ボルヘス怪奇譚集(ホルヘ・ルイス・ボルヘス,アドルフォ・ビオイ=カサレス)

ボルヘスさんは『薔薇の名前』の図書館長のモデルなんだそうで,それで興味を持って作品が読みたくなった.

それで『ボルヘス怪奇譚集』を借りてきたのだけど,1ページ目開いて中国の話の人物名にちゃんと漢字が当てられていた段階で「あれ?これ,単に古今東西の文章集めただけ?」と疑問を持った.1編1編に引用元は確かに書いてあるんだけど,説明が何にも無かったものだから,創作なのかどうかが判然としなかったのだ.が,8個目にかの有名な荘子の胡蝶の夢があったので,ああ,これは収集だと気が付いて,それからは気楽に読んでいった.

『怪奇譚集』とは書いてあるけど,怖い話というわけではなくて,どちらかといえば「不思議な話」という表現が正確だと思う.気に入っているのは『邂逅』という一篇.すごく幸福な話だよなぁと読みながらニコニコしていた.

選ばれた物語と選んだ部分に趣味が出る物だろうから,ボルヘスの趣味に合えば面白いんじゃないかな.自分は趣味が合うようで,いい趣味だなぁと思いながら読んでいた.ただ,一つ罠がある.これ,読んでると本読みたくなるわ.(原著に当たりたくなるという意味で)

最初に図書館長のモデル,ということを聞いていたせいか,なんだか大きな円形の部屋の壁いっぱいが書棚になってる図書館(大英博物館の中央にあるようなヤツ)の中央にボルヘス氏が立っていて,巣に陣取る蜘蛛のように書物を網に掛けてるような,奇妙な印象を持った.

読書開始 11/1 - 18 読了

ボルヘス怪奇譚集

日時: 2012年11月18日 | 感想 > 本 |

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