書けば書くほどよく分からない

同じ課の人がビラをくれた.

「友達が,今度,お店のオーナーになって,今日までサービスやってるんですよ.よかったら来て」

そうか,と思い,定時退庁できる幸せな日々であったこともあって,早速出かけることにした.と,その紹介してくれた人も行くというので,2人で一緒に出かけた.

場所は新宿三丁目.伊勢丹のそばだ.

狭めのその店は,なんだか,海外ドラマに出てくるイギリスのパブを思わせた.ちゅうか,客が外人さんばっかや.イギリスの,と書いたが,オーナーはオーストラリア人である.

詰め込まれるようにして,予約もしていないのに予約席に陣取り,とりあえず注文.オーダーのたびに料金を払うところも,なんだかそれらしく,なんとなく私はモース警部のシリーズを思い出していた.

どこの物だかよく分からないビールを頼んだら,でっかいグラスにつがれて出てきた.フィッシュ&チップスやらカンガルーのステーキやら頼んで飲んでいると,いきなり,目の前の人がズボンを脱ぎだした.

のみならず,30人ばかりの人々が次々に着替え出すのである.

「何が始まるの?」

「……ジョギング?」

なんと,本気でジョギングだったのである.新宿御苑に向けてひとっ走りして来るというのだ.

やがて,オーナーの奥さんがやってきてテーブルに加わり,その知人らしい中年男性二人連れが相席になり,初対面だというのに奢られる.

また,私の連れの友人が次々にやってきて,これまた注文してはみんなでつつく.

店は混雑を極め,怒鳴らないと話など聞こえない.

そうしているうちに,ジョギング組が帰ってきて,また,人目も憚らず着替え出す.

こういうのも面白いもんだな~と思いつつ,自分の財布は傷めずにたらふく飲み食いして2時間,そろそろ暇を乞うことにした.

そこで,連れに「先に帰るよ」と言おうとしてはたと気づいた.

……あの人,なんて名前だっけ.

そうなのである.私は名前も知らない人(顔はさすがに知ってたが)に連れられて新宿に飲みに来て,初対面の人にさんざん奢られていたのである.

そう考えるとどうにもおかしかった.

見送ってくれた連れが,その店に贈られた開店祝いの花を何本もかっぱらって,渡してくれたので,今,それが私の部屋のTVの上に飾られている.(連れが言うには,こういう花は,どんどん持って行かれて速くなくなった方がお店が繁盛するのだそうだ)

引っ越してきたとき,荷物の中から使うとも思えない花瓶が出てきたときには途方に暮れた物だが,やっと役に立った.

日時: 2005年1月26日 | 雑記 |

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