研究室のボスが9日から11日まで,東京に滞在していた.
昼近くになって,電話が鳴った.
「お昼いつもどうしてるの?」
「買いに行ったり食べに行ったりしてますが」
「よかったら一緒にどうですか」
そんなわけで,一緒に食べに行きました.
サシで会話が続くのか心配でしたが,半年会ってないと,そこそこしゃべることはあるようで,場はちゃんと持ちました.
「サラダはどこにあるの?」
「ああ,あそこにあるんですよ.取ってきましょうか」
返事も聞かずに大皿にてんこ盛りにして持って帰ると,ボスは箸をひっくり返して取り分けている.へえ……私もそうした方がいいかな,とその瞬間は思ったのに,自分がサラダを食べる頃にはすっかり忘れてバクバク普通に食ってました.
「アイスもあそこにあるの?」
「はい,そうです」
するとボス,立ち上がって取りに行ったようだ.
え?アイス食べんの?なんか身体に悪そうだとか言い出しそうなのに.もしかして,取って来いって暗に言ってたのか?でもなあ,ここのアイス,固まりから取り分けるヤツだから,取るの大変なんだよなあ.まあ,ここは,自分の食事を片づけるのに手間取っててそんな余裕は無い振りを――
しかし,ボスは私が食べ終わっても帰ってこない.
心配になって見に行ってみた.
ボスがアイスと格闘していた.これは予想通りだ.
そのそばに,皿が2つあった.これは予想外だ.
ひゃ~,それ,私の分ですか~!!
というわけで,教授にアイスを取ってこさせてしまいました.
――ちなみに,彼の頭の中には「奢る」という単語はなかったようです.
そんな人だからこそ,人のアイスをよそっているとは予想外でした.