新釈古事記(石川 淳)

『古事記』が読みたいとずっと思っていた.原文も知りたいものの,さすがに原文を読むのは無理なので,まずは現代語訳をと思っていたときに,石川淳氏のがいいというので借りてきた.

いやー,ツッコミ激しいですね.(笑)

他の神話と負けず劣らず,やってること酷いよね.とりあえず,伊邪那岐は酷いヤツだと思う(苦笑).未練もなく走って逃げてんのは実は潔いのかもしれんが,まあ,酷いヤツには変わりないけど.

酷いと言えば,倭建命も酷いわ.これまでは,なんか,父と不仲であっちこっちの平定を散々やらされた挙げ句故郷に帰り着く前に客死,という悲劇の皇子というイメージだったんだけど,いや,この人,天皇にならなくて良かったと思う.兄にやらかしたこととか酷いだろ.国偲び歌「倭は 國のまほろば たたなづく 青垣 山隱れる 倭しうるはし」は名文で,ここばかりは単に武だけの人じゃなかったんだなあと思うんだけど,ともかく「大暴れ」というイメージが強い.彼の死を悲しんだ后や御子たちの前で白鳥になって飛んでいき,その時の后たちの歌が未だに「大御葬歌」として天皇大葬の際に詠われるのだそうな.天皇にならなかった人を偲ぶ歌が延々脈々と使われているというのが興味深い.

私の好きな神さんは建御雷だけど(有り体に言えば刀剣の神様だからだ),この人にしても,国譲りと言うより国強請だよ!大国主さんかわいそう.

やっぱり,解釈文読んでると,もとはどんな文章だったのかなあとますます気になる.特に上古の神様の名前とか地名とかって,そのものずばりの意味だったりするから,気になるんだよなあ.昔の天皇の名前とかも,漢風の諡号ばかりが有名だけど,長々しい和風諡号が気になる.昔の名前ってずいぶん長いし,音の雰囲気も奇妙な印象を受ける.うん,「古風」じゃなくて「奇妙」なんだよ.「ほむだわけ」とかさ.当時の大和民族の一般人ってどんな名前だったのかなあ.

新釈古事記 (ちくま文庫)

日時: 2011年5月15日 | 感想 > 本 |

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