招かれざる客

「人種差別はいけない」と分かっていても,自分の娘が苦労すると思うとどうしても結婚を許せない父親.「まだ時代が許さない」と言い張る彼に「ならいつ変わるのだ!」と問い掛けたくなってしまった.

その妻(キャサリン・ヘプバーン)の方は最初こそ驚いていたものの,娘の想いの強さを知って必ず娘の味方になると決意する.自分の夫が常日頃主張してきたこととは正反対の行動をとるのを見て,いつか泣きだしてしまいそうな表情をしていて同情してしまった.

驚いたのは,白人側の差別だけでなく,黒人側の差別も(というか,白人とは相容れないという考えが)あること.その筆頭がなにかとつっかかるメイドさんだし,医師の父親もひどく反対していた.

医師とその父が言い争い,父の言い分に我慢していた若者が「僕を育てたのは義務だったからだ!僕を縛らないでくれ!」と叫んでしまうのだが,そのあと深呼吸して「父さん,愛してるよ」と言うのが印象的だった.衝突することはあっても,互いに互いのことを想っているのがわかる一言ではないか.

新聞社主の親友の牧師さんが一番面白かった.彼は結婚に賛成で,新聞社主をからかいつつ説得しようとするのだ.

でも,決め手となったのは医師の母親の言葉.この人はひどく静かで優しい声の人で,「困難は承知の上でしょう,それよりも二人が互いを必要とし合っていることが大事なのではないのか? 男の人はなぜ若いころの情熱を忘れてしまうの?」というようなことを言うのだ.

これだけ書くと,重い問題扱っていて沈鬱なようだけど,合間に笑いもはさんでいるので全体の雰囲気は明るい.

そうそう,新聞社主の娘ね,差別意識がまったくないのはいいけど,あまりに楽天家すぎるよ.問題なく育ってはいないよ.(笑)

余談:スペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘプバーンのコンビとか,シドニー・ポワチエは有名だけど,初めて見たわ.シドニー・ポワチエ,さわやか好青年だった.(笑)いや,なんとなくコメディの意識が強くてさ.

招かれざる客 [DVD]

日時: 1997年4月 2日 | 感想 > TV/映画 |

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