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European Jazz Trio 見つからず

ピカデリーサーカス柱
ピカデリーサーカス柱
人々はなんかの芸を見ていた.toschが写せというので柱の模様を写したつもりだったが,どっかのおっちゃんの背中もどんぴしゃり.
エロス像
エロス像

見るものは見たので,来た道をたどって St. James Park 駅へ.そこから District線で Victoria駅,Victoria線に乗り換えて Green Park駅へ,さらに Piccadilly線に乗り換えて Piccadilly Circus へと着いた.後で気づいたが,St. James Park へ戻るより,直接 Victoria駅に行けばよかった.車内で PSION のゲームで遊んでる人が居た.そうだ,ここが本場だもんな.欲しいなぁ,PSION.

おなかがすいたという tosch の言をほぼ無視してタワレコに行く.おめあては European Jazz Trio だったんだが,無い.コリャてこずりそうだ,と先にロンドン三越のツアーデスクに行くことにする.

Piccadilly Circus はエロスの像で有名なのだそうだ.あと,思い出したのだが,大道芸人で有名だったはず.地下鉄の駅にジャグリング発展途上芸人もいたし(いつも6つか7つを失敗してた),外にもパントマイムっぽいロボットのまねをする人なんかも居た.大道芸で有名というから広い円形広場を想像してたんだが,ずいぶんと狭い広場だった.そこに5,6方向から道がつながっているので,どちらに行けばいいのやらさっぱり分からない.

着いたロンドン三越も分かりにくい構造だった.ここの地下のお土産屋にちょっとひっかかっていた.ゴディバのチョコレートだのミントンだのウェッジウッドだの.でも,僕が最も心惹かれたのは Sherlock Holmes という紅茶だった.側面に a secret Victorian recipe only known to Mrs. Hudson なんて書いてあって,ウソこけ!と思うんだけど(toschはウソくさいなあと言っていた.ウソくさいんじゃなくてウソなんだよ)でも,欲しかった.だが,まあ,ロンドンに着いてまだ2日目なんだし,土産を買うには早かろうと,ANAのツアーデスクに行く.

これまたずいぶん奥まったところにあった.ディナークルーズ料金の支払いをカードで済ます.今ではあまり見かけない,手動式の請求書作成機だった.この機会を逃すかと Virgin Record の位置を訊いた.tosch はロイヤル・アカデミーでカラバッチョ展をやってるのかと訊いたりしていた.カラバッチョって誰だろーなー.イタリア人かなー(帰ってから母に訊いてみたら「食べ物かい?」と訊き返された.いや,絵描きらしいよ).持っていた地図に印を入れてもらおうと見せたところ,ミキ・トラベルさんのお客さんですかと言われた.気になるものだろうか.

それから,Virgin Record に行ってみたが,タワレコのほうが CDの量が多そうだったので,そっちに戻って European Jazz Trio を訊いてみる.が,発音が悪いのか,分かってもらえず,最後には書かされた(苦笑).検索もしてくれたけど,在庫なし.はぁ.ちょっと古いからだめかなとは思ってたけどね.

そして悪夢がやってくる

15時が近くなったので,慌ててアフタヌーンティを予約したホテルへ.Le Meridien Piccadilly の Oak Room がそれだ.サヴォイだと勘違いしていたので,ちょっぴりがっかりしたものだが,このホテルも高い天井の最高級ホテルだった.なんせ,1泊£295〜(シングル)だ.ちょっぴりおびえながら入る.いつの時代だろうと思うような服装のドアマンのおじさんに Good Afternoon と迎えられ,おっかなびっくり Oak Room と思しきところでバウチャーを差し出す.そこからはもう Two Ladies扱いで案内され,ピアノの生演奏のあるティールームに着席.ピアノ演奏はちょっとぎこちなかった.

最初にお茶の注文を聞かれるのだが,tosch の周りにはてなマークが飛んでいるのが見て取れて笑ってしまった.いや,アールグレー,ブレックファスト,ラプサンスーションなどなどをお兄さんが列挙していたのだが,茶葉に詳しくない(のだろう)tosch には聞き取れなかったようなのだ.ので,通訳してやる.僕は Earl Grey を頼んだ.
tosch「いきなりブレックファストって言うから,なんで朝食が〜って思ったんだよ」

しばらくたって大皿にきれいに並べられたサンドイッチが来る.それと特大ポットが2つ.僕らは絶句した.サーブした人が居なくなってしまうと tosch が口を開いた.
「ティバッグだね」
ティバッグだった.ティバッグが各ポットに2つ入っていた.がっくり来た.気を取り直してサンドイッチをぱくつきながらいつものように絵葉書を書いた.サンドイッチはおいしかったのだが,1つ閉口したことがある.それはキュウリがつぶしてあったことだ.キュウリ好きの僕でさえ閉口したんだ,キュウリが嫌いな人だったらどうなっただろう.

サンドイッチが終わった頃にスコーンが2つずつきた.こんなにどうするんだろうと思うほどのバターとジャムの小瓶が2つ一緒に来た.
「かわいいね」
と tosch と言っていたのだが,とうとう持って帰っていいかと訊いてみた.かまわないということだったので1つずつジャムをもらってきた.

ところで,このスコーンから苦行が始まったように思う.何が悪かったのか,舌はおいしいと感じているのに,飲み込むと吐き気がするのだ.指先から脂汗が浮かんでくるのが分かる.マズい,と僕は思った.お手洗いに行ってみた.物は食えないので,ごまかすようにいままで撮ってきたデジカメ写真を tosch に見せていると係の人がやってきて撮りましょうか,と訊いた.あいまいな笑みを浮かべて断った.まだ小さなケーキがサーブされるはずだったんだが,もうおなかいっぱいですと断って(子供っぽい言い方の英語だとは分かっていたのだが,他の言い方を考えている余裕は無かった),そそくさと出てきた(それでも16時過ぎまで居た).この点については底なしの胃袋を持っている tosch に悪いことしたと思っている.でも,僕はアレ以上,あそこに居ることはできなかったのだ.

National Gallery は Real 3D Dungeon

ネルソン像と謎のオブジェ
ネルソン像と謎のオブジェ
ネルソンさんはトラファルガーの海戦でナポレオンを破った人.そう,「England expects everyman to do his duty.」で有名なあの提督だ.イギリス艦隊は勝利を収めるが,ネルソンさんはこの戦いで戦死する.
トラファルガースクウェア
トラファルガースクウェア
真中の柱の上にネルソンさんが立っている.…不必要に高い柱という意味がわかってもらえると思う.柱の根元に四方を向いてライオンが居る.このライオンが三越のライオンのモデルだと聞いたことがある.

外の空気を吸ったらちょっと気分がよくなったような気がした.そこで,National Gallery に行くことにする.最寄駅は Charing Cross だったが,近そうだったので歩いていった.Haymerket を南下して Pall Mall を右に向かえば Trafalgar Square はすぐそこだ.ネルソン像が不必要に高い柱の上に立っているので,見通しがきけばどこからでも見える.16:35ごろ,Trafalgar Square 着.広場は大きなものだった.本に木が生えた謎の像があった.何らかの寓意があるんだろう.

National Gallery は Trafalgar Square に面していて,大きな建物だった.が,大英博物館だの立ち並ぶ道庁もどきだのに感覚が麻痺してきて,それほど圧迫感は感じなかった.そう,ロンドンは建物がやたらでかい.地震なんて物の存在は考えてないに違いない.

中へ入ってみてウヘェと思った.同じような部屋がいくつもいくつも並んでいて,どこから入ってきたんだかさっぱり分からなくなる.僕,Wizardry 好きだけれどもね,アレ,自分で実際にダンジョンに潜ることはできねーなーと思った.一発で迷うに決まってる.絵はね,知らない人のばっかりだったよ.toschが「○○だ〜」と言ってる横で「ふーん,知らないなー」を繰り返してた.牛の絵があったので「ねぇ,見てみて牛が居る」と言ったら,tosch がなぜかウケていた.なんと言う人の絵だったかは覚えてない.それをニコニコと眺めている係員のおっちゃんはとてもフレンドリーで話し掛けられた.tosch は「時間が無くて,じっくり見られないのがもったいない」と言ってたけど,僕にはさっぱり分からない感覚で,何だか感心した.


夕闇のネルソン像
夕闇のネルソン像
日はとっぷり暮れ果てて

結局,ナショナル・ギャラリーには閉館時間まで居た.もっとも,出口が分からなくなって,閉館時刻になって出て行く人々について行ってやっと出られたというのも理由ではあるんだが.人々を追い立てた係員(数十人は居たと思う)の人々が出入り口正面の階段にワーッと集まってきててびびった.その中に例のフレンドリーなおっちゃんがいて手を振ってくれた.振り返したら,おっちゃんの周りに居る数人も手を振ってくれた.大変ほほえましく嬉しかった.時刻は18時である.

いい気分でトラファルガーをざっと見回し,近くの角にあった WYNNE(だと思う.少なくともカードの領収書にはそう書いてある)という店で,ロンドンのもうちょっと詳しい地図(有名な A to Z というヤツだ)と折り畳み傘を買った.地図はリング綴じの小さいやつで,必要なとこを開いたままポケットに入れておけるのが便利.傘はねぇ,ロンドンの天気を見誤ってたんだよね.にわか雨ってパラパラ程度を想定してて,傘無しでいけると思ってたワケ.でも,2,3時間おきにザーザー降るんだもん,コリャやってられない.そんなわけで£3.45の地図と£5.99の傘をゲット.傘,高いんだよなぁ.


スコットランドヤード再び

ところで,そこからトコトコと WHITE HALL を南へ歩いていったら,Great Scotlnad Yard という横道を見つけた.あ,あれ?さっそく買ったばかりの地図を取り出してみたら,近くに Old New Scotland Yard という建物があることに気づいた.ピンと来た.New Scotland Yard は移転したのでは? 僕が探している建物は Old New Scotland Yard なんでは?

そこで,そのまま南下して Westminster駅近く.Thames川沿いにある Old New Scotland Yardへ(ややこしい名前だ).川沿いにざっと歩いてみると,何だか,見覚えのある赤レンガの建物が確かにある.しかし,どこもかしこも道庁みたいな建物なので,確信が持てない.だが,ちょっと歩を進めてみたところ,police とかかれた街灯を発見.さらに Headquarter と書かれている建物とつながっていることも分かった.まあ,間違いなかろうとデジカメで撮ってみたが,時刻は19時15分,暗くてうまく写らなかった.

さらに裏に回ってみてどこかにはっきりと New Scotland Yard と書いてないかと探したのだが,そんなものは無い.暗い路地から出てきたところ,突然,ワーッと陽気なお兄さん集団3,4人ばかりに囲まれた.Take a picture, take a picture! と言っていたので,写真をとってほしいのかと一瞬思ったのだが,カメラを持っている人が別にいて,そちらを向いたとたん,まわりを取り囲むお兄さんたちがポーズを取り,パシャリとシャッターが切られた.次の瞬間,ワーッと去って行くお兄さんたち.僕らと,一人素面らしい人が残された.その人が「おい,ちょっと待て,このスットコドッコイ!」らしきことを(多分)叫んで,呼び止めたときには集団はすでに遠ざかっている.かわいそうなお兄さんは僕らに向かって「ゴメンネ」と言いたげに肩をすくめ,慌てて仲間を追いかけていった.あまりにワケが分からないので持ち物を確認してみたけど,やっぱりどう調べても盗られた物はないし.やっぱり,飲みすぎて羽目をはずしたアメリカ人あたりだったのではないかと思う.どこにでも居るもんだね,面倒を見させられちゃう人って.後日,写真を現像してみて「この東洋人の子,誰だっけ?」「知るか!! おまえらが勝手に取り囲んで撮ったんだろうが!俺がどんなに恥ずかしかったか!」と言っているのが思い浮かんだ.

気を取り直して,すぐそばの Ministry of Defence の前をウロついている(ひどい言い方だ)デカいおまわりさんに Old New Scotland Yard を聞いてみると,もっと北を指差された.で,歩いてみたけど,やっぱりおかしい.いいかげん疲れたので帰ることにした.Westminster 駅から District線で West Bromptonへ.

コンボンワ

West Bromptonで降りて,いったんホテルに帰り,荷物を置いた.tosch にはずっと TV の番組表を持たせてしまったのだが,とても邪魔だったようだ.悪いことした.ホテルの前の通り(Old Brompton Road)にはいくつか食べられそうなところがある.とあるレストランの前で窓に張ってあるメニューを眺めていたら,中から人が出てきて「コンボンワ」と声をかけた.一瞬,分からなかったのだが,次の瞬間理解してニヤッと笑って「こんばんは」と返した.すると,いともニコヤカに
「あ〜,やっぱり日本人だったね?トルコって知ってる?トルコ料理の店なんだよ.良かったらどう?」
大変気持ちの良い応対だったので,ここで食べることにする.ケバブの店らしいのだ.わざわざ実物を見せて説明しながら注文を取ってくれた.他に客が居なかったせいもあろうが.しきりに「こんばんは」の練習をしていた.母音の発音が難しいらしい.大して僕はトルコ語なんて知らない.トルコの人で知っているのはスレイマンI世とケマル・アタチュルク(ケマル・パシャ)ぐらいであるし,知ってるトルコの音楽は「ジェッディン・デデン」がすべて.あとは…とても濃いコーヒーを飲むらしいってことかな.

ところで,僕の胃の状態は最悪だった.物を口に入れると吐き気がするのだ.本日のスープというヤツはヨーグルトの暖めたのにミントの入ったスープで,たしかにうぇ〜と思いはしたのだが,通常の状態だったら残したりしなかったろう.だが,ほとんど残さざるをえなかった.ヨーグルトというからすっとするかなと思ったのだが,甘かった.調子のよろしくない僕を見て,tosch の野郎,「また腰痛いの?」と呆れたような声を出した.コンチクショウと思い,反論した.なんでコイツは大丈夫なんだ.世の中理不尽だ,などと大げさに思ってみたりもした.が,どう考えてもこっちが軟弱なのである.

ケバブのほうは1皿をシェアしたので,無理そうな量は tosch に食べてもらった.対応が良かっただけに,大変申し訳なかった.チップをもっとはずんでもいいと後で考えると思えたのだが,なんせ,僕はそんなことを思いつくような状態でなかった.tosch が食べ物を片付けるのを見ながら,吐かずに縦になっているのが精一杯だったのだ.

ホテルに帰ってデジカメ写真の整理と充電器のセットをして風呂にも入らずに(そんな状態でなかった)横になった.

旅の始めだというのに先が思いやられる.12日のディナークルーズ無理かもしれん.せめてもの救いはコレがフリープランのパック旅行であるということだ.

2001年3月11日[1]>>



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