ららら科學の子(矢作俊彦)

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ららら科學の子

殺人未遂に問われ,中国に密航した男が30年ぶりに帰国する――というシチュエーションゆえに,暴力に彩られた私の嫌いな類の話かと思っていたのだが(←ならなぜ読む),感じたのはノスタルジアだった.戻ってこぬものへの哀惜だ.ありえたはずの生活はどんなものであったのか,とふと思う.

しかし,主人公の感情のぶれはあまりなく,何かあいまいな印象の世界をあいまいなままに泳いでいる.冷酷とか冷静というわけではない.彼はそもそも主義も主張も持っていなかったのではないだろうか?

彼の妹が彼の存在を拒まなかったときに,私はひどく安堵した.

2004/5 下旬 読書開始 - 読了

日時: 2004年7月16日 | 感想 > 本 |

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