ひゅう、と息を吸う鋭い音で目が覚めた。
目に優しい淡い間接照明の光と、クリーム色が主の暖色で統一された色彩に、ここが俺の部屋でないことを理解する。
小綺麗で居心地がよくて、妙に生活臭さのないここは……ホテル、だな。
起き上がろうとしてうまくいかなくて、仕方ないので寝返りだけうつ。
そうだ。熱があったのを、気づかないで……キングの前で倒れたんだ。……うかつだったな。
医者を呼ばれて、眠れと言われて……『ずっと、ついてるから』と……
ふいに視線が巡る。意識せずに。
短い混乱が声になった。
「……キング?」
居ない。
馬鹿な。そんな。そんなはずがないのに。
──見捨てられた。
誰が?
誰に?
俺が?キングに?
……嘘だ。嘘だ。嘘だ!