群盗(フリードリヒ・クリストフ・フォン・シラー)

『ヴァレンシュタイン』が面白かったのと,『長靴をはいた牡猫』(ティークの方)で引用されていたので,シラーの処女作『群盗』を読んでみた.

びっくりしたよ.半分ぐらいまで読んだときはこのまま大団円になだれ込むのかなあと思ってたもんだから.ううん,潔癖すぎやしないかい,と目をぱちくりさせていた.だって......いや,この幕切れ直前の急転直下はどうしたことか.正直なところびっくりしたなあ.可哀相とか他のことを思う前にびっくりしたなあ.

流れるような心情表現の嵐はこの時代の特徴なのか知らないが,シラーの作品は,これを読めるかどうかで読み通せるかどうかが決まるような気がする.ただ,枝葉を取った筋自体は10代ぐらいにも受けそうな気がする.『群盗』なんて漫画にしたらきっと受けるよ.

主人公のカール・モールと言う人はすべてを持っている故に無条件に愛され,それ故に問答無用で妬まれる.妬む方の気持ちも分からんでも無い.フランツにしても,シュピーゲルベルヒにしても,何で自分に恩寵が降りなくてカールに横からかっさらわれていくのか分からなかったのだろう.理不尽だったのだ.彼らがそれを是として受け入れるような性格でなかったのが悲劇なのだ.

それから,カールは潔癖故に激しい.盗賊に堕ちた時点で結果はこれしかありえなかったのだろうか?

群盗 (岩波文庫)

日時: 2008年9月 5日 | 感想 > 本 |

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