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足が勝手に!!

College を出ると16:20ごろだった.そろそろ帰らなくては.

来た道を逆にたどって Central Market のところまで行き,そこからは Cowcross Street に入って Farringdon駅から地下鉄に乗るつもりだった.

が,途中,Cowcross Street で本屋を見つけてしまった.ああ!足が勝手に本屋に向かっていく!

「BOOKS etc」というその本屋は割と大きかった.入ってすぐのところにカセット文庫がたくさん並べてあった.有名な『Yes, Prime Minister』があって心惹かれたのだけど,英語劇を聴いて笑える自信がなかったのでやめてしまった.かわりに『Wasp's Nest and Other Stories』を買った.£8.99也.読み手が Hugh Fraser なのに心を惹かれてしまってね…それに,アガサ・クリスティなら日本でも原書が手に入るだろうし.

この本屋にはクリスティやトールキンの写真が壁面を飾っていて,とても嬉しくなった.やっぱり本国なら著名なのだ,トールキン.

クロスワード用辞書があったので驚いた.クロスワードは人気があるようだ.思い返してみると,地下鉄で1つの車両に1人か2人はクロスワードをしている人がいたっけ.

出ようかと思ったけど,ふと,行きの飛行機で「イギリスの旅行ガイドには日本は危険って書いてないのかね」と言っていたのを思い出して探してみた.「日本は安全です」と書いてあってつまらんと思った.もう1冊見てみたら,「日本は安全ですが,混んでいるところでは女性は Chikan と呼ばれる輩にあう可能性があります.チカンというのは,異性の体を触ってくるふてえ野郎です.そんな時,日本人女性は相手の腕をつかんで『チカン!』と叫ぶか場所を移動します」と書いてあった.有名だな,チカン….

Sousui と 或る紳士

地下鉄・新車両
地下鉄・新車両
tosch が言うにはモンドリアン風なのだそうだ.丸みを帯びていてかわいらしいのだが,狭い.
地下鉄・旧車両
地下鉄・旧車両
旧車両のほうが中が広い.形もオーソドックス.これは District線.

僕はやっと本屋を出て,当初予定通り Farringdon駅から地下鉄に乗った.次の駅の King's Cross St. Pancras という長い名前の駅で Piccadilly線に乗り換えたわけだが,そこでおじさんとにらめっこする羽目になった.

地下鉄の車両には新・旧2種類あるらしいのだが,Piccadilly線は狭いほうの車両を使っているから,向かい側の座席との間隔が近い.そのおじさんは僕と同じところから乗って,僕の真正面に座った.ふと目があった.僕はすぐに目をそらすべきなのか迷った.ウロウロと視線をさまよわせてたら怪しく思われるかも.でも,じっと見つめてるのも変だよな.葛藤のすえ,どうにか視線をはずしてしばらくたち,ふとおじさんを見てみると,おじさんはしょざいなげに右手であごのあたりの皮膚を触って,唇を横に伸ばしたり縮めたりしていた.よく伸びるな〜と思ったとたん,僕は突然,笑いの発作に襲われて,しかも笑いが止まらなくなってしまった.さすがに顔を見ながら笑っているのはまずい,と床を見たり上の広告を見たり,大変な苦労をしていたのだが,笑いはおさまらない.肩が震えるのを止められない.まずいよなー,どうおもってるかなー,気づかれてるかなーと過ごすことしばらく,おじさんは Leicester Square あたりで降りていった.僕はそれを眺めてホッとしたのだが,おじさん,降り際に僕を見て「Bye-bye」と言った.とたんに僕は赤くなった.うわ〜,やっぱ気づいてた〜と思いながら僕も「Bye-bye」と言い,そのまま Earl's Court までニヤニヤしていた.

地下鉄話

ホテルに着いたのは17時半ちょっと前ぐらいだ.絵葉書を書いていると,18時過ぎぐらいに tosch が帰ってきた.National Gallery にも行ってきたそうだ.

Sousui「地下鉄に乗ったらね,向かいに50過ぎぐらいのスーツ姿のおじさんが座ったんだよ」
tosch 「もう,おじさんフェチめ」

僕は事の顛末を話した.

tosch「もう,おじさんをかどわかすんじゃありません!」

かどわかすってなんだ,かどわかすって.かどわかしてなんかねーじゃねーか.それを言うなら「たぶらかす」だろう.いや,ちょっと待て,たぶらかしてもねーぞ,おい.

そのあと,話がどう転んだが忘れたが,子供は嫌いだが,子供を見て女の人が微笑んでるのは好きだ,という話になった.

tosch 「もう,屈折してるな〜」
Sousui「そういえばさ,朝,地下鉄に乗ってる時,私の背負い袋のねじねじ(=ひも部分がねじれていたことをさす)を(tosch が)直してたでしょう?あれ見ておねーさんが微笑んでなかった?」
tosch 「うん.――サルのノミ取り(笑)」

確かに,そんな光景だな.

最後の夜

さて,一服したところで大英博物館に向けて Go! だ.

Tottenham Court Road で駅から地上に出たら,見知らぬ若造に「ハーイ,一緒にどっか行かない?」と肩を抱かれた.なんなんだ,いったい!と相手を見たときには人ごみとの中へと消えていくところ.――ロンドン,軟派な街だ.

ケルティック
ケルティック
包み紙もなかなかいい模様だったが、ホントにくしゃくしゃだった。日本人は包みもピンピンじゃないと承知しないけど西洋人はけっこうテキトーというのは本当だったらしい。

もう,今日はお土産を買うぞとしか思っていなかった.もうメソポタミアはあきらめてケルティックに攻めることにした.今日を逃せばもう買う機会はない.明日はロンドン塔に行きたいし.

そこで,絵葉書をを1枚(p50),友人にケルティックなキーホルダー(転用可能だとおもう£6.5),自分にはその倍ぐらいする Letter Opener(£12)を買った(笑).刃の短くなったカッターで苦労してたからさ.

買い物が終わったころにはもはや入場時間は終わってしまっていて,展示室に入れなくなった.でも,3回も来たんだしと£1.5寄付してきた.寄付箱には£2以上って書いてあったんだけど,現金がなかったのだ.よく考えたら260円ぐらいだ.なんてケチな観光客だろう.

最後の夜なんだし,なんかうまいもんでも食べようと日本にいた時は思っていた.まさか胃がこんな状態になるとは思ってなかったものだから.しょうがないので,すごすごと 地下鉄に乗った.

帰りの電車でタバコの臭いをかぎ,それに救いを感じたことに愕然となった.ともかく,それぐらいロンドンの地下鉄の臭いはすごかったのだ.でも,よく考えたら全面禁煙のはず(これは,King's Cross駅で火災が発生し,多数の死傷者が出て以来のことで,この事故のことは NHK でもニュースでやっていたから,僕も覚えている.僕が中学か高校のときだ).おかしいと思いながら吸っている人(若い男だった)を胡散臭げに見つめてみた.窓近くで窓を開けて吸い,その後連れとおぼしき女性の座っているところに戻っていったから,彼なりの遠慮はしていたのだろう(態度でかかったけど).降りたら,toschが
「やめなよー,ガン飛ばすの」
と言った.どうやらハラハラしながらみていたらしい.なんだよ,自分だって日本だったらやるくせに.

まあ,難癖付けられることもなく,West Brompton に着いた.ホテル近くのハンバーガー屋に行った.店員さんは中東系とおぼしき顔立ちで,入っていったとたん,おいしいぞ食べてごらん,とばかりに揚げたてのチキンをくれた.2人でそれをほおばりながら,注文したところ,僕の頼んだベジタリアンバーガーは時間がかかる5分待ってと言われた.待っている間に今度は揚げたてのポテトをもらった.ハフハフ食べながら待った.

いい気分でホテルに帰り,よく分からない Inspector Lynley を見て,その後のニュースを見た.tosch は先に寝てしまった.写真に撮ってやろうと思ったのだが,勘付いたのか(たぶん,偶然だろう)布団に潜ってしまったので撮れなかった.チッ!

2001年3月14日[1]>>



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