どうもこの頃,時間に追われ,どうにも手帳という物が必要になった.手帳といっても,私の場合は,「スケジュール帳」の比重が高く,メモ欄はさほど要らない.
こんな時期に突然思いたち,すぐに使いたいために,9月始まりの手帳という種類の少ない物から探さざるを得ず,納得しないながらLACONIC WORK 210148という9月~翌12月の16ヶ月手帳を買った.16ヶ月後には1月始まりの種類豊富な手帳から選べるだろうという気の長い事を考えている.
書き込み始めてすぐに困った.
スケジュール帳なので,いろんな場所から書く.したがって,鉛筆だと擦れてしまうだろうとボールペンで書いたのだが,この手帳,月曜始まりであることに気づかず,書く欄を間違える.また,24時間制で書いていないために時刻を間違って書いてしまう.オマケに,「列車早いのに替えられたぜ,イェ~!」と思ったら,変更で手帳がごちゃごちゃになる.
これからも,「アポが突然変わっちゃったぜ」とか「会議が無くなったぜ」という事態はいくらでもあり得る.
そこで,突然思い出した.「確か,消せるボールペンがあったはずだ」
コレがまた,妙な話なんですが,文房具として知ってたのではなく,そのインキ技術の話をどこかで読んだだけだったので,商品名が分からない.
困ったなあと思いながら,LOFTに行ってみたら,心配することはない,筆記具売り場のかなりの面積を割いて大々的に売り出していました.名前はフリクションボール.0.7mmと0.5mmがあったのですが,手帳に書くので細い方を買いました.それでも,太いんですけど,しょうがない.
さて,このフリクションボールですが,消しゴムで削り取るわけではありません.熱によって変色するインキを使い,摩擦熱で透明色に変わるようになっている,すなわち,消しカスが出ない.ペン先の反対側のラバー部で擦ると,面白いように見えなくなります.ちなみに,-10度以下でまた発色する事もあるそうな.......北海道で使えないよ!
メーカーであるパイロット株式会社は,このペンに関して特許をいくつも出していて,「可逆熱変色性」というのがそのキーワード.パイロット株式会社は,このインキを使ったボールペンの構造まで,関連の発明をたくさん出しています.
肝となるインキの仕組みですが,
- 電子供与性呈色性有機化合物
- (1)の顕色剤
- (1)と(2)による呈色反応の変色温度調整剤
をマイクロカプセルに入れた物です.おおざっぱに言うと,いつもは,(1)と(2)が一緒になることにより発色しています.ここに熱を加えると,(2)が(3)に溶けて(1)から引き離され,無色になるという理屈です.
この3成分を使うインクという発想は,昭和50年以前に出願があり(示温材料),その後,より発色濃度が良く,消したときの色残りが無い物を探し求めてきたという苦難の歴史があるようです.
長く記録に残したい物や,公式文書には向きませんが,手帳ぐらいでしばらく保てば良い物には向いているのでは?(もちろん,日々の手帳をそのまま連綿と長年の記録にする人はやめた方がいいと思う)
ちなみに,色は8色あるので書き分けも可能.替えインクカートリッジ(リフィルと言うらしい)方式です.