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2001年3月14日

ロンドン最後の日

健康的に目を覚ました.いつもどおり朝食をとった.

今日はロンドン最後の日だ(と書くと『ポンペイ最後の日』見たいだな).ツアー案内には13:20ロビー集合 ただし12:00までに各自チェックアウトの手続きを済ませる,とある.冗談じゃない.その1時間デカい荷物を抱えて何をやってろと言うんだ.1時間じゃどこにも行けないぞ.そこで,ホテル案内のほうを見てみると,通常チェックアウトは12時までだけどもっと遅くしたい場合はなるべくご希望に添うようにします,とあった.15時以降になると50%かかるようだが,13時までなら大丈夫.そこで,受付に頼みに行った.
「何時にいたしますか?」
と言われておもわず
「thirteen」
と答えてしまった.24時間制で言ってしまうのはクセだ.だが,ちゃんと
「One o'clock?」
と分かってくれた.Extra chare はかかるのかと念のためにきいたら,
「いや」
と言ったあとあわてて
「つまり延長の分はタダだ」
と言っていた.

これで憂いはなくなった.ちょっとだけ長くウロつけるはずだ.tosch は御土産を買いに三越に行くという.

Sousui「Godiva のチョコレート,いくらだっけ」
tosch 「£10ぐらいじゃなかった?」
Sousui「1箱頼んでいい?」
tosch 「いいよ.いくらまでなら買う?」
Sousui「£10.あ,そうだ.シャーロック・ホームズの付いた紅茶があったでしょ.あれ,いくらでも買ってきて」

とたんに固まってしまった tosch に向かって言い直した.

「いくらであっても1缶買ってきて.――いくらぼくでも買い占める気はないよ」
「いやぁ,Sousuiさんのことだから…」 財力には限界というものがあるのだよ,tosch君.

手元にはパッケージツアーのおまけとしてついてきたカルネがちょうど2枚残っている.行って帰ってきたらちょうどのはずだ.僕は今日はロンドン塔に行くつもりだ.時間があったら Science Museum にも行きたいとおもう.「Star Trek: Federation Science」という特別展があるそうで,魅惑的だ,と思ったのだ.こんなのを国立の施設でやるんだから,イギリスでもスタトレの人気はすごいのだろう.

何もかも荷物を整えて帰ってきたら荷物を放り込んですぐ出られるようにしておき,出かけた.

塔や ないやん

地下鉄の放送が聞き取れない,Mind the gap しか分からんと言っていたのだが,固有名詞が分かってきたからだろう,今日はわりと聞き取ることができた.Mind the gap はもはや地下鉄名物になっている.Mind the gap と書かれた地下鉄マークの入った飴ちゃん売ってるもん.駅で停まるなり「Mind the gap」とばかり言うものだから,イギリスの地下鉄はどこに行っても Mind the Gap駅であるように感じる.

ロンドン塔
ロンドン塔
一部修復中.

そんなことを考えながら揺られ揺られて Tower Hill駅.Tower of Londn はすぐそばだ.しかし…ロンドン塔,塔やないやん.誰だ,塔なんて名付けたの.

塔というより城だった.ノイエバンシュタイン城みたいな優雅なのを思い浮かべてもらっては困る.中世の城ってこんなんだったのだなと思わせる無骨な石造りの城だ.


入場料(£11)はカードで払った.券売所の係員とは窓でしっかりしきられていて,お金のやり取りはくるりと回る台で行う(中華料理の卓が埋まっているようなものだ).カードを乗せると係員がくるりと皿を回し,代わりにサインをする紙が出てくる.料金を確認の上サインしてお皿に載せるとカードが券とともに返ってくる.これで完了.

券を出すところまでにお土産やや両替所がある.半券をちぎってもらうと,なんと手荷物検査があった.例によってショルダーをコートの下にしまいこんでいた私は何も持っていないように見えたので,そのまま通されてしまった.

入ってすぐのところ Middle Tower のあたりにヨーマンウォーダーによるガイドツアーの案内があったけど,出発は9:55だったし,時間がないだろうしと思ってやめておいた.

入ってみてすぐ分かったことは,広い,ということだ.失敗した.2時間程度じゃくまなく見ていられない.インフォメに日本語音声ガイドCD の貸し出しの案内もあったけど,悠長に聞いてはいられないし,現金もなかったのでこれまたやめた.

Water Lane をてくてく歩いて St. Thomas's Tower だのなんだのを現物して歩く.僕は知らなかったのだけど,ロンドン塔は武器庫として機能していたこともあるようだ.武器をきれいに並べる芸術というのがあるそうで,いくつかの部屋で見事な展示があった.そうそう,秀忠がジェームズI に贈った胴丸があったよ.

1羽や ないやん

カラスたち
カラスたち
黒い点々は全部カラス.左にあるケージはカラス小屋.ロンドン塔からカラスがいなくなったら王室は転覆するという予言されたがためにロンドン塔ではカラスの世話係がいる.飼っているカラスは風切り羽が抜いてあって飛べない.ズルじゃん.

一生懸命,いつもの僕に似ず飛ばし飛ばし見てるんだけど,とても全部回る時間はない.とりあえず,カラスだけは!と上を歩いている時に見つけたカラス小屋に急ぐ.エエ,カラスだけのために行きましたとも,ロンドン塔.

途中のお店にケルティックな銀製ブローチが売られていて,これ欲しいなーなんて思いながら出てきたら,日本人女性がビーフィーターのかっこうした等身大クマちゃん人形をカメラで写している.ニヤッとしてたら案の定「写してくれ」と頼まれた.だが,力いっぱい失敗してしまったような気がする.名も知らぬおねーさん,すんません.写しましょうか? と言われたが,丁重にお断りした


カラス小屋
カラス小屋

10時10分,カラス小屋に到着.あのね,僕,塔のてっぺんにカラスが1羽住んでるんだと思ってたの.ところが,ロンドン塔は前述のとおり尖塔ではなかったし,カラスは芝生のわりと大きなゲージに飼われていたの.それも複数.でもって,飼われていないカラスも寄ってきていて,周りに「カラスに注意」という看板があった.

それから,ホワイトタワーに行った.幽閉された著名人の落書きがいっぱいあって,そこに居座っているビーフィーターに頼むと各国語に訳したファイルを貸してくれるようになっていた.

どこにでもいるマッチ棒さん
どこにでもいるマッチ棒さん
そういえば,ロンドン名物ビーフィーターを写すのをすっかり忘れてた.Beefeater は Yeoman Warder の愛称で,ロンドン塔の看守.酒好きなら 英国製のジン Beefeater というのを知ってるかもしれません.その酒瓶のラベルに Beefeater のおじさんの絵が描いてあります.

ホワイトタワーからクラウンジュエル側に出ると,ひゃー,ここにもマッチ棒さんが!どこにでもいるんだなぁ.ちょうど11時で交代をしていた.実はこのクラウン・ジュエルが大きな目玉だったらしいんだが(世界一デカいダイヤがあるとか),僕はそんなこと知らなかった.僕がロンドン塔に来たのはひとえにカラスのためだったからだ.そんなわけで,時間もないしとばかりにそこは見なかった.かわりにビーフィーターのおっちゃんに疑問をぶつけてみた.
「あの〜,あそこにいる人だけど」
「ありゃ Guard(=近衛兵)だよ」
「灰色の服着てるけど,絵葉書じゃ赤かった」
「ああ,そりゃ夏服だよ.7月から8月は赤いんだ」
そんな!その2ヶ月だけの服装が世界的認識になってんのって詐欺だ!
「おっちゃんの服の印はやっぱエリザベス2世のことなの?」
「うん」
「で,王様が変わったら?」
「変わるよ」
う〜ん,チャールズになったらどんな印になるのかな.それにチャールズって何世になるの? 訊いてくりゃよかった.

2001年3月14日[2]>>



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