陰陽師 瀧夜叉姫(夢枕獏)

長編です.

これは,すごい.

まだ少年だった頃に晴明が百鬼夜行を師に教えたという話から始まって,いろんな人の有名な逸話がどんどん繋がっていくのです.

今回は,大盤振舞なぐらいに術師がたくさんいて,呪のうちあいです.いつもなら物臭でさっぱり動かない,保憲(この人,マイクロフト・ホームズみたいだと常々思っている)も動いてます.一番凄まじいのは,浄蔵による焼き上げでしょう.

術者は皆が皆,都なんてどうでもいいと思っていそうな所が何とも言えません.彼らは天子のためには動いてはいないんだろうなあ.

いつもは晴明と博雅の話だなあと思うのですが,今回は東国の武士(もののふ)の話であったように思います.藤太さん好きや.剣戟もあるでよう.

可哀相な人が多かったですが,一番哀しかったのは,最後に笑って自ら焼かれていった武将です.鬼と化す前がおおらかな人物に描かれているだけになおのこと.伐った側も苦渋の思いであっただろうなあ.

陰陽師 瀧夜叉姫 (上) (単行本(ソフトカバー))

陰陽師 瀧夜叉姫 (下) (単行本(ソフトカバー))

日時: 2007年1月 9日 | 感想 > 本 |

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