな雰囲気の第1シリーズが好きだけど,見終わったあとに「うーん」と心ならずも唸ってしまうほどの話は第2シリーズに多い.語り草は第2シーズ第6話『影を斬る』.峠の旦那の台詞が1つっきゃない.でも,どんな人生歩んできたのかなあと想像を巡らせずに居られない.脚本は黒澤映画でも度々脚本やっている橋本忍氏でした.

でも,第2シリーズのDVDは途中までしかでてないんだよ.何その蛇の生殺し状態は!?一度出すと決めたなら全部出してくれ,DVD-BOX!買うから!もう買うから!

時代劇専門チャンネルでたまに最後まで放送しているらしい.もし次に放送してくれるとしたら,アンテナ買ってスカパーに加入してしまうかもしれん.

以下,登場人物所感.

峠九十郎(とうげ くじゅうろう:三船敏郎)

最初なんて読むのか分からなかった.他の二人より年上だしリーダー格なので,二人からは「峠の旦那」と呼ばれている.名乗るときは,「とうげのくじゅうろう」と言う具合に「の」が入る.

獲物は同田貫.だよねー.私はこの人の刀を納める様子がものすごく好きだ.血振るい必ずやるんだよね,この人.あと,いつもではないんだけどたいていは納めきったときに人差し指と中指が鍔に残っていて,それが好き.どの回か忘れちゃったけど,この血振るいから納刀の一連の動作がすんごく奇麗な回があって,何回も観てしまった.

そして,最終兵器ッぷりが半端無い.いや,どの時代劇だって主人公はそりゃまあたいてい多かれ少なかれ最終兵器だ.ただ,この人の場合,その印象が別格.他の時代劇だと別に「最終兵器」って言葉は浮かびもせずにすんなり殺陣を観てるんだけど,『荒野の素浪人』では物語最後の方で峠の旦那出て来ると,知らないうちに「最終兵器投入......」ってつぶやいてしまう.もう出てきたら相手が盗賊集団だろうが代官所の役人だろうが壊滅させるハカイダー.

まあ,他の二人に接近戦戦闘能力が無いに等しいからかもしれない.それに,『百人斬り 悪党の砦』って回のせいかもしれない.なんせ,本当に100人斬ってた.いや,もうマジでマジで.100回刀振るだけでだって大変だろうに,何回か弾かれてるからもっと振っているはず.斬殺音数えてたけど途中で分からなくなった.

基本的に堅物で,女性のあしらいは苦手.風呂に入っているときに混浴だったので女性が3人ほど入ってきたら出るに出られなくなってた.女性と手鎖で繋がれる羽目になったとき,他の二人に散々からかわれて,鎖取れたらおめぇらの顎外してやる!と怒っていた(本当にできそうで怖いが,二人は笑うばかりだ).

かと思えば次郎吉に珍しく頼み事して「頼んでんだよ!」と言ってるところなんかのように,時々妙な可愛げを見せてくれる.

あと,峠のおじちゃんは子供好きなので(普段仏頂面なのに惜しげもなく笑顔を振りまく),子供を虐めたら壊滅必至である.

鮎香之介(あゆ きょうのすけ:大出俊)

峠の旦那からは「五連発」.次郎吉からは「鮎の旦那」もしくは「五連発の旦那」.なぜなら得物が五連発銃だから.何故?ちなみに銃身は白い.

このところの三船フィーバーで古い映画見ては「うへぇ,この人若ぇ!」と叫んでいたもんですが,今回叫んだのはこの方でした.

基本は育ちの良さそうな感じの女たらしの優男っちゅう感じだけど,脚本家によって性格が若干違う.短絡的性格のように描写されてる回よりも,それなりに達観している感じの方が自分のイメージには合ってるなあ.

けっこう,敵方に雇われて出てくるが多いけど,峠の旦那を見かけると,あっさり無条件に寝返ってくれるから無問題.峠の旦那は金にならんことばかりしてるんだから,それに味方するこの人もたいがいお人好しだよなあ.

この人の中距離戦闘能力(いちおう,種子島より射程が短いと言っている回があるので「中距離」に分類する)は大変便利だが,接近戦能力は無いに等しい.得物が得物なので,5回撃ったら弾込めが必要だし,剣術については本人曰く「まんざらではない」らしいんだが,そもそもこの人の持ち歩いている刀は竹光だ.いちおう,自分一人だけなら切り抜けるぐらいはできるけど,誰か守りながらとか,多人数を全員切り倒せというのは無理で,たまにコロッと捕まって「面目ない」と出てきたりする.いちおう第2シリーズでは柔使ってることも多いけど,やっぱり「倒す」ってわけじゃないからね.

すっぽんの次郎吉(坂上二郎)

どじな泥棒ってとこか.得意技は死んだふり.

基本的に偵察役なので戦闘の役には立たない.よく考えてみると峠の旦那って好き勝手に偵察命じてるよなあ.コミックリリーフでよく峠の旦那に怒られていけど,九十郎もしぶるのを無理矢理偵察させてたりするんだからどっちもどっちか.

次郎吉が峠の旦那を怒らせて,鮎の旦那がそれを横から見て「またやったのか?」てな感じにチャチャ入れてるのがすごく好きだ.

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2010年5月16日

大江戸捜査網

テレビ番組の記憶で一番古いのがコレ.たぶん,3,4歳である.なんでそう言うかというと,私が覚えている主人公が音次郎こと伝法寺隼人(里見浩太郎さん)だけだからである.富山では日曜お昼の12時にはいっていた.民放2局しかなかったぜ.今だって3局だけだけどな!

『大江戸捜査網』はずいぶんな長寿番組だったんで,全部はソフト化してない(と思う)んだけど,いくつかビデオになっている.そのうち1本をレンタルビデオ屋で発見して借りてきた.『逆転・隠密同心!』と『壮烈!首領暁に死す』.......あのさ,この「曉に死す」って言葉は誰が考えたんですか.

『逆転』のほうは,影の内藤勘解由さんが昇進するにあたり隠密同心解散しちゃうっていう話.こいつら勘解由さんに懐いてるよなあーと思いながらニヤニヤ観てた.(勘解由って名前,かっこいいよなー)

で.問題の『首領曉に死す』が300回目記念で,ゲストが三船さんなのだ.三船プロ製作の頃だったからかもしれない.三船さんは犯罪者の吹きだまりみたいになっているとこの親玉って役なんだが.檄強つうか,なんつうか,捕り方がですね,悲鳴あげて逃げちゃったちゅうか.いやだってさ.種子島一斉射撃受けて10発ぐらい食らってるのに突進して奉行(だったっけ,ともかく悪徳上役)切り捨てるんやもん.そらー,逃げるわー.逃げても許す!って思ったもん.あ,懐が広くてええ人なんすよ.でも,鬼.

昔のドラマ観てると,ときどき目が点になる.そこが好きだったりする.『キーハンター』とか.

今でも大江戸捜査網のテーマ曲聴くと血湧き胸躍るわー.どこの会社でもええからカラオケに『ながれ橋』入れてください.

大江戸捜査網 壮烈!首領暁に死す [VHS]

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2010年5月22日

ゴジラ

黒澤映画で白黒映画に火が付いたので,本多猪四郎氏の名高い『ゴジラ』を観てみた.『ゴジラ』は初代こそ全てとも聞いたし.

いきなり,あのあまりにも有名なテーマ音楽とズシーンズシーンという足音とギャオーーォォウという文字では表現しがたい咆吼と.うーん,実はゴジラって音だけでも構成されちゃうんじゃないだろうか.

でも,実は私はなんだか「オキシジェンデストロイヤー」しか印象に残らなかったというか,なんかその単語が他の物を吹っ飛ばしてしまったというか.

人の物語で言えばさ,博士が「なぜゴジラを殺すことしか考えないのか」と言うところとか,なんで芹沢大助は海底に残ったのかとか,深いんだけどね.ああ,それと,襲撃を受けた東京で逃げる母子もか.

これ,スクリーンで観たら,あるいは「ゴジラ」という単語が摩耗する前に観たらもっと印象が違ったんじゃないかと思う.ちょっともったいない.

ゴジラ <昭和29年度作品> [DVD]

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2010年5月23日

隠密同心 大江戸捜査網

松平定信役を三船さんがやってるのと,映画版あったんだ?!という好奇心から思わず借りてきてしまった.放送400回を記念で作られたのだそうだ.

松方弘樹版初めて見たよ!他の隠密同心が見たことのない人ばかりだったから,井坂の旦那見てほっとした.勘解由さんにもほっとした.

話は......酷いよ.......ただ,女性は割といい人が多くて良かったかな.お牧の方にしろ高子さんにしろ.それは救いだったな.

あ,ちなみに私はアホなので,清次郎が「読めた!」と言ったとき本気で分からなくて「何が?!」と思ってしまった.いやあ,推理小説も何も考えずに読んでストーリーだけ追う人なので.(^_^ゞ

定信は最後に非情な命を下すわけだけど,それを見ていて,こういう非情な決断を下させないために彼らは働いているのかもしれないな,と思った.逆に言うと,この非情さだけが残って,その決断が苦渋の物だったと理解できなかったら働く気になれなくなるのかもなあ.ということは,よっぽど強固な信頼関係がなければ忠義は保てないだろう.

隠密同心 大江戸捜査網 [DVD]

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