蜘蛛巣城

野心に負けて,人を裏切って裏切って,結局は破滅する話,かな.原作マクベスですよ.マクベスですけど戦国武将の話ですよ.

でも,私,鷲津さん可哀想だったよ.奥方が不吉ばかりを告げる怪鳥に思えてね.物の怪とこの奥方のせいじゃん,と思う.そりゃあ,その意見を退けなかったのは鷲津武時だけど.

可哀想なのは三木さんかな.いい友人に見えたんだけど.何も悪いことしてないじゃん.ああ,でも,この人も鷲津を放置したという不作為の罪があるのか.

変な話だけど,奥さんが血が落ちないと言い出したときにほっとした.だって, 鷲津武時だけが狂って怯えているのってやってられないと思ったから.唆した奥さんがずっとなんの報いも受けないのって割り切れないというのもあるんだけど,それ以上に怖かったんだよね,この奥さんが.まるでこの人も物の怪みたいなんだもん.だから,手を洗い出したときに,武時は絶望しただろうけど,観ている私は「ああ,この人,人間だった,良かった」と思った.

みんな言うだろうけど,最後のじゃんじゃん矢を射かけられているところがやっぱすごい.三船さんがこんな悲鳴を上げながら逃げ惑うだけっていう役は他にないんじゃなかろうか.こんな悲劇なんだけど,全体に霧燻る雰囲気の映像は美しいと思う.

私がこれを面白いと思うのは,「森を動かした」忠臣たちも結局は衰退して蜘蛛巣城が跡だけになったらしいってことなんだ.

後で,この映画が能の様式を取り入れていると知った.そう言われればなるほどと思う.

蜘蛛巣城 [DVD]

日時: 2010年4月28日 | 感想 > TV/映画 |

コメント (2)

馬に乗りながら霧の中を迷走するシーン長過ぎ!
黒澤映画を観ていると、いつもバッサリ編集したくなる。

まだまだ観る目がないのでしょうか?

あー,私はさほどバッサリやりたくなったことはないですが,見ていて辛いことは特にはないんですが,私も映像で魅せるより筋で勝負してくれる方が好きなので,気持ちは分かります.

私がバッサリやりたかったのは『影武者』の人馬うち倒れているシーン.あれはどこかで切りたくなった.見ちゃ居られないというのもあったんですが.

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