鉄道員〈ぽっぽや〉(浅田次郎)

私はすぐに感動するたちで,話しながら涙を浮かべていることがしばしばある.それを面白がった同じ係のFさんが「感動する本,持ってきていいですか.絶対泣きますよ」と言って持ってきてくれたのが,これ.

実際,泣ける話が多くて,どちらかと言えば,通勤列車の中とか喫茶店の中で本を読むことの多い今日この頃,非常にやばかった.

傷を持った人の再生の話が多かったような気がする.傷を傷と気づいている人も気づいていない人もいるけれど,そこから先に進めなくなった時に癒しが舞い降りる.傷は傷として残るのだけれど,一歩を踏み出せるようになればいいと思う.

鉄道員
表題作.これは泣いた.これ読んでいたのは,外でお昼を食べている時だったのに,涙が出てきて,しかもハンカチ持ってなくて,お手ふきで涙ふく羽目になった.出てくる人がみんな優しい.特にキたのが,中学生だった秀男がユッコを抱えて泣くところだ.高倉健さんの映画も観てみたくなりました.
ラブ・レター
これも映画になってなかったですかね.「ありがとう,さよなら」と言える白蘭こそが一番優しいのだろう.そして,主人公はずっとしょうもない人生であったことになにかとてつもない侘しさを味わったのだろう.
悪魔
家庭教師は結局のところ,悪魔ではなかった.では,家に巣くった悪魔はどこからもたらされたのだろう.
角筈にて
捨てた,捨てられた.愛情はあったのに捨てた.そんな話.一家総出で癒そうとしてくれた取り巻く人々のなんと優しいことか.
伽羅
マヌカンはなんだったのだろう?なんなのだろう?
うらぼんえ
Fさんが一番泣いたと言っていたのがこの話だった.確かに,お祖父さんとのエピソードは泣けるけれど,主人公にどうも感情移入できない.少なくとも四面楚歌になる状況に飛び込んだのは自業自得じゃないか.
ろくでなしのサンタ
シムノンの『テルヌの小さなレストラン』を思い出しました.
オリヲン座からの招待状
2人はこの後どうするつもりなのかな?

2006/1/30 読書開始 - 2/5 読了

日時: 2006年2月12日 | 感想 > 本 |

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