切符がないのに富山から東京まで来た話(語弊あり)
JRで富山から東京に行く際は,普通,ほくほく線の特急はくたかに乗って越後湯沢まで行き,そこで上越新幹線に乗り換える.
珍しく余裕を持って駅に着き,いい気分で駅の改札を抜け,座席に収まる.車掌さんにも切符を見せて,2時間ほどで越後湯沢である.越後湯沢での乗り換え時間は10分であった.いつも通り自動改札に乗車券+はくたか指定券+新幹線指定券を放り込む.
改札,開かず.
え?何にも間違ったことしてないよ?
駅員さん,すぐに切符を改め,「これ,来週10日の切符です.使える切符ではありません」は?
自分は10日も東京に行くことになっており,切符は2日の分と10日の分の2組買っていたのだが,間違った方を持ってきてしまったのだ.その上,富山駅の改札の人も車掌も気づかなかったのである.(富山駅に自動改札は無い)
後ろが詰まっているので係員のいる改札に誘導されたが「柱の陰に窓口有るからそこで相談してくれ」と言われ,また移動.事情を説明したところ,係員さん,考えた末「もう新幹線出ちゃうので,自由席でいいなら乗っていって東京駅で相談してください」「次のたにがわでもいいですけど」「このままだと乗車券も今日使えませんから」
自分は諦めて行きの分を全部買うつもりだったのだが,もう数分で新幹線が出るからこの乗客をなんとか押し込めなければならぬ!と思ったらしい.その人自身が有人改札の方に回って,入れてくれたので新幹線に乗る.
ともかく,今回の帰りの切符を家から速達でホテルに送ってもらおうと連絡したいのだが,なんせ,山の中.トンネル区間が頻繁にあって電話できない.そもそも,富山-東京間は魚津過ぎた辺りから高崎までトンネルだらけなので,自分はいつも携帯の電源を切っている.
自由席に空きがあって座れたものの,気もそぞろ.いつもなら楽しく座席ポケットにある通販カタログ眺めているのだが,暇つぶしに眺めても頭に入ってこない.周りの風景で高崎に到達したと分かった途端,デッキに出て親の携帯電話に電話を掛ける.あの人,携帯の操作分かってないんだが,電話は出られるのだろうか.って,出た~!!良かった~!!
- 自分
- 切符忘れたが.
- 母
- うん.
- 自分
- 部屋行ける?
- 母
- ちょっと待っとられ.今行く.......はい.
- 自分
- 机の中なんだけど.
- 母
- どこ?一番大きい引き出しかい?
- 自分
- うん.その右側に袋ごとあるはずなんだけど.
- 母
- 有った.
自分が一番安堵したのは,このときだった.だって,あんた,切符見つからなくて部屋の中探し回られたらどうするんだ.薄い本散らかってるのに!取り敢えず帰ったら真っ先に片付けようと心に誓いました.
- 自分
- ホテルに書留で送ってくれんけ.
- 母
- 住所は.
- 自分
- メールで送るよ.
いったん切って,ホテルの住所をweb検索して送信.
- 自分
- 送ったがだけど.
- 母
- (メール見るには)どうすればいいか分からん.
うん,まあね,そんな気はしたね.しょうが無いのでPC起ち上げて口頭で読み上げました.
さて,東京駅.どんな裁定がくだるやらと恐れながら,有人改札の人にこの日3回目の説明を繰り返す.
- 自分
- で,今日の来た分はともかく来週使うはずのこの切符をもう一度使えるようにしてほしいんですが.
- 駅員さん
- 分かりました.未使用の状態に戻す処理をします.
どんな高度な処理をするんだろうとワクワクしてたら,駅員さん,ぺたんと「誤入鋏」というスタンプを押し,改札で押されたスタンプに二重線を引いて日付書いて「未使用」と書き足しておそらく自分の名前のシャチハタを押してくれた.
アナログだった!とてもアナログだった!
「これで使えるようになりましたから,このままこれをお持ちになって来週使ってください.今日の分は後ろに精算窓口有りますからそこでお買い求めください」
はーい.
そして,精算窓口に行く.「切符を無くされた方は事情を説明してください」というような掲示が有って,なんだか緊張しながら使っちゃった来週の切符を広げつつ今日4回目の説明.
- 自分
- ......というわけで帰りの分は明日にもホテルに届くからいいんですが,今日の分はどうしたらいいですか?
- 駅員さん
- うーん,これ周遊券付いてますけど......
- 自分
- それは諦めてるからいいです.
- 駅員さん
- 帰りの分はホテルに着くんですね.
- 自分
- はい.
- 駅員さん
- 分かりました.そうしましたら,改札出られる切符お渡ししますから,今はそれで出てください.周遊は付いていないので,さらに他に行きたい場合は申し訳ないですが,お買い求めください.
そしてもらったのが乗車票という物.
東京都区内各駅ゆき
というハンコが押してある.あ,これって,東京駅だけ出られるってわけじゃなくて,ちゃんと目的地まで行けるんだ.やったー,もっかい片道分買うハメになるかと思ったけど買わずに済んだ!ありがとう,駅員さん!
こうして,目的地の蒲田まで行って,有人の改札に行き,
- 自分
- あの,これで出たいんですが――
- 駅員さん
- はい,ここで回収しますから出ていいですよ.
- 自分
- いえ,珍しいので――
- 駅員さん
- お持ちになりたいんですね,分かりました.無効にするために穴開けますね.
ちゃんと持って行きたい人向けに穴あける専用のパンチがあるのであった.写真の小さい方の穴は渡された時に空いてた穴,大きい方の穴が蒲田で無効にしてもらった時の穴である.あと,四角いハンコも蒲田で押した物で,字が重なって読みにくいけど,正方形を上下に2分割してあって,上に無効
下に蒲田
と書いてあるものと思われる.
終わってみれば,たいした損害も無く,貴重な経験もしたので概ね良い日だった.