アメコミとは?アメコミとは何か。アメリカのコミックである。おしまい。 ・・・では説明にも何もなっていないので、もうちょっと説明する。ここで取り上げるのはストーリー漫画である。スヌーピーで有名なピーナッツみたいなのは取り上げないからそのつもりで。 アメリカには日本で言う『ジャンプ』や『サンデー』のような、いくつもの作品を集めた漫画雑誌がない。いきなり単行本である。 しかし、「単行本」というとちょっと語弊がある。なぜなら、「本」と言うにはあまりに薄っぺらいからである。英字誌の『Newsweek』や『Time』を思い浮かべてもらうとちょうどいい。たいていは32ページほどの紙質の良くないペラ誌で、ニューススタンドで売っているそうだ。だいたい、1.99ドルぐらい。フルカラーである。なんでも、カラーでないと売れ行きが落ちるんだそうだ。そういうペラ誌が月に1回出る。このペラ誌をリーフと言う。(リーフは和製英語だと聞いたことがある。ともかく、以下、このペラ誌はリーフと呼ぶことにする) ここでポイントなのはリーフが原則的に再版されないことである。再販されない・紙質が良くなく保存が大変、ということから、リーフにはコレクターズアイテム的な側面がある。物によってはとんでもない値段がつく。また、リーフの価格表みたいなのを掲載した雑誌も出ている。いまパラパラとめくってみたところ、1941年発行のキャプテン・アメリカの創刊号に56000ドルの値がついている。桁、まちがってないよ。 値段が上がりがちなのは人気キャラの初登場号や数の少ないヴァリアント。 ヴァリアントってなんだー!という疑問は当然ですわな。おもしろいことに、中身が一緒だけど表紙だけ違うという物が発行されるのですわ。それがヴァリアント。創刊号だとか、キリのいい数字の号だとかでヴァリアントが発行されやすい。たとえば、X-MEN の創刊号には『ストームとビースト』『コロッサスとガンビット』『ウルヴァリンとサイクロプス』『マグニートー』の表紙がある。他にもあるかもしれない。そういった物をヴァリアントと呼ぶ。 さて、リーフは基本的に再販されないのだが、重要なエピソードはたまに合本になって発行されることがある。これはトレードペーパーブック、略してTPB。こっちはちゃんと本ぽい。ソフトカバーの表紙がついてしっかりしていて、扱いが楽。 これらアメコミを日本で手に入れるのは大変である。私は富山に住んでいるが、富山でアメコミを売っているところを見たことがない。また、輸送費もろもろかかるせいか知らないが、日本では倍以上に値段が跳ね上がる。なかなか金のかかる趣味なのだ。 アメコミの製作日本では1つの漫画は1人の作家が話を考え、絵を描くのが普通。アシさんがいるにしても、だ。しかし、アメコミは超・分業作業で作られている。 基本的に、世界観やキャラクターは会社のもので、ライターがお話を書き、ペンシラーが下書きをし、インカーがペン入れをして、カラリストが色を塗り、レターが吹き出しやナレーションの文字を入れる。これらの作業に携わる人は変わることがある。ペンシラーは毎回違うこともある。それゆえに、1つのタイトルが何十年も続いちゃうのである。それゆえに毎号フルカラーで出せるのである。それゆえに、号によって絵が違う、伏線は忘れ去られたりする、等もありうる。 世界観やキャラクターが会社のものであるから、スパイダーマンにX-MENがゲスト出演なんてのもできる。会社同士で話がつけば別な会社の漫画キャラもひょっこり顔を出す。 もっとも興味深いのが「クロスオーバー」。いくつかの漫画で話がつなげられるのである。たとえば、X-MENという漫画とGhost Rider という漫画でのクロスオーバーは X-MENの8号で始まり、その続きが Ghost Rider の27号、その次が X-MEN の9号、そして Ghost Rider の28号で話が完結している。だから、カプコンのゲーム『X-MEN VS Street Fighter』なんかも、アメコミな人から言わせると X-MEN と Street Fighter のクロスオーバーである、と言える。 アメリカではクロスオーバーは普通のことみたいで、私は以前「KOF と らんま 1/2 のクロスオーバー小説」を発見してしまい、びびった覚えがある。(あ、アメリカの漫画を読む人たちの間では高橋留美子さん、人気があります) |