あけましておめでとうございます.今年もよろしくお願いいたします.
本日から江戸川乱歩の著作権が切れたそうで,青空文庫に早速ページができており,『二銭銅貨』は既に公開,他のたくさんの作品も公開準備中になっています.ことに『二銭銅貨』は前から読みたかったので嬉しい.
だからというわけではないのですが,乱歩の『吸血鬼』の感想をば.
自分が読んだのは角川文庫で,『吸血鬼』『一人二役』『双生児』が収録された物です.
- 吸血鬼
- 表題作で,この中では一番長い作品.乱歩を読むのはたぶん中学以来だったのですが,あれ?と思うほど普通の文章でなんというかメロドラマ調.苦笑しながら読んでたんですが,最後の最後,犯人が明かされた時に,突然に場面が美しくなってしまった.
異様な感慨にうたれて
という表現があるんだけど,本当に感慨としか言い様がない.人の情とか機微とかそんな物の余韻に浸って終わっていった. - 一人二役
- ちょっとユーモラスな語り口の,細君に悪戯を仕掛ける男の話.
女なんて魔物ですね
と言っておきながら,細君が自慢みたいなT氏をみると,この野郎!と笑いながらどつきたくなる. - 双生児
- 双子の兄弟が死刑囚の話.この話は中学の時にも読んだことがあって,指紋の話が印象的で心に残っている.浅はかと言えば浅はかで,罪を重ねることで実は墓穴を掘っていた,そんな話.