大問題

与太話の応酬をしながら歩いていたエースとジョーカーがゲドの長身を見つけたのは湖のそばの食堂の前だった。

ゲドはクイーンと一緒で、そのゲドにカラヤの少年が何やら一生懸命はなしかけているのが見える。

「よう、ヒューゴ。元気に英雄やってるかあ?」

エースが声をかけたとたん、ヒューゴはさっと顔を赤くして何やらもごもご口の中で挨拶のようなものを言って、そそくさと立ち去った。

「なんだ、なんだ?」

立ち去るヒューゴの後姿を見ているエースとジョーカーにクイーンが笑いかけた。

「ゲドに訊いてたのさ、あの坊や。『いつごろから背が伸びたのか』とか『俺ぐらいのとき何を食べてたか』とか。ふふ、可愛いじゃないか」

「なるほど、そりゃ、あんまり人に聞かれたかないわな。で、逃げたのか」

「大将も好かれたもんじゃな」

「ゲドも黙ってないで何か言ってやればよかったのに」

「真の紋章を――」

「え?」

「真の紋章を継いだのだから、もう、背は伸びないんじゃないか?」

ゲドの言葉に一同シーンとなった。

「真の紋章をこの手に宿して七十年、俺の背は伸びてない」

「そもそも、大将、背が伸びるような歳じゃなかったでしょうが。それに、それ以上伸びてどうするんです?」

「七十年もあれば伸びるなり縮むなりしてもいいと思うんだが」

「頼みますから縮まないでください」

「こればかりはどうにもならん」

話が脱線する前に、クイーンが忠告した。

「ゲド、ともかく、それだけはヒューゴに言わないほうがいいよ……」

「自分で気づかんものかな」

「大将、武士の情けじゃ、自分で気づくまで止めを刺すようなまねはしないほうがいいじゃろう」

「そうか」

以来、十二小隊の面々はヒューゴに会うたびに何とも言えない表情になり、いろんな物をおごってやるようになった。

ヒューゴ自身は、ゲドさんが小隊の人たちに俺の背が伸びるよう気にかけてやってくれと言ったに違いない、と信じて疑わなかった。恥ずかしそうにしながらも、(ヒューゴ信じるところの)ゲドの好意を素直に感謝し、ヒューゴは嬉しそうにおごられた物をほおばるのであった。

平成14年10月22日 初稿

平成14年10月24日 第二稿

補足説明

私の中で大将のイメージはこんな感じ。どうでもいいことはよく気づく。よく分かんないことを日がな一日考えて時間を蕩尽している。ちゅうか、それは私だ。どうもねー、私が大将を書くとねー、大将の性格に私の性格が重なってっちゃうんだよねー。

そもそも、大将の印象が演劇とフリーキャラスカウト時で固まっちゃってて。むっちゃ変で散々笑いました。特に、フリーキャラ相手に時々突っ込みする大将がなんとも言えません。

かと思えば、妙なことを口走る。

ギョームに対して「任せた」と言ったときには、間違いなく周りから「あんな奴に任せていいんですか、大将!」 と突っ込まれているに違いない。

ヒューゴは、ゲームやる前は小生意気そうに見えたために「気に入らないだろうな」と思いましたが、やってみたらえらい素直で年上にはちゃんとさん付けなので、気に入っています。今回、主人公三人ともやってみたら良いほうに印象がシフトしたな。クリスも英雄と呼ばれることに戸惑いを覚えているという紹介から、もっとなよっとしたイメージでした。が、やりはじめてすぐ、生粋の武人と言っていい凛々しさを見せつけてくれて大変気に入りました。

で、大将。ハルモニアの傭兵で、きな臭くなりそうなのを傍から見ているという感じかと思ったんで「ははあ、で、大国の論理に愛想を尽かして参戦するんだね」と思ってたら、あんなんでした。無口だとは思ってなかったなあ。なんせ、デモビデオじゃフレッドと出会う場面のとこで、普通にしゃべってたもんなあ。

ここだけの話。自他共に認めるオヤジ好きの私は、主人公三人の中ではまるとしたらゲドだろうとは思いましたが、ゲームをやる前はさほど好きではありませんでした。というのは、あの顔グラになってるメインビジュアルが好きじゃないからです。髪型がどうもやなんだよな。あれ以外のイラストだとさほど嫌でもないんだけど。どうやら、私の好みの中であの髪の長さが境界線のようです。(長髪嫌い)