富山-バーデンバーデン

本日より私は夏休みです.もはや10月になろうかという時分ですが,勤務先の決まり的には夏期休暇なんです.

ドイツに行きたいという願望はずいぶん前からあって,中学時代にはもう言っていたと思う.しかし,なぜそんなドイツびいきになったのかは定かではない.

なのに,今まで行っていなかった理由は,ドイツとひとくくりに言っても広いわけで(あ,でも日本より面積狭いんだよ.知ってた?),どこに行ったらいいものやら定まらなかったからである.

そして,今年ドイツに行くことにしたのは,4月異動により仕事が変わって忙しく(というより分かんなく)なってキレた勢いです.あとね,今は戻っちゃってるけど,予約した時はサブプライム問題とやらでユーロが153円ぐらいに下がってたんだよ(それでも前に比べれば高い).もう戻っちまったけど.

さて,行こうと決めた理由が理由だったので,もう,バーデンバーデンしか考えられなかった.温泉保養地.なんせ地名からして「お風呂お風呂」だもんねえ.昔世界史でローマ皇帝が風呂を作ったなんてのを習ったことがあるのですが,バーデンバーデンこそがその場所なのでありました.

いつもはそこそこ情報収集するのですが,今回は最後まで時間が取れず,荷造りさえ前日の夜に慌ててやってました.というか,2日前に次の日締め切りの仕事が入ったのがいけない.

手配は以下の通り.

30度近くあるところから最高気温17度などという土地へ行くため,コートや上着などのよけいな荷物が増えてお冠である.父上に持ち込み可能ギリギリの大きさのキャリーバッグを借りる羽目になりました.もっとも,私のキャリーバッグは壊れている(持ち手がひっこまない)ので選択の余地がなかったとも言う.

ちゃんと起きるか心配だったのですが,ちゃんと起きたよ,えらいぞ,自分.

飛行場までは父上に頼みました.早起き強要してすまんと言えばすまんかったけど,そもそも荷造りがまだだってのに「テレビの配線がたくさんあって線が余った」と言って,そこはかとなく「直してくれ」と主張されたからおあいこということで.(しかし,なぜあの年代の人ってのは素直に頼めないんだろう?勤務先の上司もパソコンの操作に困ると大きなひとりごとを言うんだよなあ)

ANAのスマートeサービスでは,成田-フランクフルト間しかチケットを受け取れなかったので,少々心配になっていましたが,購入時のお客様控えを渡したらちゃんと航空券をもらえました.携帯やANAのマイレージカード(ICチップ付き)で受け取るの好きなんだけど,今回,帰りはルフトハンザしか取れなかったから無理なんだろうなあ.

7:10 ANA882便で富山空港発.珍しく荷物が大きいので物入れに入れとくしかなかったんだけど,自分一人では上げられませんでした.どうも荷物の大きさが不満だ.そのうち小振りのキャリーバッグを買い換えよう.

特に遅れもせず,羽田に8時過ぎに到着しました.

前日にハタと「乗り換えの時間あんまりないような?」と気づいて怯え,しかも,一番速そうな羽田-成田間のリムジンバスは「満席の場合はご乗車できません」と脅し文句が書かれていたため心配だったのですが,ANAは第2ターミナルで,そこがバスの最初の停留所だったためか,ほぼ誰も乗っていませんでした.次のターミナルではわらわらと乗ってきてたけど.そもそもあんまり予約する人いないのかもしれない.成田まで3000円は高い部類だから.(ちなみに私の上司は成田までヘリを飛ばしたことのある人がいる.いくらなのかは知らない)

時間があまりなさそうなのも心配だったのですが,切符の自動販売機もすぐに分かったし,乗り場(7番)も外に出てすぐでした.

んで,もう一つ心配だったのが,バスで酔わないかということだったのですが,すぐに高速に乗っちまうので余り揺れもせず,快適でした.成田空港にはいる時に,お決まりのパスポートチェック.

利用するのはANAのフランクフルト行き直行便ですので,ターミナルは第1の南ウィング.バスだと2つめの停留所になります.とことこと歩いていって,スマートeピックアップとやらで携帯に取得した2次元バーコードを機械にかざしてハイ終了.搭乗券を受け取りました.いつも荷物は持ち込みのみなので,あとは両替両替.

ANAがここのターミナルに移ってから始めていったので,うろついてしまいましたが,銀行発見.これまでは1万円両替して出かけていたのですが,いつも現地でもう1回両替する羽目になるので,2万円を両替することにしました.

そしてふと気づいたのですが,両替のスプレッド3円?!おおう,しばらく現金両替なんてしてなかったから,異様に高く感じる.レートはは1ユーロ167.38円でした.トホホ.

様式に記入して列についたら,整理のおじさんが,「通貨はなんですか?」と訊くので,混乱して,「え?ユーロって何種類もあったっけ?」と思ったら,単におじさんがチェックを見落としただけでした.

順番が来たので行くと,2万円に85円を足したら切りが良くなるけどどうしますか?と言われ,結局,20085円が120ユーロになりました.10ユーロ札でもらったので,財布に6枚,鞄に6枚分けておきます.

大変珍しいことに,早起きして乗り物に乗った後だというのに異様に元気でした.どんなに元気だったかというと,腹が減って近くのサブウェイでバクバク食ってたぐらい元気でした.

間に合ってみれば,余り待ち時間のないちょうどいい乗り換え時間でして,ぐるりとお店をひとまわり見回して,すぐに出国手続きへ.前と違って手荷物に液体がある場合は100ml以下の容器を使い,40×40cmのジップ付きビニル袋に入れること(1つだけ持ち込み可),ということは知っていたのですが,それを手荷物から出して別検査することは知らず,ずいぶん奥に突っ込んでいたために荷物がえらいことになって大変でした.

搭乗もすぐに始まります.機内へのご案内は,ファーストクラスとか子連れの人が先に通されるけど,アレって嬉しいのかね?私は出来る限り機内にはいたくないから,最後の方がいいけどなあ.

予約が出遅れたため,通路側を取ることが出来ず,座席は窓側.真ん中席である隣のおじさんは旅慣れてそうな感じで,お盆の受け渡し手伝ってくれたりして感じのいい人でした.

搭乗したのは11:30フランクフルト行きNH209で,12時間のフライト.できるだけ寝るぞと思ったのに,ウトリウトリぐらいしか眠れませんでした.座席が狭いことよりも,シートベルトのせいで寝返りうてないのが辛い.電車だとわりと気持ちよくうっかり寝てしまうのに飛行機だと眠れないのは何故だろう.

物凄く揺れることはなく,しかも,寝られないにもかかわらずずいぶん元気で,2回出てきた機内食はガツガツ食ってました.ミネラルウォーターのペットボトルが出されたのですが,「どこの水か分からんパッケージやなあ」と思いながら文字のところを見たら,いきなり「入善」と書いてあってビビりました.おおう,富山の深層水が世界を飛ぶぞ.

機内で映画を3本見ました.『市民ケーン』『オーシャンズ13』『サーフズ・アップ』.『サーフズ・アップ』は日本では公開前かな.ペンギンがサーフィンする話だったけど,なんとなく世知辛いような.うーん.

ほぼ定刻通りの16:30過ぎにフランクフルト空港に着き,まずは入国審査です.日本人なので,Non-EUと書いた方に並びますが,EUの所のおじさんも空いていると子連れを優先的に呼んでいました.が,「ちょっと,そこのおじさん,呼ばれてんのあんたじゃないよ!!」という場面を何度も見ました.あさましいから大人しく並んどろ!

初めてなのか,審査官に何度もペコリペコリとお辞儀をしているお婆さんがいて,若い審査官が微笑んでいたのは微笑ましかったです.

機内持ち込みしか荷物はないので,さっさと空港を出て,めざせバーデンバーデン.

行く前に慌てて買ったガイドブックによると,近距離の駅と長距離の駅は違うとのことだったので,一所懸命Fernbahnhofという看板がないか探したのですが,見つかりません.しばらく歩き回って気づいたのですが,最初はともかくBahnhofの表示の通りに進み,しばらくするとFernbahnhof/Long Distanceという表示があるという寸法です.

その表示の通りに階段を上がりますと,自動販売機がありました.2台並んでいて,1台は人が使っており,1台は子供がいじくって遊んでおります.使い方に自信があれば,どいてくれと言ったんですが,なんせ,どいてもらってもちゃんと切符を買えるか分からない.迷っていると,後ろからあんちゃんが来て,「使うの?」という仕草をするので,頷くと,子供に注意してよかしてくれました.ありがとう,どっかのあんちゃん.でも,結局切符は買えなかったけどな.イヤ,駅名入れるのは分かったんだけど,今考えるとバーデンバーデンの綴り間違ってた.だから出なかったんだな.

しゃあないので,近くにあった「i」(どこ行ってもこのマークはTourist Informationのことだ)に入り,バーデンバーデンに行きたいんですと言うと,時刻表を出してくれて,「買うの?」「はい」「1枚?」「はい」「1等?2等」「2等で」「指定?自由?」「自由」という具合に,ICEの2等自由席を入手しました.39ユーロなり.途中でなんだかカルテがないかと訊かれましたが,ドイツに着いたばかりの上,事前の準備が何もないので鉄道で使うようなカルテに相当する物などあるわけがありません.「Nein」と首を振っておきました.

改札はありません.ホーム(Gleisと言うらしい)に出てみるとヒンヤリ寒い.それはもう,関東から秋に千歳空港に着いた人がJRのホームに出たみたいな感じです(喩えが分かりにくい).ごそごそと荷物からコートを取り出し(コレがまた,中学時代に通学に使っていた物なんだからイケてない),着込んでホームで待ちます.

やってきたICE 601号 Basel SBB行きに乗り込みます.Frankfurt Flughafen Fernbarnhofを17:54発.ICEは言わばドイツの新幹線です.2等の自由席でしたが,シーズンでないせいか,空いていました.最初,どっちに進むのか分からなくて逆向きに乗ってしまい,座席回らないのかと見回しましたが,回らないみたいっすね.その代わり,席があっち向いたりこっち向いたりいろいろでしたが.この辺り,スイッチバックがあるとみんなで一斉に座席を回す日本人とは発想が違うようで.しょうがないので後で席を替わりました.

改札にきた駅員さんが金髪の女性だったのを見た瞬間,突然「金髪のインゲよ」という台詞が浮かび,一人で笑っていました.(マンはソレしか読んでいない)

改札は何度もあるようでした.2回目に来た駅員さんにどうもよっぽど不思議そうな顔をしていたらしく,「何度もあるのよ~」と言われました.そうなのか.そのたびに切符を渡してパチリと日付が刻印されていきます.

座席にはIhr Reiseplanなるバンフレットがあり,これにそのICEの予定発着時刻や乗り換え案内が書いてありました.便利なんだけど,誰かが持っていったらそれっきりらしいというのが実にアバウト.

たいていの駅に数分止まるのも,乗客が乗るなり出発する日本とはえらい違いでのんびりしているなあと思いました.快適にBaden-Baden着.19:15也.

ホテルまではバスで行けるはずなのですが,調べていなかったし,疲れていたし,暗いところで分からずにウロウロしているのも危なかろうとタクシーを使うことにしました.

なぜか順番のタクシーがトヨタ製.

「Ich möchte nach diese Hotel gehen」

と住所メモった紙(というかオクトパストラベルで予約したときに発行された予約確認書)を見せると,

「OK」

さっそく後ろのハッチバックを開けるあんちゃんに心配になり,

「Wie viel kostet es?」

「Umm...about eleven」

なあ,さっきから何で私がドイツ語しゃべってあんちゃんが英語でしゃべってんの?

ちなみに,荷物を入れたときにハッチバックの扉が降りてきて頭ぶつけたんですが,あんちゃん笑ってました.怒るべきなのかもしれませんが,なんせ,あんちゃんも隣で頭ぶつけてるので笑うしかないというかなんというか.

ホテルは車だと10分ほどで,直ぐに見つかりました.「10.6ユーロだよ」と言われて20ユーロを渡したら,「1ユーロ持ってない?」「ありません(私ゃドイツに着いたばっかなんだよ!!)」「お釣り無いんだけど」

「いいよ,コノヤロウ,全部チップだ」と思っていたら,兄ちゃんゴソゴソと9ユーロ探し出しました.あるんなら最初に出してください.頼むから.

泊まったホテルはBayerischer Hofです.Badeb-BadenのメンストでもあるLange Straße 沿い,Festspielhausの真向かいの角にあります.バス停もホテルの前で,駅行きのバスもほぼ10分ごとに来ますし,中心地のLeopolds Platzも歩いて10分ほどです.

ホテルに行って予約確認書なるものを差しだしましたら,チェックインの紙を書いてすぐに鍵を渡されました.どうもドイツ人も外人だ~と思ったら英語をしゃべるようです.まあ私もドイツ語は片言なので,その方がいいと言えばいいんですが,中途半端にドイツ語が分かるのでチャンポンなうえ,咄嗟に英語も出てこないという不自由な状態にありました.ううん.

部屋は2階で,入ろうとしたら,鍵が開かない.おおう.しばらくガタガタやっていましたが,しょうがないのでフロントに戻って兄ちゃん呼んだら,兄ちゃん直ぐ来てくれるのはいいんだけど,階段を颯爽と上っていくよ.待って~,私には荷物があるんだよ~.んで,兄ちゃんもガタガタやって,なんか「引っ張れ」と言われたのは分かったけど,もう眠かったので,まあいいや開いたんだからと中に入り,入った途端に,なんとなく後悔しました.

いえね,部屋は清潔でしたよ.ただね,清潔な学生寮という感じだったんですよ.天井は高く,床はフローリングで寒々としていました.冷蔵庫等は無し.部屋に風呂が無くシャワーだったのを見てから,「バーデンバーデンなんだから風呂は外だろうからいいや」と,このホテルにしたのを思い出しました.

うう,せっかくの温泉保養地なんだから,豪華ホテルにしてもよかったんじゃなかろうか.

あげくにベッドのそばの明かりに電球が入ってない.どう見ても入っていない.いい加減眠かったので,明日言おうと考え,机のそばのランプから電球ひんむいて移植して使いました.(お客さん,お客さん)

ここは無線LANが使えると言うことでしたが,MURAMASA君を起ち上げたところ,セキュリティがかかっている無線局しか見つからない.う~ん,パスワードいるんかなあ.それもまあ眠いから明日,明日.

パジャマを忘れなかった自分を褒めながらベッドに飛び込みました.

日時: 2007年9月29日 | 旅行記 |

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