私は,そのとき,珍しくテレビを眺めていた.
久しぶりに紅茶をいれて,1杯,2杯と飲みながら,ポットを空けてしまったら2階の自分の部屋に引っ込むつもりで,チャンネルを5分ごとぐらいに回しながら面白くもないテレビを眺めていたのだ.
そうしたら,「世界貿易センターに飛行機が衝突」とテロップが流れた.あわててCNNをつけた.見事にぶつかっていた.もうもうと煙が上がっていた.「なんだってそんな低いところを飛んでたんだ?」と思った.そのとき,2つ目がぶつかった.「わざとだ……」そう思った.
それからずっとニュースを見ていた.いろいろな情報が流れてくる.
私が思ったのは,「ぶつかった飛行機に乗っていた人々は何を感じただろうか」「逃げ場のないビルの中で人々は何を思っただろうか」ということであり,「テロで何事かを変えることができると信じるとはなんて単純なんだ」ということであり,「飛行機で特攻という事態に旧日本軍を思い出す人もいるのではないだろうか」ということであった.
結局,感じた気持ちは「悲しい」ということだ.