企画展『冒険王・横尾忠則』

用賀に行った.というのは,なんとなく世田谷美術館でやっていた企画展『冒険王・横尾忠則』を見たくなったからである.別にファンでも何でもないし,何してる人かも実は知らないのだが,名前だけは知っていたのと,たまたま会期が終わりに近いときに東京に出るのでこれも何かの縁かと思ったのである.

用賀に行ったのは初めてなのだが,駅前からなんだか味のある商店街(?)が続いていた.

途中で目を引いたのは,革製の鞄屋さんである.ここで作っているそうで,気のいいあんちゃんが革をいじっていた.こういう店が家の近くにあったら,店員さんと仲良くなって「こんな商品あったらいいなあ」と言ってみることができるだろうなあと羨ましくなった.……仲良くなるほど通うかが疑問だな.

この通りは,美術館通りと書いてあったから方向は合ってるんだろうと歩き続けたが(先にどこにあるか調べろよ),店はなくなり,閑散としてきたので,前から歩いてきたご婦人に訊いてみた.

「ここからだと,そうねえ……ここ,ずっとまっすぐ行ったら公園があるから,そこを左に曲がってカンパチ越えたらすぐ.けっこうあるよ」

さすがに東京暮らしはしていたので,カンパチが魚のことでないのは分かったよ.

ありがとうとお礼を言って歩き出す.人ってなんで道を訊かれると答えちゃうんだろうなあと思ったらなんだか可笑しくなった.

さて,企画展.

展示の最初は,アンリ・ルソー作品のパロディの油絵でした.なんだか,絵の向こうで横尾氏がニヤニヤ笑ってそうだなあと思いました.

それから,『冒険王』だけあって,それっぽい絵も.「南洋一郎」という名前にワクワクしました.うん,うちにもあるんだ.ポプラ社のルパンシリーズ.子供の頃,たまたま10冊ぐらい廃品回収に出されていたのを,兄と一緒にもらって帰り,何回も読んだっけ.

見ていて思い出したのだが,どうも横尾氏の名前に見覚えがあったのは,日経新聞連載の瀬戸内寂聴氏の『奇縁まんだら』のせいであったらしい.著名人との交流録なんだけど,これがすごく面白い.その挿絵を描いているのが横尾氏なんですわ.

こんな絵も描く一方で,なんだかテキトーに描いたように見えるものとか,油絵とか何でもあって,絵を描く人はすごいなあと思いながら眺めていました.きっと,今回はこんな手つきで描いてみようと画材の上で遊んでいるんだろうなあ.遊ぶはこの場合,子供の遊びという意味ではなく,なんてんだろう,イメージにたゆたうというような意味で.

それと,雑誌などの表紙や挿絵の原画と色指定があって,うわ~,職人なんだなあと思った.特に,色指定.

作品数が結構多くて,見応えのある企画展でした.

日時: 2008年6月14日 | 旅行記 |

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