ブログのフィードを取得 [フィードとは]

2016年1月

2016年1月 1日

吸血鬼(江戸川乱歩)

あけましておめでとうございます.今年もよろしくお願いいたします.

本日から江戸川乱歩の著作権が切れたそうで,青空文庫に早速ページができており,『二銭銅貨』は既に公開,他のたくさんの作品も公開準備中になっています.ことに『二銭銅貨』は前から読みたかったので嬉しい.

だからというわけではないのですが,乱歩の『吸血鬼』の感想をば.

自分が読んだのは角川文庫で,『吸血鬼』『一人二役』『双生児』が収録された物です.

吸血鬼
表題作で,この中では一番長い作品.乱歩を読むのはたぶん中学以来だったのですが,あれ?と思うほど普通の文章でなんというかメロドラマ調.苦笑しながら読んでたんですが,最後の最後,犯人が明かされた時に,突然に場面が美しくなってしまった.異様な感慨にうたれてという表現があるんだけど,本当に感慨としか言い様がない.人の情とか機微とかそんな物の余韻に浸って終わっていった.
一人二役
ちょっとユーモラスな語り口の,細君に悪戯を仕掛ける男の話.女なんて魔物ですねと言っておきながら,細君が自慢みたいなT氏をみると,この野郎!と笑いながらどつきたくなる.
双生児
双子の兄弟が死刑囚の話.この話は中学の時にも読んだことがあって,指紋の話が印象的で心に残っている.浅はかと言えば浅はかで,罪を重ねることで実は墓穴を掘っていた,そんな話.

吸血鬼[Kindle版]

コメントを投稿

| 感想 > 本 |

2016年1月 3日

コードネーム U.N.C.L.E.

Twitterで「面白い」と回ってきたので興味を惹いてネットで調べたら,これ,ナポレオン・ソロなんですね.ナポレオン・ソロは観たことないし,どういう内容かも知らないんだけど,題名は聞いたことあったのでさらに興味が沸いて,映画館に足を運びました.

舞台は冷戦時代の東ベルリンから始まって,やがてイタリアへ.

徹底的に'60年テイストで,ファッションもそうなんだけど,黄色いテキストなんかもその頃のアメリカドラマによくあるのでニヤリとしてしまった.

でもって,真面目で貧乏くじ引いちゃうキャラって凄く好きなんで,イリヤが当然のようにお気に入り.とはいえ,癇癪ひどいから現実には絶対そばに居てほしくないけど.

イリヤにしてもソロにしてもけっこう屈折した思いを持ちながらスパイしてて,だから燃やしちゃうんだろうなあ.

終盤に突然出てきた英国人の司令官も飄々としてていい性格やわ.とか思ってたら,エンドロールでプロフィール出てきたら,「貴族だけど爵位継承権返上」とか「元アル中・薬中」とかこの人美味しすぎるわ.続編観たい(笑).演じてるのがヒュー・グラントだったんだけど,自分のこの俳優に対する印象が若い頃で止まっていたため,全然分からなかった.

見終わった後につらつら考えたんだけど,ソ連のスパイとアメリカのスパイが協力して犯罪組織と戦うなんてドラマが冷戦まっただ中に作られてたなんて,アメリカって懐の深い国だなあ.

コメントを投稿

| 感想 > TV/映画 |

2016年1月 9日

Movable Type 6.2.2にアップグレードしました

バージョンアップのお知らせが来るたびにやらなきゃと思っていたMovable Typeをとうとうアップグレードしました.

最新版はSQLiteが使えないようでmySQLへの移行から始め,全システムバックアップ取って復元したはずなのに,なぜかリンク集用のテンプレートが引き継がれなくて焦りました.結局一日かかった......

重い腰を上げた理由は,記事編集欄がテキストを折り返さないようになってしまって,非常に編集しづらかったせいです.どうやらこれはFirefoxでの現象らしいです.

が,業を煮やしてアップグレードしたのに,直りませんでした!!

と言うわけで,Movable Type+Firefoxでテキストエリアを自動折り返しする「EntryTextareaBrakerプラグイン」を導入しました.ちゃんと折り返してる!快適!

コメントを投稿

| PC/Web |

2016年1月10日

本朝甲冑奇談(東郷隆)

甲冑にまつわる物語を描いた短編集で,『しぼ革』『モクソカンの首』『角栄螺』『小猿主水』『甲試し』『金時よろい』の6篇が収録されている.

しぼ革
信長と猿じみた怪人の話.ちょうどFate/Grand Orderをやっていて,ゲームはおかしな性格の信長が出てくるんだけど,この話読んだら彼が,であるか,という返事をすることは,今日多くの資料に書かれているとあって,あ,そこは本当なんだと思った(笑).彼が謙信に贈る甲冑の話なんだけど,蜘蛛に絡め取られるように網に掛かってしまったような和泉守景家が気の毒でならない.
モクソカンの首
團伊玖磨氏の持つ兜にまつわる話で,朝鮮出兵の話.息子二人を未明に失い,それでも戦い続けた老いた勇者が気の毒で,首を故国に持ち帰りたいと申し出た人の敬愛の情が印象的だった.彼はちゃんと朝鮮に首を持ち帰れただろうか.
角栄螺
築き上げ守ったセミナリオの末路を知ったら左内はどんな気分だったろう.
小猿主水
谷津主水という人の話.兜は社から持ちだしてそのまま持ってっちゃってる(笑).関ヶ原で石垣を上るところはどっちに転ぶのかと読んでいて,仙石家の旗が振られたところで,仙石家の武者と一緒になって雪崩を打って攻め込むような気分になった.
甲試し
この本を読むきっかけは,長曾禰虎徹の話が載っていると聞いたからだったんだけど,この話がそれ.興里が具足師から刀工になる頃の話.由井正雪と会っているというのは話の味付けかなあ(笑).具足師としても名人で50代頃で刀工に転向して刀工としても名人になったというのは凄い話だ.甲試しの時は鉢が跳ね上がらないように粘土や炊いた白米を詰めるとか温かいと鉢が切りやすいとか興味深い話もあった.自分の作った鉢を自分の打った刀で試すことになるなんて,彼以外にはなかなかないだろう.
金時よろい
長州征伐の頃の話.ここまで読んでこの短編集が時代順になっていることに気が付いた.まるで箸で豆腐を突くように鎧を,人体を銃が容易に貫いて,井伊家の地獄のような大敗が悲しくてならなかった.かくて,日本刀と甲冑の時代が終わった.

本朝甲冑奇談

コメントを投稿

| 感想 > 本 |

Powered by Movable Type