科博に行きました.お目当ては特別展の,花 FLOWER ~太古の花から青いバラまで~.
「Sousuiさん,バラあげようか?」と訊かれて「何に使うんですか?」などと質問する私がなんだって花なんか見に行ったかといえば,
こいつが見たかったからである.青いバラってのは難しいらしいと知っていたので.
『シティーハンター』を思い出すなあ.確かあのエピソードではは3代目が望んだ花じゃないんじゃなかったっけ?うーむ,もうずいぶん前だから忘れてしまった.
と,思いっきり脱線しながら入場券を買いに行く.1300円也.
入るなり右手にあったミュージアムショップに引っかかり,『「湯川秀樹物理講義」を読む』を手に取り……
は,いかん,いかん.今日はそんなことしに来たんじゃないよ.
特別展の会場がどこだか自信がないままに歩いていくとフーコーの振り子がありました.
フーコーの振り子というと,前の職場のKさんが「私,フーコーの振り子って世界に一つしかないんだと思ってた」と曰っていたことを思い出します.Kさん,フーコーの振り子は実験のことです.どこでもやれます.ここにもあります.見てますか~.(おそらく見てない)
花展なので,たくさん花があるんですが,科博らしく,かつ,私が一番興味を惹いたのは,色素成分の話の所です.
驚いたのは,白い花は色素が白いのではないということ.ありゃ空気なんだそうで.つまり,泡が白いのと同じなんですね.
白い花として例示されていた花がまん丸で可愛かったです.
あと,黒も「黒」というのはないそうで,もんの凄く濃い紫とか赤とかそんなだそうです.こっちは絵の具なんかもそうらしいからなっとくできるな.
例示の花はチョコレートコスモス.こっちは名前が可愛いと思った.
花の展示だけじゃなく,匂いの成分も抽出してアクリルボックスを開けると嗅げるようになっていました.バオバブなんて初めて嗅いだ.けっこう強い匂いでした.
いろんな場所にいろんな植物がありますという展示があって,サボテンもあったんですが,ヒトデみたいで面白いのがあったので,撮ってみました.
各地方の植物がありましたが,好みは高山植物です.小さいのがわーっと咲いているのがつつましくも可愛らしいです.
開期が終わりに近くてしなびはじめている花があったのが残念.
そして,今度は色素の解析や品種改良のお話になります.日本人がけっこう関わってくるようで.
ここで思い込みが崩れ去った話.花の色素の一つアシトシアニン.これは酸性で赤,中性で紫,アルカリ性で青~青緑に変化する……のですが,花の色としてはpHに因るわけではなく,金属錯体に因るのだそうです(一部朝顔はpHらしい).アジサイの色は土のpHだと思ってましたからねー意外でしたねー.
昔は交配でがんばって品種改良するしかなかったんですが,現代は「遺伝子組み換え+重イオンビーム」「CRES-T法(遺伝子組み換えの一種)」などのバイオテクノロジーを使っているそうです.
という前置きの下にお目当ての青いバラ.
残念ながら,撮影禁止でしたが,青というよりは薄い紫です.花の「青」を形成する色素に「デルフィニジン」があるそうですが,バラにはデルフィニジンを作るために必要な青色遺伝子がないため青い品種がない.そこで,デルフィニジンを作れるパンジーの遺伝子を取り出してバラに入れた,というお話.たぶん,この色素があるが故に紫に見えるけど「青い」と称されるんではなかろうか.
これを作り出したのがサントリーなんですよ,サントリー.
遺伝子組み換え植物なので承認が必要で,開発から数年経っていますが,予定では今年売り出しだそうです.
ちなみに,バラに先だって成功した青いカーネーションは「ムーンダスト」の名前で売り出し中.
これも紫に見えますけどね.まだまだ数は出回っておらず,お高め.会場でも売っていました.
さて,頭を使った後は,花を楽しみましょうとばかりにわーっと飾られている場所に至ります.
本当はアジサイが飾ってある時に来たかった…….
後は人と花との関わりということで,生け花やフラワーアレンジメントもありました.そうそう,関わりというと,ネアンデルタール人はどうやら死者に花を手向けていたようで,ジーンとしました.
開期中に展示が変わっていくためか,「リピーター割引」が紹介されていました.前に来た時の半券を持って行くと当日券が200円引きになるそうです.
第2会場はリンネの話でした.
そして,お約束の売り場になるわけですが,協賛の新生銀行の宣伝がありました.
32色もあって並べるときれいですが――ちゃっかりしてんなぁ.