準備行動
あれは1996年・年末のことではなかったか。chackからメールがきた。
「今度ホームページを作ることになった」「いま作るとしたらX-MEN VS STREET FIGHTERのことになるだろう」「知ってる?」
はっきり言って知らなかった。で、私は「X-MENは名前は知ってるけど見たことはない。STREET FIGHTERはやったことがない」と返事を書いた。
自分がいかにトンチンカンな受け答えをしたかはすぐに分かった。ゲーセンにX-MEN VS STREET FIGHTERが入っていたからだ。
chackが言ってたのはこれか! と、しばし眺める。今度のメールで感想ぐらい言わねばなるまい。で、見物しているとちこっとかっこよさげなキャラクターがいた。
ちょうどそのキャラクターを操っている人がうまい人で、私はいきなりEDを見てしまった。エンディングには可愛らしい女性キャラが出てきていて、そいつは彼女のことを「シェリ」と呼んでいたのだが、直後、「*フランス語でいとしい人の意」というメッセージが出てきて雰囲気をぶち壊していた。
それがガンビットだった。そんなわけで「ガンビット」=「だっせーメッセージ」のイメージが残った。
と言っても、そのときはゲームはしなかった。どうもあの激しい上下動に目が慣れられなかったからだ。まあ、そのときはそれで終わりだった。
予備動作
X-MEN VS STREET FIGHTERは好評だったらしく2作目が出た。MERVEL SUPER HEROS VS STREET FIGHTERである。
私は喜んだ。
なぜならダン師匠がいたからである。ダン師匠は私のお気に入りのキャラであり、さらにはダンとさくらという組み合わせが気に入っていた私は「まあ、そのうちやってみよう」と思っていた。
で、ほとぼりがさめたころ(=人々がやらなくなったころ)ちょこっとやってみた。難しかった。挑発伝説ができなくて残念だった。それに、たいてい3チーム目ぐらいで終わってしまうし。
でも、まあ、どういうゲームかちこっとは分かったわけだ。
始まりは突然に
1998/2/19 私は自分が大学院に合格してしまったのを知った。けれど、これからの暗澹たる前途を思ってかなり落ち込んでいた。
で、遊びまくって少しは元気になろう、とゲーセンへ。
試験の前からいつもならやりもしないシューティングをムキになってやっていた私はとつじょ、たまには違うゲームに手を出すか、と思いたった。そんな私の前にMERVELS VS CAPCOMがあった。
よし、こいつをやってみるか、と50円を放り込む。触ったことのあるキャラクターは1人もいない。前作でいなくなっていたガンビットがいたので、「ふむ、そういえばこいつは見覚えが・・・」と選び、あと1人に困った僕はリュウを選ぶ。
やり始める。
私が格ゲーをやるときはほとんど何も考えずにレバーをガチャガチャやってボタンをばしばし押してるもんだからめちゃくちゃである(そもそも6個もボタンがあると指が足りないじゃないか)。 だもんだからその必殺技が出たのは偶然である。いや、私の場合コンスタントにそのコマンドが入ってしまうのだから必然であったとも言える。
Kinetic Card!
ガンビットはそう言った。
もともとが人の少ない穴場のゲーセンな上に0:00近くのその時刻ではまわりに他の音は何もない。だから、その「強い囁き声」といった感じのボイスははっきりと聞こえた。
うわぁ、かっこええ!
私はその瞬間、ガンビットにころんだ。
声に惚れ込んでしまったのだ。
良く分かっている、ガンビットは元々が漫画のキャラクターであるし、アニメがあるとはいっても、ゲームの声とは違うに違いない。
だから、ゲームのボイスでころぶなんて、根本的に間違っている。
けど、まさしくその瞬間ガンビットにはまってしまったのである。
帰り道
その時のゲームの結果は3チーム目止まりぐらいだったかな。
リュウはけっこう勝手に真空波動拳だしてくれるのに、ガンビットはなぜかバタバタ(=Royal Flashのこと)やってくれなかった。コマンド入れてるつもりだったんだけどなぁ(注:2つは同じコマンドである)。
まあ、そんなこんなで店の電気は落とされて、私は帰りの道々考えた。
うーん、あの「Kinetic」って言葉、聞き覚えがあるぞ。
しばらくして、はたと気づいた。
そうだ、「気体分子運動論」。あれはたしか「Kinetic」って言葉が入ってたぞ。
この風変わりな響きを持つ単語にであったのは「気体分子運動論」のときが最初だったもんだから、私はKineticと聞くとすぐそれを思い出すのだ。
もっと簡単な「Kinetic Energy」という術語を思い出すのはその後。こちらは「運動エネルギー」のことである。
ということは「Kinetic Card」って「動くカード(トランプ)」? 投げてんだから当たり前だろ! そりゃゲームだから必殺技の名前は勝手につけたんだろうけど、いったいなんだってそんな名前なんだ?
謎は謎を呼ぶ
私ははっきり言って、アクション系のゲームはへたくそである。だから、ゲームにはまるときは「ゲームシステム」にはまるというよりも、「キャラクター」や「サウンド」にはまるといった方が正しい。
このときがまさしくそうで、私はガンビットについてもっと知りたくなった。
しかし、どうやったら資料が手に入るんだ? アメコミは膨大だし、私はそのなかでガンビットがどれに出てくるかも知らない。さらには日本でそれを手に入れるのは難しい。
でも、気になってしょうがなかった私は手始めにアメリカのyahooにアクセス。あるかなーと思いながら「gambit」で検索してみる。
あるんだわ、これが。
でも、ほとんどリンク切れ。
ほかにも単語をいれてみたり悪戦苦闘した挙げ句、「X-MAN」と「X-MEN」は違うことに気づく。(私は最初X-MANと検索していた) この、「X-MEN」でいくつかのサイトがヒットした。
その中にアニメのほうの公式サイト?らしきものがあった。そこにちょっとした紹介が載っていた。
「本名Remy LeBeau・・・」。
ふむふむ、レミー・ルボーと言うらしいぞ。
「彼はthiefでgambler・・・」。
しまった、ろくな奴じゃねぇ!(笑)
「彼はKinetic Energyを小さな物体にchargeすることができ・・・」
んなこたぁ誰でもできるわ!
「それは触ると爆発する」
あ、そりゃ普通の人にはできんわなぁ。
「He is a Cajun・・・」
あれ? ゲームでは技名でケイジャンって使ってたからてっきり形容詞だと思ってたんだけど、こりゃ名詞らしい。
で、辞書を引いたところ、「カナダのアカディア出身のフランス人子孫であるLouisiana州の住人」とある。なんか悪い日本語の典型みたいなもんだが。
要するに、彼はフランス人じゃなくて(僕はそう思い込んでた)アメリカ人なんだ。フランス系カナダ系アメリカ人(分かりにくいな)。しかも、Louisianaの人。
となるとこの「Cajun」って言葉は一地方人を表す言葉にすぎないわけで。
となると、ゲームで叫んでた必殺技って「江戸っ子斬り」とか「道産子打ち」とか「九州男児大爆発」とかそういったような名前なんか! 深く考えないように
でもなぁ、わざわざCajunって言葉があるぐらいだからきっとこう独特の文化とか典型的気質があるんだろうなぁ。典型的気質ってどんなのだろう?
さらに、Gambitっていわば通り名なわけだけど、こっちも辞書を引いてみると、「[チェス]ポーンなどを捨て駒にする差しはじめの手」とある。
なんか分かるようなワカンナイような。
彼は捨て駒なんすかね? それとも尖兵って意味?
そして漫画に手を出す
いろいろと情報を集めたけど、やっぱり漫画で読んでみたい。
で、とつじょ「エイジ・オブ・アポカリプス」と「オンスロート」の邦訳を買う。
で、思ったんですが、なんかガンビット、気の毒でないですか? 気のせいですか?
でも、僕は気に入ってしまった。となると、もっと読みたいんだけど、札幌じゃ原書探すの難しいしなぁ・・・とか思っている僕に春休みという悪魔のたもうた恵みが。(笑)
実家がこの頃、東京にあったんすよ。
そしてひさびさのはまりもんなんですよ、ガンビット。
2,3年に一度「おおはまり」とも呼べる現象に襲われるんだけど、はまっちゃうと、こらえ性がなくなっちゃうんだよなぁ。特に昔と違って小金持っている今は。
散財は確定した。(笑)
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