『ヴァレンシュタイン』が面白かったのと,『長靴をはいた牡猫』(ティークの方)で引用されていたので,シラーの処女作『群盗』を読んでみた.
びっくりしたよ.半分ぐらいまで読んだときはこのまま大団円になだれ込むのかなあと思ってたもんだから.ううん,潔癖すぎやしないかい,と目をぱちくりさせていた.だって......いや,この幕切れ直前の急転直下はどうしたことか.正直なところびっくりしたなあ.可哀相とか他のことを思う前にびっくりしたなあ.
流れるような心情表現の嵐はこの時代の特徴なのか知らないが,シラーの作品は,これを読めるかどうかで読み通せるかどうかが決まるような気がする.ただ,枝葉を取った筋自体は10代ぐらいにも受けそうな気がする.『群盗』なんて漫画にしたらきっと受けるよ.
主人公のカール・モールと言う人はすべてを持っている故に無条件に愛され,それ故に問答無用で妬まれる.妬む方の気持ちも分からんでも無い.フランツにしても,シュピーゲルベルヒにしても,何で自分に恩寵が降りなくてカールに横からかっさらわれていくのか分からなかったのだろう.理不尽だったのだ.彼らがそれを是として受け入れるような性格でなかったのが悲劇なのだ.
それから,カールは潔癖故に激しい.盗賊に堕ちた時点で結果はこれしかありえなかったのだろうか?
群盗 (岩波文庫)
かのとさんからバトンをもらいました.前に群青さんが回してくれたバトンと一緒かと思ったら,前のは「送り主バトン」という名前だった.似たようなバトンてあるもんだね.
繊細なんて未だかつて言われたことありません.まじまじと何回か見返した挙げ句,ニヤニヤ笑いました.そういえば,「一刀両断な人」と数回言われたことがある.それがまた言った人がお互い面識ない上に言われた時期も全く違っていたので,なんとなく反省したっけ.
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ご飯を食べているときに,たまたまテレビを見ていて,たまたまパンダがコロコロ転がっているCMを見,可愛いかもしれんなあと思った.
先に観たという方の感想を聞いて,どうも微妙なんじゃないかと思ったんだが,せっかく気が向いたし,時刻調べようとおもむろに新聞開いたら,富山でやってなかったよ!さすがテレビで『ONE PIECE』やってないような土地だぜ.(たぶん)
それでむきになって,東京出たついでに品川で観ました.
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「SRW」『己の傷の下に恢復せよ』第一一章始動.さらりと読み流してくだされ.冒頭文はSFあたりがが好きな人にはあまりに有名な一節(文章は知らない人の方が多そうだけど,話題は).ちなみに,起きている現象とは全く関係ありません.
さはらさんに「もう次を予想するのを放棄した」と言われたけど,大丈夫,書いてる本人も間を空けすぎて伏線が何だったか忘れました.でも,筋は王道でベタですけぇ.(王道もベタも大好き,バッチ来いや~!!)
私は別にタツノコプロのファンというわけでもないのだが,友人が随分好きなもんで,なんとなく見に行ってみるかという気になった.ちょうど東京入りが会期終わりだったため,これも何かの縁かと思ったことも理由ではある.「何かの縁」で行くには少々八王子は遠いのだが.
八王子には初めて降りたが(吉祥寺に住んでいたので高尾山に行くときに通過したことはある),思っていたよりも賑わったところだった.世田谷美術館に行った時のように,美術館まで何もないのかと思っていたら,立派な商店街で,飽きなくていい.
しかし,風の盆がこんなところまで進出しとるとは思わなかった.昔はこんなにわーわーいうてなかったと思うのだがなあ.
八王子市夢美術館というところは,どうもマンションの2階にあるように見えるのだが,私の気のせいだろうか?
入場料大人500円.中はこぢんまりとしている.疲れなくてちょうどいい広さだった.
展覧会の中身は『宇宙エース』からタイムボカンシリーズぐらいまでの資料.記憶のかなたなんだが,絵を見ていると懐かしいような気がしなくもないあたり,多分,観ていたのだろう.
コピーだったが,数作品は黒紐で綴じた設定資料を手に取って見ることができた.また,企画のみで終わった作品の展示もいくつもあった.タイムボカンシリーズ第8作や,リアルシリアス系の作品(名称忘れた)は観てみたかったなあ.帰りに歴代OP映像15分弱を全部観てフィニッシュ.
お昼は八王子駅に戻る途中にあった「美豚」というつけ麺屋(チェーン店なのか,コレは?)に入った.煮魚角煮つけ麺を頼んだ.麺が太くて食べごたえがあるのはいいとして,量が多かった.麺は後で煮汁で薄めてスープにする.これがうまかった.全部飲んだら塩分採りすぎだろうと思ってやめておいたが,それがなければ飲み干してもよかった.
おおざっぱな舌をしているので微妙な味は分からないのだが,紅茶かコーヒーかと言われれば紅茶と答えるほどには紅茶党である.
そんな私にNさんが有楽町に行くなら,紅茶専門店がある,と教えてくれた.
「名前は確か......マリアージュ・フルーレ」
「どこにあるんですか?」
「駅から松坂屋のある大通り行く手前のちょっと入ったとこにあるんです」
「近そうですね.調べてから行きます」
「......名前,フレールだったかも」
「ああ,フルーレじゃ剣ですからね」
「そうなんですか?」
そんなことばかり知っててすいません.
有楽町駅から出発したとすると,数寄屋橋のある通りを三越の方向へと歩いて行くと右手にすずらん通りという若干小さめの通りがある.お店は通りの右側(数寄屋橋側)にあった.
1階は茶葉を売っていて,茶葉が入っているのだろう缶が壁の上から下まで並んでいる.いっしょにお香も売っていたんだが,香りが混じったりしないのだろうか?
食事ができるのは2階である.お店は広くはない.テーブルも小さいので作業は無理(←何をする気だ).人と話をしたり,文庫本読んだりぐらいしかできないだろう.昼食時の間隙を縫ったのか,私はすんなり待たずに入れてしまったが,その後に次々と客が来たので,普段は混んでいるのかもしれない.
ランチは一品物6種類から選ぶ.なかなかコジャレた料理が出るが,まあ2520円出してるんだから,それなりの物が出てこないとおかしい.紅茶は大きなまん丸ポットに出てきて,カップ3杯はあって満足.小さなパンはお代わりできる.前菜はスープとサラダから2択.ケーキをつけるともうちょっと高くなる.ガラスケースの中のケーキが色鮮やかだった.
接客は丁寧だったが,もうちょっとこなれて来ると自然で良いだろうなと思う.
会計は1階の階段向かいのブース.雰囲気作りのためか機械は隠してあるけど,ちゃんとクレジットカードの回線は来ていた.
ここはマルコポーロというブレンドが有名らしい.フランスの紅茶屋だというのに,なぜマルコポーロなのだろう.茶葉が切れている時に来たら買ってみたい.
カフカは『変身』しか読んだことがなくて,『変身』にはずいぶん空恐ろしい気分にさせられた(あれの空恐ろしさというか悲しさというのは,グレゴールの家族が結局のところ不幸ではなかったことではなかろうか).だので,カフカは「物寂しい灰色の混じった青」というイメージがあった.
ところが,この『カフカ寓話集』を読んで,「この人,実は面白い人だったんじゃねえか?」と思い直したのである.そうだなあ,ユーモアたっぷりで面白可笑しいってんじゃないんだけど,大真面目に変なこと考えてそうなんだよなあ.「こういう状況とこういう人物を配したら,物語はどこに向かうんだろう」という実験を繰り返していたんじゃないだろうか.案外,書いてみて,「ああ,こうなったか」と思ってたかもしれない.
『カフカ寓話集』とはあるんだけど,これは勝手に訳者が付けただけで,特に「寓話」というわけではない.物語の断片が多く,草稿や覚書の類が多い.それだけに,わずか数ページや1ページ足らずのものもあって,すんなり読める.
収録作品
気に入ったものには★をつけています.
- 皇帝の使者(★)
不思議な話だ,本当に.使者はいつか到来するのだろうか.
- ジャッカルとアラビア人
- ある学会報告
- ロビンソン・クルーソー
- サンチョ・パンサをめぐる真実
- アレクサンドロス大王
- 新しい弁護士
なんだって,軍馬が弁護士なんだ.
- ポセイドン(★)
読み出した途端,吹き出した.
- アブラハム
- メシアの到来(★)
案外,皮肉屋だったのかもなあ.
- こうのとり(★)
いやいや,普通,そんなふうに誓約書書かせないよ!書かせても意味ないよ!でも,あくまで大人しいヒナが好き.
- 貂
- 使者
意味のないことを叫ぶ者だけの世界ってどんなだろう.なんとなく,ニーチェを思い出した.なんというか,「ほとんどの人は意味をもつことを言わない」という見方をしてそうなんで,ニーチェ.
- 小さな寓話
- 獣(★)
カフカ,猫好きだったんじゃないかなあ.この尻尾の動きは猫だよなあ.
- だだっ子
- 柩
この後,どうなるんだよ!!
- 掟の問題
- 一枚の古文書
- 走り過ぎる者たち
可能性はいろいろ考えられる.
- よくある事故
- 十一人の息子
人物創造に勤しんでみました,と言わんばかりの作品だな.
- 兄弟殺し
物語の構想だったんじゃないだろうか.肉付けしたら面白そう.
- 中庭の門
不条理だ.
- 隣人
いろいろ考えすぎ.
- 巣穴
「地中に巣穴を作る小動物の気分になってみました」って感じの話だよなあ.これこそ,想像実験しているような気がする.
- 最初の悩み
悩みは増大する,それは真実だと思う.
- ちいさな女
「私」の視点で見ているからだろうけど,女が嫌で嫌で仕方が無くなった.といっても,女はそんなに非難されるような真似もしてはいないんだろう.誇り故に.
- 断食芸人
結局,断食芸人の言うことなんて,誰も注意を払っちゃくれなかったんだ.
- 歌姫ヨゼフォーネ、あるいは二十日鼠族(★)
この語り手,すんごく,冷静だ.「当人は選ばれた者のつもりであったにせよ」というところには,ある種,真実がないか?
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