うわー,本気でbad sleep wellだったー!!
あんまり可哀相で救われなかったからかしらんけど,妙な気分になった.つまり,女の人のせいで3人殺されたわけだけど,この女の人は狂っただけで,それでいいのか,それで許されるのか,それで悲劇の人の側になっていいのかってことなんだ.板倉曰くの通り「騙されただけ?!」と詰りたくなったのだ.そりゃ,状況把握しとらんからかしらんけど,でも,純真であることが罪に見える.
ミステリー・サスペンス仕立てで全編はらはらしっぱなし.だって,どう転ぶんだかわからんのだもん.状況は粛々と移り変わる.刻一刻と変わるんだけど,それが整然と静かに移って行くようにも思う.
死体が一つも映されない.にもかかわらず,恐ろしいし悲しい.さっきまで生き生きと動いていた人物が,口笛吹いて祝杯まで上げそうだった人物がもう舞台から降りてしまったという喪失感がやりきれなくてかなわない.
板倉はいい奴だったなあ.彼,この後,どうするんだろう.
それからね,結局,本当の黒幕って姿を見せないんよね.大臣か首相クラスかな.こればかりは副総裁しか知らなくて,嗅ぎ付けてはいなかったんじゃないかなあ.
役人が上司をかばう気持ちがよくわからん.一種,やくざが組長かばうのみたい.でもさ,その場合,ムショ入りしたら箔が付くとか出てきたら面倒見るとかありそうなもんだけど,役人なんて泥がついたら生きていたとしても仕事に就けないと思うんだがなあ.
背広姿で髪をしっかり整えてる三船さんはあんまり見たことなかったから,新鮮でした.しかも,秘書だから何かと人にかしづいてるのも珍しい.うーん,ぜんぜん違って見える.......あれ?この時三船さん40歳じゃねぇか?うわー,全然疑問にも感じずに新婚場面見過ごしてた!役者さんって本当にすごいねえ.三船さんって老けて見える方かなと思っていたから余計驚いた.
大阪にまで黒澤映画を観に行った理由がこの映画だったんですが,観られて良かった.現代劇サスペンスで比べると,私は『天国と地獄』よりこっちの方が好きだ.黒澤映画って題名がすごく印象に残る物がいくつかあるけど,この題名が一番好きだな.観てないけど『虎の尾を踏む男達 』もいいなあ.