6月4日を無事乗り切るべく,定期預金を切り崩すことにした私こと淙穂は,はんこと通帳を持って家を出た.
預金は地方銀行の口座にあり,その支店は東京には6つしかない.
係長に事情を説明したところ,おおいに同情してもらえ,「昼休み延長許可」を得られた.
さあ,出発だ,今,日は昇る~♪
じゃなくて,私が銀行へ一路向かったのは12時すぎ.迷うこともなく,支店には着く.これで一安心と,通帳を差し出した.すんなり受け取った窓口のお姉さん,待たせた挙句にこうのたまわった.
「これ,うちの支店じゃないからおろせないんですよ」
…へ?
いやね,多少,そんな気もしてはいた.しかし,窓口のお姉さんがすんなり受け取って引っ込んだ時点で安心していたのである.
一度安堵させてから落とすというのは物語の常套手段.しかし,物語の主人公は危機に陥るのでありました.
「通帳ごと支店に送る手続きはとれますけど」
「それ,いつお金が入るんです?」
「そうですね…速くて4日…ですかね」
だめだ.危険すぎる.4日過ぎたらまったく意味ないし.
哀れ,とぼとぼと帰ってくるしかなかった私の名前はそうすい.
ところで,今朝,起きたらのどが痛くて仕方がない.鼻水も止まらない.
「風邪?」
「いや,熱はないから風邪じゃないですよ」
それからしがらく,熱は風邪の必要条件か否かという論争が起きる.
そんな素敵な今日一日が,不肖わたくし淙穂の誕生日.