静かなるドン(新田たつお)

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静かなるドン
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下着会社の平社員・近藤静也は,実は広域暴力団新撰組の総長,というとんでもない設定の任侠漫画.

学生時代に突然はまって,当時刊行されていた40数冊一気買いした.巻数が多いし,コンビニにも置いてあるしで名前だけ知っていたのだが,基本的に暴力沙汰・流血沙汰は嫌いな人間なので,手を出すとは自分でもちっとも思っていなかった.基本がギャグで,シリアスな局面でもギャグが沸々と流れているからなんとか読めたんだと思う.可哀相なところはいつ見ても哀しいし,人死にがバンバン出ると怖いんだけど.

なんかね,こう,登場人物の名前とかネタとかそんなんおるか!!というような変な敵(まともな人はまともですよ)とかがつぼにはまったみたい.

題名が『静かなるドン』でしょ.暴力団の名前が新鮮組でしょ,で,組員の名前は新撰組から取っている.好きな名前はですね,主人公近藤静也の父,近藤勇足(いさみあし)(どーゆー名前だ!)とか沖田寝多(ねた)とか.これ,どっからとったのかな~と考えるのが楽しい.

この漫画で好きな台詞(というか,地の文なんだが)は,山野穴太はそら怖く~人の言うで,これ,読んだとたん吹き出すとともに,作者,頭いい人だな~と思ったため,ずっと覚えている.

主人公の近藤静也は,よく「昼間は平凡なサラリーマン,夜はヤクザのドン」と紹介されているのだが,違う.あれのどこが平凡なサラリーマンだ.あれは「どうしようもない,なんでこんな奴がデザイン部門にいるんだ,これ以上落ちるのは難しいぜってほどのダメ社員」である.思うに,秋野さんのすごいとこは,ヤクザのドンと知りつつも静也を愛することでもなく,二代目姐と張り合ったり,静也救出のために単身鬼州組のまっただなかに乗り込んだりしたことでもなく,近藤静也にデザイナーの才能があると信じていることだと思う.

長い漫画なので(2005年1月現在70巻だ.ちゅうか,私はけっこう大部にはまるなあ.ジョジョといい,ドカベンといい)登場人物も多く,好きな人も多いんだけど,一番はやっぱり鳴戸さんでしょう.龍宝も好きだけど,ボケられないんだもん,龍宝.男はボケられてこそなんぼ.

考えてみると,静也を無能扱いしたことがないのは鳴戸さんだけだよね.まあ,鳴戸さんは自分自身が破天荒な人だからな.初期の頃の服装,どうやって着てるんだろうというほどイカれた格好だった.スーツはいいとして,ネクタイどうやって結んだのよ,アレ.最近の鳴戸さんは格好はまともだけど,偽名のセンスが無くっていいなあ(いいんかい).どう考えても,本名の鳴戸竜次のほうがまともである.あ,そういや,この人の名前の元ネタはなんなんだろうなあ.鳴戸といえば『鳴門秘帖』ぐらいしか思いつかないよ......って,このネタもあったね,吉川英治は中学時代に読みあさったので,なんか嬉しかったんだよ,このネタ見たとき.「鳴戸秘帳」の表書き見る限り,鳴戸さん,達筆だね.

鳴戸さんと理江ちゃんのコンビ,好きなんだよね.なんか,爽やかでしょ.コルレオーネの話の最後なんかさ,ああ,いいなあ,と思った.青空だ.すごく似合う.

静也にとって,鳴戸が味方についたことはものすごく大きいと思う.鳴戸自身が切れ者で腕っ節の強い人間であることもそうなんだけど,なんせ,これによって,新撰組最強集団:鳴戸組がついたんだからね.でもって,はっきり言って,鳴戸の信頼がなければ龍宝は三代目の馬鹿さ加減に疑いを持つことさえなく,最終的に秘帳がなければ静也についてないでしょう?あ,結局のところ,静也って何で龍宝が味方になってくれたんだか分かってないんだよね.信頼厚いけど.あのよけいなことしました,総長ってとこはお茶目だよな.

もし,鳴戸さんがまともな貸元頭で,この人がまともに三代目組長になっていたら,静也はこんなに悩まなくて済んだんじゃないのか?......そうか,この人が全ての元凶だったんか!!まあ,それは物語の前提を思いっきりひっくり返すからつつかないことにして,新撰組から離れ,鳴戸組組長(および新撰組貸元頭)を龍宝に押しつけちゃったということに多少の引け目は感じてるんじゃないかなあ.

でも,鳴戸さんは自由人だから今の状態がいいんだろうなあ.静也・龍宝・猪首あたりは残念がるだろうけど.きっと,静也なんかは鳴戸が羨ましくて仕方がないと思うよ.妙な話だよね,足を洗いたい静也が洗えなくて,極道でしか生きられないと言われた鳴戸さんが抜けちゃったんだから.でもって,鳴戸さんがそんな境遇になれるのも龍宝という後継者がいるからだよね.また,ことある毎に顔出してください,鳴戸さん.海外で窮地に陥っている鳴戸さんのために大暴れしに出かけるってのもいいなあ.(ただし,その場合,絶対に龍宝は日本に残ることを承諾しないだろうから,留守中が心配すぎる)

龍宝は普通にクールでかっこいい.バイクで疾走する龍宝はすっかりマトリックスルックだった.似合う.しかし,組長らしくはない(笑/いや,まあ,組長が組長らしいことしていることがあんまりない漫画だから,1人龍宝のせいではないんだが).いいとこ取り大魔王で,あまりにも測ったようなタイミングで出てくることが多いので,たまに,出てくると笑ってしまう.......そうか,かっこよさも突き詰めると笑えるのか.よっしゃ,合格(何がだ).

その龍宝をお姫様だっこしてしまうアニーさん,大好きだったので,ロシアンマフィア編は残念だったなあ.

龍宝にとって鳴戸は神聖不可侵・唯一絶対無二の神だよね.たとえばさ,静也と鳴戸が相反する命令したら,この人,絶対,鳴戸さんに従うよ.「龍宝,悪いが,俺のために死んでくれ」なんて言われちゃったら,喜んで死んじゃうよ(そういうこと言わない鳴戸さんだからこそついていくんだろうが).クールでほっとんど表情変えない龍宝が鳴戸に会うと男泣きに泣くもんね.アニーのクールな龍宝がメロメロという台詞は実にこれ以上ないぐらい当を得ている.こん時の龍宝がまた少年みたいな表情でさ,サシで飲んでるときなんか嬉しくってしょうがないって顔してんだ.構ってもらって嬉しい大型犬みたい(笑).でもって,いなくなっちゃうと寂しい顔をする.鳴戸さんがいると龍宝,自分が組長なのを忘れてる.もしかしたら,鳴戸がいればボケられるんじゃないかなあ.この2人の最強タッグをもっと本格的に見てみたい.

あとですね,六本木陰獣会の清川と岩倉のコンビがすごく好きなんだが.「でも,かわいいv」とか言ってごっつい顔のおっさんがバーとなごやかに笑うの見ると,「あんたがかわいいんじゃ,われ!」と叫びたくなるね.

ボケといえば生倉さんですね.肘方はそれなりには常識人であるので,なんといってもダメ幹部筆頭は生倉でしょう.鳴戸さんに新八よばわりされてて,本人目の前にしてしまったら絶対に頭あがんないとこなんか大好きだ.エンエン恥も外聞もなく泣く場面とか,スペル・エンペラーに「スペルや......」なんて言ってるとこも.

かなり長いつきあいになってしまった海腐さん(この人の名前,海部首相から取ってるよね.すごいな,何年前の話だ)はすんごく好きで,この人の娘さんも好き.それにな~得物が日本刀だもんな,この人.いや,大久保さんも得物が刀だけどさ,貫禄がちゃうでしょ.龍馬は悪いけど,さほど好きじゃない.う~ん,どこがどうと言われると困るんだけど,何か気色悪いんです,龍馬って.海腐さん,もうちょっと頑張ってくれんかな.

そうだ!残念といえば,影虎さん.むっちゃ好きやったんに.東の龍宝 VS 西の影虎をすごく見たかったよ.ホントに.あのですね,龍宝にしろ,鳴戸さんにしろ,ルックスはさほど好みでないんです.(あっ,と言っても,私が嫌いなのは主に髪型なんで,新撰組離脱後の鳴戸さんはけっこう好きです)外見で行けば,好みは影虎さん.

んーと,けっこう語り出すと終わんないんでこの辺で.

日時: 2005年1月22日 | 感想 > 漫画/アニメ |

コメント (2)

鳴戸さんイイですね。王将のスーツ最高です。

おお,ドンのファンで来ましたか.(笑)
最近は普通に鳴戸さん復帰してますね.物語は終盤に入ってると思うんですが,どこまで行くつもりなのか,いつ終わるのかさっぱり分かりません.

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