今日は毛越寺に泊まっています

今日は早めにホテルを出る.……はずなのに先生方2人が待ち合わせの時間にロビーにこなーい.

空は快晴,札幌から出てきた身には暑くてしょうがない.最高気温は27度だって天気予報でも言っていたなぁ.

道すがら,助手のM先生は途中で御飯を食べていけばいいよ,と言うのだが私にはとてもこんな時間(8時ごろ)に食事ができそうな店がありそうに思えない.M先生は横浜出身の上,あとは札幌にしかいた事がない,つまり大都市の様子しか見てないわけで,その辺の鼻はきかなそうだ,と私なんかは思うわけだ.

だから「ありますかねぇ」と言う私にM先生は「そりゃ,あるよ」

でも,実際,食べられる店はみすぼらしい店が一軒のみだったので会場についてからM先生もさすがに「たしかに,なかったね」と認めていた.

最初は一緒にいたんだけど,ボスとM先生にあっさり置いて行かれた!

そんなわけで,私は2人がどこに行ったかも分からず,まぁ,いいか,と観光モードに突入する事にした.

まずは岩手大学内部から始める.

岩手大学は旧盛岡農林学校だったそうだ.その建物が一部残っていて,それが重要文化財だったりするのだ.このあたり,北大が札幌農学校だったのと似ている.

ぜーんぜん観光資料とかは調べてなかったから,学会の総合受付に行き,先着1000名に配られる盛岡観光のパンフレットをもらう.

おやおや,農林学校って宮沢賢治がいたんだ~.そーいやこの辺の人だったし農業な人だったし,理系な人だったよな,彼.

資料館になっている旧農林学校の建物で入場券も買わずにちゅちゅちゅと入ってきちゃった.宮沢賢治関連の資料,けっこうたくさんある鳥の剥製コレクション.それから……なんや,梅宮林太郎さんもここにおったんか!(世界で始めてビタミンを精製した人ね.まぁ,彼はオリザニンと呼んでいたんだけど)

ここまでで13時近くになったし,そろそろ食事でも,と思い,ここは本場の盛岡冷麺をと思って近くのお店に行ってみたら,むちゃむちゃ混んでやがんの.注文はなかなか取りに来ない,来たと思ったら無視されて,向かいに相席になった人が見かねて,おばちゃんに言ってくれなかったらいつになった事やら……

盛岡冷麺ってのは韓国からのもんなんだってね(これは友人のNKが教えてくれたので知っていた).盛岡に来て不思議だったのは「焼肉・冷麺」とセットになった看板が多い事.えー,焼肉に冷麺かよー,と思ったんだけど実際,そういうセットのメニューがある.

私もそれを頼んで,おいしいおいしい,と食べてたはいいんだけど,焼肉についていた緑色の唐辛子,これが大当たり.バクバク食ったら鼻水が出てきたような気がして,おや?と思ったら次には涙が出てきた.舌はびりびりして我慢ならない.いそがしく動いている給仕さんを捕まえる時間ももどかしく,勝手にコップに水を入れて持ってくる.同じ行動を取っている人が何人もいたので,きっと同じ目にあっていたのだろう.(笑)

あとで平泉のガラス博物館のおっちゃんが焼肉食った後に冷麺でしめるのだ,と教えてくれた.すきやきの後のうどんのようなもんだろうか.

ここでもたついて14時になってしまった.さらにちこっともたついて,どこも見てないのに盛岡駅についたのが15時ごろ.次の宿は平泉にとっていて,17時に行くと言っていたので盛岡観光はあきらめることにする.

さて,盛岡駅の地下にからくり時計がある.これ,場所が悪くて,普通に歩いていて気づく人ってほとんどいないのではなかろうか.ちょうどなる少し前ぐらいに気づいたので眺めていたら,はじまった,はじまった.各国の子供たちが出てきて楽器演奏・歌を披露するというもの.たぶん,姉妹都市を選んでいるのだと思う.曲目はオリジナル曲と「マーチングマーチ」だというので,なんだろうと思っていたら,「マーチったらチッタカター」で始まるあの曲.……なんでこれなんだ! わかんねーぞ,盛岡! この周りの店の人って日々これを聞かされているのか……

さて,それを眺めた後,緑の窓口で時刻表を調べ,時間が迫っている事を知って慌てて飛び乗るは東北新幹線・やまびこ18号.実は掲示板で「18」という字を見て,18番ホームなのだと勘違いし,「11から14までしかねーぞ,どーすんだー!」などとボケた事をしていたのでほんと,ぎりぎりに駆け込み乗車した.

これだと次の駅が一ノ関なのね.15時16分盛岡発で,一ノ関着が15時44分.ちょっと時間あるなーと思ってパソコンでたまっていたメールにざっと目を通していたのだが,20分もしないうちに酔いはじめの兆候がでてきたのでやめる.

一ノ関で降りると,今度は普通電車に乗って2つ戻れば平泉.何線なのか知らないけど,盛岡行きに乗れば間違っちゃいねーだろうと,その電車に乗りこむ.

そういや,不思議だったんだけどね,どうして東北の電車は自分でドアを開けるようになってるの? 仙台に行ったときもそうだったし,ここでもそうだった.

電車に間違いはなく,16時に出発した電車は10分程度で平泉へ.駅前の観光案内所でパンフをもらい,とことこと宿である毛越寺へ.

平泉というところは店らしい店がほとんどなく,なんとなーく,高岡だったかそっちのほうの瑞龍寺に似ていた.とちゅうの観自在王院跡というのはほんとなんもないところで,青々とした草が広がっていて,長椅子が数脚あるのみ.こういうとこ,好きなんだよね.

途中のガラス博物館(自体じゃなくて入場料の要らない付属のお店のほう)に入ったら,おっちゃんがやたら話好きな人でけっこう時間がたった.毛越寺のユースに泊まるのだと言ったら,「あ,じゃあ朝早く起きて座禅を組むんだ」と言われた.ま,待ってくれぇ! そんな話,聞いてないぞ~!

後でユースの人と喋っていたときに,毛越寺の年間行事の話になって座禅は7月から9月の10日までの行事で有料なんだけどユースに泊まった人は無料だ,ということだそうだ.ちなみに,ユースに泊まると毛越寺の拝観料も無料である.

平泉というと「中尊寺」しか知らなかった無知な私.「毛越寺」を思いっきり「けえつじ」などと読むのだと勘違いしてました.正しくは「もうつうじ」.読めねぇって,普通.

でも,そういえば来る前にボスが「平泉の "もうつうじ" でも見に行くか」と言っていた.だから,普通の人は知ってるのかと思ったら,ボスは修学旅行で来たんだそうだ.しっかし,金沢からここまで修学旅行で来るもんかね.

毛越寺は知らないくせに,平安貴族の衣装を着た人が小川のそばに間隔を置いて座って,和歌を読んでは小川に流すとかいう行事は知っていた.この行事が行われるところこそ毛越寺で「曲水の宴(ごくすいのえん)」と言うのだそうだ.

宿泊所についてみると外人さんと受付のおじさんがもめている.おじさん,英語がワカンナイのだ.しょーがないので横から片言の英語で口を出す.そのせいで,この後,さんざん通訳代わりに使われた.

ちなみに,おじさん,私の事を名前に「ちゃん」付けで呼んでくれやがる.いやね,予約の電話入れた時にさ,名前を名乗ったら「あれ?男だよね?」とか言われて「いえ,女です」っつったら「あ,こりゃ大変失礼しました,今度からSousuiちゃんって呼ぶからな」と宣言されちゃったんだよね.

夕飯は頼んでいなかったので食べに出る.といっても,ほんと,店がないんだよね.しょうがないから昼に引き続きまたも韓国料理(なんでこのあたり韓国料理なのかなぁ).韓定食ってのを食べた.ボリュームもあっておいしかった.

ちょっとぶらぶらしようかなぁと思ったんだけど,あたりは真っ暗.真っ暗なだけならまだしもポツリポツリと雨が降ってきたので早々に宿に帰る.お風呂が大きくて気持ちよかった.

明日は平泉を見て回った後,盛岡にとって返してそこに泊まろうと思ってユースに電話してみる.昨日の例もあるので愛想いい声を出すように心がけてしゃべる.

Sousui
明日1人泊まりたいんですけど,空きはありますでしょうか.
ユースの人
はい,分かりました.お名前をどうぞ.

名乗る.難しい名前でもないのに向こうでなんかうなっている.

ユースの人
男性ですよね.
Sousui
……女なんですけど.
ユースの人
あ,申し訳ございません.女性の部屋は埋まっているんですよ.今,物理学会というのがありまして.

恐るべし,物理学会!

そういや,昨日,ボスが学生の頃ユースを使っていたという話をしていた.

ボス曰く「ミーティングってのがあるんだけど,そんな席でなんで来たのかって言われて『学会で来た』なんて言っちまうとしらけるんだ」と言っていたっけ.

しょうがないので,盛岡観光はあきらめ,雫石YHを狙う.市外局番なのでテレホンカードの度数がどんどん無くなる,無くなる.それにおびえながら話す.

Sousui
明日,泊まりたいんですが,空きはありますでしょうか.
ユースの人
はい,ありますよー.男性1名ですか?

だーかーらー!!

結局,そこは取れたんだけどね.よく考えたらユースの人に電話で女だって分かってもらえた事ないや.大阪に行ったときもそうやったし.

日時: 1999年9月24日 | 旅行記 |

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