以下,全て独自設定です.もちろん,公式設定とは全く関係ありません.
世界の天井と呼ばれる高山の中ほどにある山村.ただし,村といっても,規模はかなり大きい.
エゥナーナ・イ・フォェルトというのは現地語で「戦場の鷲」の意味である.また,ここで生まれた人間のこともエゥナーナ・イ・フォェルトと呼ぶことがある.だが,人を指すときは単に「鷲(エゥナーナ)」と呼ぶことが多い.(エゥナーネンが単数でエゥナーナが複数)
主な産業は林業および窯業.だが,ハルモニアになった頃からは実質上,傭兵が最も主要な位置を占めていた.
この傭兵という部分は中世スイスからの連想.
その昔はこのあたり一帯を統治していた一族が住んでいた.まだ「国」という概念が一般的でなかった頃のことで,このときの名残からか,周りの小さな村々にはエゥナーナ・イ・フォェルトへの帰属意識が強い.エゥナーナ・イ・フォェルトが外敵(人間であれ人を襲う生物であれ)からの安全を保障し,代わりに各地の特産物を貢ぐという関係が長い間続いていた.
エゥナーナ・イ・フォェルトの歴史は吟遊詩人たちが好んで取り上げる題材でもある.おそらくは,『勇敢な戦士の物語』というのが非常に典型的で作りやすかったからと思われる.エゥナーナ・イ・フォェルトを謡った叙事詩はいくつもあるが,中でもエゥナーナ・イ・フォェルトの成立を歌った「揚鷲の詩」,ハルモニアに編成された頃の「翔鷲の詩」及びその滅亡を歌った「墜鷲の詩」の人気が高い.
ハルモニアで最も人気が在るのが「翔鷲の詩」であり,ハルモニアを快く思わない者に人気があるのが「墜鷲の詩」である.
一般に,ハルモニアに突如攻められたために滅亡したと思われているが,そもそもの根は火山の噴火により川の流れが変更した辺りから始まっている.以前は豊かな恵みをもたらした清流が変わってしまい,エゥナーナ・イ・フォェルトには水量の少ない小川だけが残った.この頃より,エゥナーナ・イ・フォェルトの衰えが始まっている.
所の者はハルモニアの英雄ヒクサクを助けるためにエゥナーナ・イ・フォェルトが尽力したことがハルモニアへの編入につながったと信じているが,正確には勢力の衰えたエゥナーナ・イ・フォェルトにはもはや大国に寄らずに立ち行かなかったことが背景に在る.
ハルモニアに編入されてからのエゥナーナ・イ・フォェルトは兵力を提供することで一定の収入を得るようになる.だが,このことがさらに勢力の衰えを招いたともいえる.派兵先で命を落とす者も多く,それに対して人口は容易に増えなかったからである.
民主制・皆兵制.選挙権は兵力となる者全てで,15才から与えられる.
重装歩兵民主制を思い浮かべてもらえばよい.ただし,古代ギリシアと違って,女性にも選挙権はある.この相違は「魔法」の存在と,エゥナーナ・イ・フォェルトが慢性的に人手不足だったことに因る.
女性も兵力とみなされるが,妊娠中は免れる.また,未成年のいる家では夫婦どちらかが出ればいいことになっている.たいていは夫の方が出るので,軍隊は男性の方が多い.片親のときが問題で,子供の面倒を見る者がいた場合は兵役を免れないことになっているが,ケース・バイ・ケースである.(出陣の義務を免れている期間も選挙権は剥奪されない)
15才の成人の折に攻め手に属するか守り手に属するか選ぶことになる.しかし,これは固定されたものではなく,希望すれば攻め手から守り手,守り手から攻め手へ配置換えになることもある.ただし,守り手の二の長及びその直属の隊に所属した者は以後,攻め手に属することは許されない.
結婚と同時に攻め手から守り手への異動を希望するという例が多い.慢性的に人口不足に悩んでいるという事情があり,この異動は別に軽蔑されることもない.もっとも,希望が容れられるかどうかは定員の空き具合による.
攻め手・守り手と並列して称されることが多いが,二つの組織はかなり違ったものである.
攻め手は完全に軍隊の組織である.エゥナーナ・イ・フォェルトにおいては,攻め手は貴重な働き手を意味する.作戦によって編成は異なるが,たいていは32人で1小隊を為している.この小隊10数隊(数は時代による)を抱えている.
ハルモニア中央政府から要請された場合,攻め手のうち当番に当たっている部隊(〈翔(しょう)〉と言う)の中から必要に応じて数隊出撃する.常に攻め手の半数が〈翔〉に当たっている.残りは守り手を助け,エゥナーナ・イ・フォェルトを守る〈籠(ろう)〉ということになるのだが,ハルモニアに編成されてからのエゥナーナ・イ・フォェルトは特に敵対している勢力がなく,〈籠〉は事実上,非番を意味していた.
出陣した〈翔〉の家はそれ以外の者から手伝いを派遣され,畑仕事等を代わってもらう事ができた.また,ハルモニアから支給される出陣の対価としての金も若干多めに配分された.これは危険手当であり,出陣していた期間によって算出される.
攻め手の長と二の長とは同時には出撃せず,それぞれが〈翔〉と〈籠〉のどちらかを率いた.
〈翔〉と〈籠〉は交代するのだが,特に腕の立つ者は継続して〈翔〉にあたることもあった.
ゲドはこの出ずっぱり組である.
守り手はその名だけ聞くと守備部隊のようであるが,その他に,政治・祭祀の中心組織でもある.
攻め手の長は及び二の長は選挙で選ばれる.ただし,たいていは前の長の指名がそのまま通った.
守り手の長は姿を見せたことが無く,空位である(と思われている).事実上,二の長が守り手を率いている.一度守り手の二の長になると,引退をしない限りそのままその地位にあった.
この守り手の二の長の特権的制度に対する不満もなくはない.
エゥナーナ・イ・フォェルトの兵に戦歌は付き物である.
戦場前に(フラムゥメ・フェルト)
抜けよ剣(ドゥラグ・ウトゥ・スヴェルデン)
行く手を阻む強敵も(スタルカ・フィエンデル,ソム・ヒンドゥラル・オスゥ)
駆ける我らに平伏しぬ(カピツェラ・フェゥル・オスゥ)
我ら,戦場の鷲(ヴィ,エゥナーナ・イ・フォェルト)
天裂く閃光(リュンゲルドゥ・ソム・スプロトゥーアンデ・ヒムゥエル)
我ら,戦場の鷲(ヴィ,エゥナーナ・イ・フォェルト)
勝利の翼(ヴィングゥエ・オム・セーガ)
迫る強敵(スタルカ・フィエンデル・ネルマ・シグ)
取れよ楯(ホルゥア・スクェゥルダル)
荒ぶり押し寄す仇たちも(フィエンデル,ソム・アンファルゥラル・オスゥ)
鉄の守りに敗走す(スプリンガル・シン・ヴエグ・ポ・スキュドゥ)
我ら,戦場の鷲(ヴィ,エゥナーナ・イ・フォェルト)
耳聾す轟音(デ・エゥロンベデゥヴァンダ・クナゥラル)
我ら,戦場の鷲(ヴィ,エゥナーナ・イ・フォェルト)
休まぬ翼(エュ・ヴィランデ・ヴィングゥエ)
銀の峰(お)の上(え)に(ポ・シルヴェル・バルユストペト)
掲げよ戦旗(ヒサ・スタンダーレト)
故国に残しし係累も(ファミルユ・イ・フェデルソルトゥ)
凱歌に応えて欣喜する(ハール・グレードャ・アヴ・セーガルヒュムン)
我ら,戦場の鷲(ヴィ,エゥナーナ・イ・フォェルト)
渡る清風(ブローサンデ・ヴィンデン)
我ら,戦場の鷲(ヴィ,エゥナーナ・イ・フォェルト)
不朽の翼(エュ・ヴィスナンデ・ヴィングゥエ)
一題目が攻め手の歌,二題目が守り手の歌,三題目が帰還の歌である.
他の二つに比べて三題目は成立が新しい.おそらく,ハルモニアに編入した後の詩である.
エゥナーナ・イ・フォェルトを特徴付ける軍装は長套(マント)と幅広の剣,徽章鉤(きしょうこう)である.
長套は地味の色が多い.おそらくは,ゲリラ戦が多かったせいである.
最も重要なのはマントを留める留め具の徽章鉤である.
徽章鉤は,成人の折に親から与えられた.定紋を象ったものだが,同じ家系でも若干手を加えて,個人個人違っていた.
幅広の剣は長さに比べて薄く,切れ味が良い.この製法は他に伝わっていない.
エゥナーナ・イ・フォェルトの剣技は,重さのある剣にしては鋭い刃がついているその独特の剣ゆえにまた,独自に体系付けられている.
ただし,エゥナーナ・イ・フォェルトの滅亡と共に失われている.
現在,伝わるのは,「地摺り」などの幾つかの構えと,「頡」「頏」などの型の名称のみである.
神殿と訳されているのはエフェラという単語であるが,正確には「隠されたる物」の意味である.人々がエフェラを参ることはない.神事にまつわることは全てエゥナーナ・イ・フォェルトの中心広場で行われる.その折に使われる物はすべてエフェラから運び出される.従って,一般の人々はエフェラを神聖な倉庫ぐらいに受け取っている.
エフェラについての真実を知っているのは守り手の二の長とその直属の数名だけである.
エゥナーナ・イ・フォェルトにおいては,姓にあたるものがない.個人を表す名前のみである.名前の種類はさほど多くなく,伝承においてはしばしば混同されている人物も多々ある.区別のために定紋の名称を前に置くこともある.ただ,今度はこれが双名と混同される.
双名の残っている人物は攻め手に多い.外で軍事行動を取るのがもっぱらせめてだったからと思われる.
紋は雷にまつわるものが多い.
エゥナーナ・イ・フォェルトの文化圏のうち,最もハルモニアに近いところに位置する.ハルモニア側の都市クセスとエゥナーナ・イ・フォェルトを結ぶ街道にあり,エゥナーナ・イ・フォェルトが存在していたころには,宿場町として栄えていた.特産は酒.
ハルモニアの都市.世界の天井と呼ばれる山々に抱えられるような風景はとても美しい.城塞都市でもあり,壁で仕切られた中心部は貴族の居住地で,その周りに市民の住居が広がる.壁の外の東側は特に雑然としていて,怪しげな店も多い.
攻め手の長.双名は「高鳴きの」セグノ.温厚で公平な人物で,慕っている者は多い.
ゲドにとっては父親同然の人物であった.
独自に情報屋・間者を使っており,なかなかしたたかな人物.
エゥナーナ・イ・フォェルト滅亡後,しばらくして病死.
攻め手の二の長.若かりし頃は「荒鷲」と称された人物.
実は彼は生粋のエゥナーナ・イ・フォェルトではなく,周辺の村からの移住者である.
エゥナーナ・イ・フォェルト陥落の折,ハルモニアに捕まり,責め殺されている.
なんとなれば,彼は目立ちすぎた.トアの小隊はハルモニアの数隊を撃破してしまったのである.
セグノ隊がゲドを救出した上でハルモニアに捕まらなかったのは,このトア隊の先払いがあったせいである.
また,彼はハルモニアが捕まえることのできた鷲のうち最も高位にあった.エゥナーナ・イ・フォェルトでの軍事行動がほとんど目的を達していなかったため,よけいに厳しく責められたともいえる.
もちろん,彼は真の雷の紋章のことなど知らなかったが,察するところはあったはずである.だが,最期まで黙秘を続けたという.
当時40前後.攻め手に属しており,この頃は常時〈翔〉だった.
子供は息子と娘が一人ずつ.(間に1人いたが,幼いときに病死)
どちらかといえば一歩ひいたところにいる人間で,何かの地位に着いていたことはない.ただし,出ずっぱり組でしかも旗隊の殿(しんがり)ばかり勤めていたので,その実力は誰もが認めるところであった.
芒洋として存在感の在るゲドは総じて言えば愛されていたと言える.
彼は双名が伝わっていない.また,叙事詩にも出てこない.――のだが,実は一箇所だけ記述がある.それは,セグノが出陣先からひとりの鷲に先駆けを命ずる場面である.ここに,セグノの命に対して,「玄士,諾す」の記述がある.
この「玄士」がゲドである.が,こんな人物(=ゲド)を知らない歴史家の間では,この「玄士」の正体について喧々囂々の論争が繰り広げられている.
ゲドはそんなことになっているなど全く知らない.これからも知ることはないだろう.なぜなら,詩人や歴史家には興味深い題材も当事者にとっては,どう表現されようと馬鹿らしいだろうからである.
玄士の名称は意味深である.「玄」は単純に取れば「黒い」の意だが,その他に「深遠な」等の意味がある.
ゲドは,真の紋章の継承と言う意味では「大穴」である.
セグノがゲドに先駆けを命じなければ,少なくともこの時点ではエゥナーナ・イ・フォェルトが滅亡することはなく,ゲドが真の雷の紋章を継承することもなかった.
ゲドと同年.幼馴染にして親友.次の攻め手の長と目されていた人物.レーフも常時〈翔〉である.
人生なんでも愉しんでやるという意気込みで日々を暮らしている.相手を楽しませることに長けている.技術として長けているというより,レーフの場合は自然体で,自分も楽しんでしまう.
気風のいい妻との間に娘が3人.皆,剣を振り回す元気のいい娘.ことに,長女はレーフに仕込まれてかなりの腕である.実のところ,レーフは娘たちを溺愛していて,同僚からはからかわれていた.
この長女は存命である.
周りから「煽(あお)ち風」の双名を戴いていたが,本人は気に入っていなかったようだ.
レーフは真の紋章の継承と言う立場では,「運命を変えられたかもしれない人」という位置づけである.というのは,彼は,紋章を受け継いでいればエゥナーナ・イ・フォェルトを救えたかもしれない人物,あるいは継承していなくとも,ゲドを説得できた唯一の人物なのである.その意味で,彼は最重要人物なのだが,そんなことに気づきもせずに逝った.たぶん,こんな風に知らずに歴史に埋もれていった人はたくさん居るのだろう.
名前は「オロフ」系な音にしようと思って適当につけた.
ゲド,レーフの1才年下.現・守り手の二の長.穏やかな物腰の美丈夫.ただし,剣技はゲドやレーフに匹敵する.本質的には優しい人間であるので,悩みも多かったと思われる.
真の雷の紋章の正当な後継者である.というのは,二の長の最も重要な役割は,長に万が一があった場合に真の紋章を受け継ぎ,以降,エゥナーナ・イ・フォェルトを守って行くことであったからである.それゆえ,二の長になることに躊躇いを覚える者も多かった.
息子が1人.妻は10年前に病死.妻は線の細い美人だった.
ガルアは守り手の長に敬愛以上の物を覚えていたようであるが,終に想いを口にすることはなかった.
名前は数学者ガロアからちょっとひねった.
「その剣,苛烈にして怜悧」と称された攻め手一の剣士.ということは,戦場の鷲で並ぶ者のない剣士であり,個人戦では絶大な戦力を誇っていた.つけられた双名が「返し刃の(アシェ)」.剣を向けて立っていた者はないというのがその由来である.
彼は一剣にて身をたてようと夢みてきた人物で,修行のために各地を回っていた.これは,集団に対する義務がかなりの重みを占めるエゥナーナ・イ・フォェルトにおいてはかなり異色であった.しかし,エゥナーナ・イ・フォェルト滅亡により,彼はこの夢を捨てる.
後世に残る彼の双名は「天佑」である.彼はセグノ亡き後,攻め手の長を引き継ぎ,ハルモニアにとらわれた人々を数多く救ったからである.
守り手の筆頭隊長.二つ名は「疾風(はやちかぜ)」で,風の紋章に長けていたことから名づけられたと推測される.どちらかといえば頑なな正確だが,面倒見の良いところがある.コームはキリクから剣技を少し習っていた.キリクもこの上役の息子や,その親友のオスカを気に入っていたらしく,狩りの獲物などを与えたり,遠出に連れてやったりしたこともあるらしい.
キリクは生粋の鷲ではなかった.それゆえにかなおのこと,鷲としての在り方を重んじていた.
誤解があると思うのだが,キリクは虐殺にはかかわっていない.〈翔〉のことは疑っていたが,その家族に責めはないというぐらいの理性はある.
〈翔〉の裏切りについては考え方はいろいろで,大別すると,1)〈翔〉を信じている人々,2)〈翔〉が疑わしいと思っている人々,3)〈翔〉もその家族も裏切りを仕組んだと思っている人 となる.虐殺については,行き過ぎと感ずるものがほとんどだったが,逼迫した状況下,積極的に糾弾する者はほとんどおらず,結果的に容認されてしまったというところが真相である.
このあたりは話の中でちゃんと表現できてなければならないのだろうが,残念ながら,力量不足だったと思う.というか,そもそも,この辺りは詳しく描写するつもりは無かった.ゲドが虐殺に気づいて大立ち回りをやらかした後は,すぐに守り手の長を斬りに行く場面になり,続いて継承,という構成だったのである.
ガルアの1人息子.オスカよりも1才年下,ガキ大将.親に似ずきかん坊.むしろレーフに似ている.
一時,ハルモニアに囚われたが助けられ,以降,ナシェレに剣技をしこまれる.
後年,「最後の鷲」と呼ばれることとなるのだが,その最期は伝わっていない.ハルモニアと切り結んで討ち死にしたとも,ハルモニアに敵対する人々の隠れ里を作ったとも言われる.
レーフの娘を娶る.
ゲドの息子.この名前は「雷」を意味し,エゥナーナ・イ・フォェルトにおいてはよくある名前だった.
大柄だが,物静か.性格はゲドに似ていたのかもしれない.
ゲドの娘.名前の意味は「花」.
ゲドの妻.名前は「優しい」の意.愛称はエム.
彼女は生粋のエゥナーナ・イ・フォェルトではない.周りの村の出である.
幼くして両親を亡くし,叔父夫婦に育てられていた.この叔父夫婦がエゥナーナ・イ・フォェルトに物を売りに来る農夫で,ゲドとはその時に出会っている.
ちなみに,ゲドは晩婚で,レーフ辺りから「早く結婚してやれ」と言われ続けていた.
本名はサリュィオ.その存在を知るのは守り手の二の長とその直属の数名のみで,本名を知る者はこの頃はガルアのみだった.
その昔,ヒクサクに味方し,ハルモニアに編入することを決定したのは,彼女である.
その頃のヒクサクはいわゆる英雄らしい英雄で,彼女は思慕の念を抱いていた.ヒクサクのために彼女は真の雷の紋章を手にすることを決意し,ヒクサクのために戦った.彼女の背中の傷と顔の火傷はその折のものである.しかし,時と共に彼は変わってしまい,彼女も失意と共にエフェラに引きこもることになる.
ガルアが自分に寄せる想いを薄々は気づいていたし,彼女も惹かれてはいたのだが,真の紋章を持っていることと,顔の傷とを引け目に思っていて,応えることはできないと思いつめていた.
エフェラの奥に隠れ住んでいたが,夜になると外に出ることもあり,その姿が目撃されたのか,ちょっとした幽霊話がエゥナーナ・イ・フォェルトには残っている.
疵さえなければきつめの美人.
宿場町として栄えていたベセルで宿屋を営んでいる.年は50代後半から60代ぐらい.
物腰柔らかなのだが,一本筋の通った人物.
酒造りの息子.わがままに育てられ,盗むわ喧嘩するわでどうしようもなかったのだが,セグノに諭されて以来,まともに働いている.実の父親よりもセグノのほうを慕っている.酒作りの修行中だが,エゥナーナ・イ・フォェルトに憧れている.
当時,18.オロフの曽祖父にあたる.学はない.(その方がベセルでは普通)
ベセルの酒作り修行中.優しく素直な青年.偏屈な祖父と2人暮し.
ちなみに,オロフの祖父と親しかった鷲は,コームである.
オロフというのはスウェーデンの名前.実は,筆者はアルファベットと勘違いしていた.つまりは,ちょっと変わった響きの名前にしたかっただけであんまり考えてない.
ハルモニアの将.貴族の次男坊で,家は継げない.
将としては有能.部下も大事にしていて,ハルモニア兵の間では人気がある.円の神殿至上主義というわけではない.ただ,ハルモニア人として生まれたからには命には服するべきだと思っている.
大軍を率いたエゥナーナ・イ・フォェルト攻めが芳しい結果をもたらさなかったためか,この後まもなく失脚している.