Take Me Out To The Ball Game

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サンディエゴにはサンディエゴ・パドレスというチームがあるらしい.

調べてみたら,ちょうどいいことに20日にホームで試合である.せっかくだから大リーグ見ていくか(ずっと座ってられるし)と思い,現地で知り合ったNさん(注・日本人である)と見に行った.

Nさんはスポーツ観戦大好き人間であるのだが,パドレス日本人いないしなーと言ったそばから,買ったパンフレット表紙に井口の写真があるという,大いなるヌケっぷりを披露していた.

席を探している途中で(全席指定だった)みんなが起立したので,うわ,やべぇ,と立ち止まる.

「まだ上ですよ?」

とNさん.

「国歌始まる,たぶん」

途端にNさんも立ち止まり,直立不動.

どうもアメリカで国歌とか星条旗を侮辱したら袋叩きに遭いそうと思っているのだが,この思い込みは正しいか?

聴いてて思ったんだが,あの『星条旗』ってのは思い入れたっぷり・情感たっぷりに歌い上げるのがよく似合うじゃん.こればかりは羨ましい.こうやって国家に対する忠誠というのを築き上げるのだろうなあ.これね,決して「政府」に対する忠誠じゃないと思う.もっと根源のレベルでの国への忠誠なのだろう.

さて,国歌も終わったし,と再び歩き出し,席をみつけて落ち着く.

Nさんが,

「やった,今日,先発マダクスだ」

誰ですかそりゃ.

「精密機械って呼ばれるほどコントロールのいいピッチャーで」

ほう.

「俺,高校の頃大リーグ見だして,そんときのアトランタブレーブスっていうチームが好きだったんだけど,その4本柱のうちのひとり」

ほう.

「マダクスの試合,見られるなんてツイとるわ~」

そりゃあ良かった.

試合始まった後も,N氏が勝手に「マダクス,淡々と投げるからプロフェッサーとも呼ばれてる」とか「あの人,あれで42才なんだ」とか,「敬遠!マダクスらしい.普通大リーグって言うと三振取ってなんぼって人が多いんだけど,ああやって平気で敬遠できる人なんですよ」と解説してくれるので,なんだか自分もマダクス頑張れという気になってくる.

攻撃の時はだいたいクリーンナップが出てくると拍手が沸くんだが,打率が低い選手の時はそんなに盛り上がらない.でも,なぜか投手で9番のマダクスの時には拍手が起きる.

「投手なのになんでですかねえ」

「マダクスは別格ですよ.歴史に残る名選手なんですから!!」

え,そなの?私,実は凄い人を今見てるんですか?

ホームチームとアウェイチームで全然扱い違うのも笑ったなあ.応援団なんて物は無いんだが,みんなしてパドレスばっか応援していて,自分も大リーグ興味ない癖ににわかパドレスファンに成り果て,しまいにゃ「Let's Go Padres!」と一緒になって叫んでいる始末だ.

しかし,一つだけ言わせてくれ.

「あの~……パドレスのマスコット,可愛くないんですけど」

Nさん,それを聞いた途端,大いにウケた後,

「しょうがないですよ,“神父さん”なんてチーム名なんだから」

と同意してくれた.

試合の方は,試合開始後2球目でいきなりマダクスがホームラン打たれてビックリしたけど,その後は淡々と進み,7回までで2対1でパドレスリード.球速がレフト背後の客席前電光掲示板に出てるんだけど,そんなに速度はないのね.なのに,ちゃんとアウト取るもんなあ.ちなみに,三振を取ると『BITE THE DUST』が掛かっていた.

さて,7回表終わるとみんなで立ち上がりだす.ピンと来た.

試合前,私は大リーグ見たことがあるという人に「大リーグっていうとみんなで歌うたうイメージがあるんですけどねぇ」と言って,その人に「そう?あんまり覚えない」と言われてがっかりしてたんだけど,やっぱり在るじゃないか,『Take Me Out the Ball Game』!

Nさんが歌詞調べなきゃと試合前に言ってたんだけど,何のことはない,電光掲示板に出てました.

そして,なぜ大リーグ見ない癖に私がこの歌を知っているかと言えば,映画のせいである.ジーン・ケリーとフランク・シナトラの出ていた.(お前の歳はいくつなんだ)

ここでマダクスは交替したんだが,代わりに出てきた人がNさん曰く「あれ,ピッチャーじゃないだろう.どう考えてもファーストとかだろー」という,ずいぶんでっかい人で,よりによって1点取られたせいでマダクスは勝利投手じゃなくなってしまった.挙げ句に8回裏に大量得点したのが,また何とも言えない.

これで試合は決し,パドレスが勝って終わりました.

攻守交代なんかでも掲示板見ていると観客を飽きさせない趣向があって,一種の躁状態になってるので,みんなノリが異様にいいのも笑った.カップにボールを入れて何度か動かして,最後に何番に入っているでしょう?というたわいのないアニメが流れたときも,「2番です」って出た途端,「Oh!」とかいうどよめきが起きていて,Nさんが「こんなんでこんなに盛り上がれるってすげえなあ」と感想を漏らしていた.あはは,確かに.あと,観客二人をいきなり引っ張ってきて,「ではこの二人に踊ってもらいましょう.勝者は景品を勝ち取ります.では音楽スタート!」とかアナウンサー?が言って,踊り出した男の人のノリノリなこと.全然音楽と合ってないけどな.しかし,あまりのノリノリっぷりに観客みんなが男の人を支持して,景品を勝ち取っていた.

かくのごとくの次第でたいへん楽しかった.これ,子供が来て観たら,やっぱ繰り返し繰り返し来たくなるよなあ.こうやって野球好きが増えるのか.

日時: 2008年6月20日 | 旅行記 |

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