そもそもは.
11月12日がなんで即位20周年なのかよく分からなかったのよ.だって,前の天皇陛下が亡くなったのって,1月だったでしょう.私は当時中学生で,その前年の8月に祖父が亡くなっていたので,なんとなく覚えてるのだ.7日っていう日付が祖父の亡くなった日と同じだったしね.
で,なんで11月なのかなあと思ったら,先の天皇陛下が亡くなってすぐに皇位を継ぐ儀式があるんだけど,これは践祚の儀って言うんだって.へえー.
それで,即位の礼ってのは皇位を継いだことを国の内外に公式に発表する儀式で,これは1年の喪が明けてから最初の大嘗祭でやるんだそうな.なーるほどなー.だから11月なのか.
それで,実は今年は即位20周年でそれはもういろんな行儀やら展示やらあったらしいんだけど,知らなかったからすっかり見逃してた.歴史好きとしては悔しい.
でも,残り少ない行事のうち1つは,ちょうど東京に出るときに当たっていて,見に行けそうだった.
それで群青君と連れ立って行ってきたよ.儀装馬車運行.「ぎそうばしゃ」って音だけ聞くと何に偽装してるんだって思いそうだ.
儀装馬車は4号まであって,2号・3号は即位の礼(正確にはその後にその旨を新宮に報告に行く儀式)に使われたのだそうな.
一番頻繁に使うのは4号で,寡聞にして知らなかったのだが,東京に赴任した駐在大使が信任状を天皇陛下に捧呈するときに使われるのだそうだ.それは見てみたいねえ.信任状捧呈式に宮内庁から差し向けられるお迎えは車と馬車とが選べるそうなんだが,ほとんどが馬車+騎馬の護衛を選ぶのだそうだ.そりゃーそうだよー.今は工事中でルート変更してるんだけど,前は東京駅から出てたんだって.後で歩いてみて理解したけど,東京駅と皇居って目と鼻の先だったんだね.いやー,東京駅を3階建てに再建した後の信任状捧呈式はいつか見てみたいなあ.できれば秋に.すんごく似合うよ,きっと.
ところで,儀装馬車1号は何に使うの?
という誰も答えてくれない疑問を抱きながら,大手町で10時過ぎに落ち合って皇居へGo.行列は11時からだから,プラプラと向かう.途中,売店があって,「皇居でいったい何売ってんだー」と,陛下饅頭でもあったらどうしようかと覗いてみたが,さすがに饅頭はなかった.絵葉書とか皇室カレンダーとか本とかそんなのだった.一生懸命リーフレットに記念のはんこ押しているおっちゃんがいたので,
「もらっていっていいですか」
「ええ,ジャンジャン持ってってください」
ジャンジャンは要らなかったので,1枚だけもらっていった.
さて,パレードの場所に近づいてみると,吹奏楽の音楽が聞こえてきた.
皇宮警察音楽隊による演奏で,『浪漫飛行』とかそんなの.なんで『浪漫飛行』なんだと思ったんだが,後で,即位の礼当時の曲を選曲していたということが判明した.
プレス席の後ろあたりまで近づいて,ほくほくと吹奏楽を聞く.1曲終わったときに指揮者の人が拍手にこたえて敬礼したので,群青君と2人でビクッとした.
群青君「今日,一番萌えた」
......そうか,萌えたのか.......萌えっていったいなんなんだろう......
うん,まあ,私も敬礼気に入ったけど.
流行歌が終わった後は,秋の歌だった.『里の秋』とか『もみじ』とかね.2人で歌ってた.
群青君「我々,楽しみすぎだ」
楽しいことはいいことだよ.
さて,楽団は演奏が終わると,すみやかに撤収していきます.
そして,いよいよ馬車ですわ.
プレスに向かって宮内庁の人が走る.「現在,来場者2500人です」(実際は1桁台まで言ってた.2600人近かった)群青君曰くの「善男善女」がそれだけ集まる中,期待が高まり,ぽっくりぽっくりと音が近づいてくる.善男善女はお年を召した方が多く,背も低かったから,けっこういい感じに動画が取れたのでアップしてみた.
動画では,2号1周目→2号退場→3号1周目→3号退場になってるけど,実際は2号の後に3号がやってきてた.ところどころで写真のために停まってくれてた.気のきくことに,1周目と2周目で停まるポイントをずらしていた.馬車の装具にいちいち菊のご紋が入っていて感心した.
面白いなーと思うのが,こんないかにも明治的な洋風馬車なんだけど,新宮に新謁の儀のときは先導が禰宜で天皇陛下は束帯姿だったということ.なんか和洋折衷っちゅうのも変なんだけど,以外に似合っちまってるというか,「それもえっかー」という気分になってしまうのが日本人気質だと思う.
さて,儀装馬車は28日・29日両日,午前と午後運行されたのだが,こちら29日午後の様子.
4:40あたりからの音声が私は可笑しくてならない.
「キャー」
「わー」
「よかったね,いいとき来たねー」
「こちらにも来てください」
お辞儀はするが,写メもしてしまう女の子やら女性やら,拍手するやら,抱いている赤ちゃんに手を振らせるお父さんやら,わや.
のどかだねぃ.