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テートのターナー

Westminster から District線で Victoriaへ,そこから Victoria線で Pimlico へ.ちょっと迷ったのだが,川のほう川のほうへと歩いていって Tate Britain にたどり着く.

真っ先にやったことといえば飯を食うことだ.美術館にはカフェとレストランがある.もちろん,僕の状態でレストランはつらいのでカフェに行く.カフェといっても並んでいる商品をレジに持っていくセルフサービス方式だ.£6以上でカードが使えるというので2人分まとめて払う.サンドイッチとジュース.ここ数日こういうもんしか食ってねーなー.

僕はカフェのテーブルで絵葉書を書くことにした.ので,tosch に先に観に行くように勧める.どうせ,僕には絵を愛でる心が欠けているのだから.待ち合わせをして分かれた.

しかし,絵葉書は思ったより早く書けたので tosch を探しに行くことにした.ターナーがどうとか言ってたので,ターナーコレクションの展示室をたどっていくと,すぐ見つけることができた.

ターナーの絵は印象派のようだ.tosch の解説によると,実際,印象派の先駆けといわれる人なのだそうだ.僕の抱いた感想は "緩やかに湧き立つ曇天" だ.陰鬱なわけじゃないけど,光が柔らかくぼんやりしている.

絵だけでなく,ターナーの使ったパレットなんかも展示してあった.

僕はしばしば長いすに正座して休息を取っていた(tosch には「(シルエットが)鏡餅みたい」と言われた)のだが,1時間もたつと「こりゃもちそうにないな」と思うようになった.疲れきってしまった昨日の悪夢がよみがえる.tosch はまだ絵を見たいだろうし,お互いロンドンを歩くのも地下鉄に乗るのも慣れたろうし,ということで別行動を提案した.僕は先に帰っておとなしく絵葉書でも書くつもり.休息入れたら,もう一度出かける元気が出るだろう.そうしたら大英博物館に行ってお土産を買えるだろう.

Tate Britain にも絵葉書がたくさんあったので1枚(p40也)買っておいた.なぜか Tate にはないマグリットのものがたくさんあった.う〜ん,ベルギーに行ったらマグリットの美術館てないのかな.

Tate Britain は National Gallery ほど大きくないけど,よく考えたら日本の美術館と比べると大きい部類だ.感覚が麻痺しちゃってるな.tosch 曰く,
「これぐらいじゃないと疲れちゃうよ」
確かに National Gallery はでかかった.

Tate Britain を後にして外に出てみると,少し気分がよくなった気がした.時刻は15時近く.よし,この間に tosch には興味なさそうな St. Paul あたりを廻ってしまうか.

Pimlico駅に向かう時,少し迷ってしまった.う〜ん,一度通った道を間違えるなんて,あまり考えられんことだ.やっぱ本調子じゃないんだろうな.ささっと行ってささっと帰ろう.

1人 小ミステリーツアー

Pimlico駅から Victoria線で Oxford Circus へ.そこから Central線で St. Paul へ.

もちろん,僕の目的は St. Paul Cathedralではない.行きたいのは St. Bartholomew's Hospital であり,White Heaven's Mansion(にされた建物)である.

始まりの地
始まりの地
St. Bartholomew's Hospital(通称バーツ)の化学・組織病理学研究室(大学のほうじゃないのか?)は『緋色の研究』でホームズとワトソンが初対面した場所。有名な「アフガニスタンからお帰りですね」のプレートがあるという話.見せてもらえるらしいけど,要予約.
白い天国
白い天国
ロンドン・ウィークエンドTV 制作の『Agatha Christie's POILOT』(デヴィッド・スーシェ主演・邦題『名探偵ポワロ』NHKで放送)においてポワロの住む White Heaven's Mansion のロケ地.

まずは Newgate Street をちょっとだけ西へ歩き,すぐに横道の King Edward Street に折れる.そのまま北へ進むと左手にすぐ St. Bartholomew's Hospital が見えてくる.ここは看護婦用の通用門らしい.向かいが血液センターらしく,献血で見慣れた血袋(正式名称はなんだろう)を持った人が出てきてギョッとした.献血というとぼくはいつも「情けは人のためならず」と言う言葉を思い出す.まぁ,いい.僕は正門はどこだろうとそのまま Little Britain を北へ行って,円形広部へ行き,さらに Guiltspur Street を南下してみた.結局,正門がどこだかよく分からなかったので,St. Bartholomew's Hospital と書かれた壁面を撮ってきた.ここでワトソンさんとホームズが出会うのだなぁ.時刻は16時近く.大丈夫,時間はある.

さて,Guiltspur Street を引き返し,円形広場を通って Center Market を通り抜け,Charterhouse Street に出る.そこを東へ行き,これ私道なんじゃないの?と思われるような細い道に入ると,Charterhouse Square だ.

えーと,White Heaven's Mansion はここの北側だったよね,と歩いていく.駐車場についた.建物を眺めてみる.にわかには分からなかった.でも,眺めているうちに「アレなんでは?」という思いが膨らんでくる建物があった.僕がポワロを最後に見たのはずいぶん前だったから,分かるかどうか自信がなかったし,もっと白い建物を創造してたんだけど,このあたりでとなるとあの建物しか考えられなかった.カメラに納めるにはこの駐車場がベストだろう.僕は写真に撮った.16時10分.もっと近づいてみることにした.

その建前の前の道に入るには,ちょっとした門を通らなければならない.江戸時代,町内ごとに設けられた門を思わせた.建物には FLORIN COURT と書いてあった.あとで本で確かめてロケ地はここで間違いないことが分かった.本に記述のあった防犯カメラもちゃんとあった.(『テレビ版名探偵ポワロ』p42参照)

僕はそのままそこを西へ歩いていった.大きな通りに抜けられると思ったのだ.だって,人がどんどんこちらに来るからその逆も可だろうと思ったのだ.ところが,その道はSt. Bartholomew's Medical College へ入る道で,そこから別の道へ通り抜けることができなかった.もしかしたら門がどこかにあるのかもしれないけど.しょうがないので,1周してまたもとのところから出た.


青い鳩
青い鳩

でも,College内の庭で大柄な鳩を見ることができたのでまったくの無駄足でもなかったと思う.日本におけるドバト⇔キジバトという対比でいけば,ロンドンにおけるキジバトだろう.青っぽいからだには模様がなく,白い首輪のような線と頬の後ろぎみのところに真っ青な円形の模様があった.

2001年3月13日[6]>>



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