月の影 影の海(小野不由美)

去年新刊が出た時,TLがざわざわしていたので時間ができたら読んでみようと思っていた『十二国記』にやっと手を付けた.

「最初,読むのがしんどいかもしれないけど,ネズミが出てくるまで頑張れ」という言を何度か目にしていたので,最初は物語の動きが少なくて読むのがしんどいのかなーと思ってたら,え?え?最初から怒涛の展開なんだけど、なんでネズミが出てくるまで頑張れなの??と思ってたら,どうもこの言葉は「(陽子が)しんどい展開だけど」っていう意味だったみたい.あ,そうなのか.可哀相と思うより「どうなるんだろうどうなるんだろう」と思いながらページをめくっててそれは全く感じなかった.

泣いたのは実は「わたしが遠くなったんじゃない」という台詞のところだったな.もちろん,悲しいのではなくて.

この台詞は,それまでの生活が何もかも無くなって,誰も信じられないと荒み果てて,それでも人として堕ちたくない,と思ってからでないと出てこなかった.人として堕ちたくないと思ってからでないと楽俊との再会を喜べなかったし,冒頭の過酷な運命とは無縁な陽子のままでもこの台詞は言えなかった.というのは,そこまで「失いたくない」と思うほどの強い感情を誰かに持ってはいなかったし,「失いたくない」と思った時に,それを相手に向かって口にできる強さもなかっただろうから.きっと,最初のままなら,一般的な哀しみや寂しさは抱いたかもしれないけど,それを諦めていただろうと思うのだ.だから,なんだかずいぶん遠くに来たなあとその時に思った.

ところで,ネズミ,思ってたより大きかったよ.手のひらサイズかと思ってたよ.

「もうちょっと慎みを」って言いだした時,うん,まあ,ネズミ的には裸だもんね,でもモフモフしたいなあと微笑ましく思ってたら,後で「ネズミーーーーーー!!!」ってなった.前流れてきたイラストは裸スカーフだったんか.......いや,ええ,好きです,楽俊.めっちゃ困らせたい.

延王も好きだな.この人,ちょっと戦国武将っぽい.シリーズの後の方でこの人のエピソードもあるそうなので期待.

そういや,この話では景麒と陽子の関係はほとんど書かれてないね.

日時: 2020年2月10日 | 感想 > 本 |

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