グロッグについて

メグレ物を読んでいて頻繁に出てくるグロッグという飲み物について,「グロッグってなんだ?」という疑問を呈しておいたところ、kanjikanさんや写原さんが掲示板にいろいろと書きこんでくださいましたんで、ここにログを置いておきます。


DATE:2001年 10月 12日 (金) 05時 08分 26秒
NAME:kanjikan
WEBPAGE:フランスの島
COMMENT:

「グロッグ」でちょっと気になりましたので:

確か写原さんのところの引用でグロッグを「ホットワイン」とした例がありました。これはちょっと、、。

ご指摘の通りラムを使うものですからワインという言葉はここでは不適切です。

確かに小学館プチロベールには「ラムかブランディを水か湯で割る」とあります。プチロベールの仏仏版、プチラルース仏仏版にはお湯で割るとあり、水で割るとはありません。

私のまわりのフランス人はグロッグというとラムを使います。ブランディはちょっと、こうしたものには高級するぎる感があります。価格が倍くらい違いますから。

それから必ず湯、それも熱湯を使用します。

つまり風邪をひいたときには熱い、レモンの利いたラムで体を温め汗をかいて治療しよう、というわけです。したがって日本なら葛湯や生姜湯のようなものだとの指摘は的確です。

なおグロッグというのはヴェルモン提督のあだ名で、部下の水兵にラムを水でわるように命令を下した人だそうです。ヴェルモンがだれかであるかは調べませんでした。


DATE:2001年 10月 13日 (土) 14時 50分 33秒
NAME:写原祐二
WEBPAGE:メグレ警視のパリ
COMMENT:

グロッグ≠ホットワイン

たしかにそうです。kanjikanさんにはいろいろ教えていただいて助かります。当方の誤りはさっそく直します。ありがとうございました。

「メグレと録音マニア」の初めのほうにメグレ夫人が作るグロッグの場面が見つかりましたので「捜査員の手帳」で報告します。ほとんどkanjikan さんと同じなのでこれがフランス人の正統なのでしょう。

ところで辞書でgroggyという単語が次にありましたが(なぜか日本語では濁らずにグロッキーとして通用)これもGrog さんの語源と同じなんでしょうか?お湯の量が少ないと飲みすぎればこうなるかも。


DATE:2001年 10月 13日 (土) 20時 10分 11秒
NAME:Sousui
COMMENT:

グロッキーって英語じゃなかったの?と思って、英和を開いてみたところ、groggyとあり、語源として「grog+y」とありました。どうやら、本当にグロッグが語源らしいと、すぐ上にあった「grog」の項を見ると語源が載っておりまして、「gross grain「粗い目(の織物)」から;この生地の服を着た提督の渾名 Old Grog にちなむ」とありました。

おやおや、もしかしたらこの提督ってイギリス人なんでは? と思って、しらべましたところ、見つけました。

Old Grogとはエドワード・バーノン提督といい、18世紀のイギリス海軍の人です。1739年10月『ジェンキンスの耳戦争』時、カリブ海に派遣され、スペイン船を襲撃6隻の軍勢で南アメリカのポルトベロ(ブラジル中西部)を占領したのだそうです。

当時イギリス海軍では水兵にビールを支給していたのですが、バーノン提督はラム酒に壊血病予防の効果があると信じ、昼食前に約250ミリリットルのラムを支給しました。ところが今度はそのお酒のせいで、酔っ払って午後の作業に支障をきたす者が出てきたので、今度はラムを水割りにして二度に分けて支給するようにしました。それを不満に思った水兵たちはその酒を馬鹿にして、彼が着ているグログラムのマントをもじってグロッグと呼んだのだそうです。

もともとはイギリスの飲み物なんですね。ちょろっと飲んでみたいです。


DATE:2001年 10月 14日 (日) 04時 00分 25秒
NAME:kanjikan
WEBPAGE:フランスの島
COMMENT:

この後、誰が砂糖、レモン、熱湯を入れるという工夫をしたのか。これを知れば、一応メグレの環が完結、ということですね。

「黄色い犬」の10章の終わりにも新聞記者が「オヤジ!グロッグを一杯。ラムをたくさん入れて、湯は少なめに」というのがありました。

グロッグを知った当初は風邪をひいたのやら、酔っ払ったのやら、わからない一週間を過ごしたことがあります。

冬には好適な飲み物だと愚考、ぜひお試しのほど。


DATE:2001年 10月 14日 (日) 11時 17分 59秒
NAME:Sousui
COMMENT:

とうとう試してみました!

ラム酒をそうですね大さじ3杯ぐらい,レモンは果実のほうが雰囲気でそうだと思ったけどあまりの処置に困るので、ポッカ100レモンで代用。これを大さじ1杯ぐらい。砂糖はスティックのやつをざーっと入れて、私の趣味でシナモンスティックを放り入れ、熱湯を注ぐ。

まずは、怪訝な顔をしていた母に「グロッグという物だ」と言って渡してみたところ、「スモモ酒にお湯を入れたみたい。なかなかおいしい」とのコメント。さらに驚いたことに、「何に書いてあったがけ?メグレ警視か?」とのたまわった。 なんで分かったんですか〜!!

私も飲んでみましたが、けっこういけます。体が熱くなりますね。アルコールが入っているから当たり前か。(^_^;

シナモンを入れてみたわけなのですが、熱湯を注いだ直後でなく、しばらく置いてから飲んだほうが味や香りがなじんでマイルドになるようです。


DATE:2001年 10月 15日 (月) 22時 58分 53秒
NAME:写原祐二
WEBPAGE:メグレ警視のパリ
COMMENT:

グロッグ講座はみんなで楽しめてよかったです。こういう経験はネット上でも珍しいです。ひとつ賢くなりました。Kanjikanさんもありがとうございます。

僕はラム酒をわざわざ買うのは、と思いとどまって、高い風邪薬を買いそうになる直前に作ろうと思っています。


DATE:2001年 10月 18日 (木) 08時 17分 58秒
NAME:Sousui
COMMENT:

実は、グロッグ体験についてはその後があります。もともと実験好き人間なので。

その1『熱湯の代わりに紅茶じゃダメか?』

紅茶にラムってわりと定番だから、と試してみることに。だが、やる前から「あかんだろうなぁ」と予想はついた。予想通りだった。すなわち、グロッグと呼べるほどの量のラムの香りに紅茶が耐えられないのである。紅茶の香りなど皆無。なんとなく、苦いなぁぐらいでそれほどおいしくもなかった。

その2『砂糖の代わりに蜂蜜では?』

これはイケます。そうすごい変化でもないし。

その3『牛乳を入れたらどうなるか』

体によさそうと言うことで、牛乳をためしてみることに!作り方はちょっと変則的。先にはちみつもしくは砂糖と牛乳3分の1ほどをマグカップに入れて電子レンジに掛ける。ラムを先に入れたら電子レンジであっためたときにアルコールが抜けそうな気がしたので、先に牛乳をあっためたわけである。それから、レモン汁を入れる。入れる直前に「そーいえば、牛乳にレモンを入れると固まるんだっけ」と思いつつも、手は止まらない。やっぱ固まった。カゼイン、万歳!それから、ラム酒を入れ、熱湯でカップを一杯にしてできあがり。

どんなけったいな味かとドキドキしましたが、意外といけます。ホント,ホント。


上述のログに対し,メールをいただきましたので,紹介いたします.

DATE:2004年 12月 1日 (水) 16時 23分 01秒
NAME:スウェーデン好き
COMMENT:

たまたまグロッグのこと(2001年の話題でかなり古くてごめんなさい)を見つけたのですが、glöggはスウェーデンの飲み物です。たぶん同じようなというか変形バージョンはヨーロッパにいろいろあって、たまたまフランスではラムな感じなんだと思いますが、スウェーデンではワインにラム、スパイス、スライスナッツとレーズンを入れて、あたためて飲みます。

ということで、ホットワインも間違えじゃないと思います。特にフランス北部、ドイツ、北欧はホットワインです。。では。