ドイツ名詩選(岩波文庫)(生野幸吉・檜山哲彦 編)

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ドイツ名詩選(岩波文庫)

ドイツ語の詩を読みたくなって,原文対訳のものを探して見つけた一品.

これはかなり良い.クロプシュトック,ゲーテといったあたりからツェランなどの現代詩まである.CD版があると知り,聞いてみたいと思ったものの,未聴である.

原文だけでは意味を取れない身としては,訳文の善し悪しが印象を左右するが,訳も良いと思う.どちらかと言えば生野さんの訳の方が好みの物が多いかな.

印象に残ったのは,『死に果てし とひとの言う(ゲオルゲ)』『救われた者たちの合唱(ザックス)』『痕跡を消せ(ブレヒト)』『都会人のための夜の処方箋(ケストナー)』『おまえの傷の中に恢復せよ(ツェラン)』等.

ことに,ツェランの詩が鋭くのしかかる.調べてみたら,彼は強制収容所で両親を亡くしているのだそうだ.ザックスも同じく強制収容所で家族を亡くしている.が,ザックスが悲しみを伴った祈りの言葉のように感じるのだが,ツェランの言葉は怒りを含んでいるように思う.

2005/10 読書開始 - 読了

日時: 2006年5月20日 | 感想 > 本 |

コメント (2)

 ドイツ名詩選、大学時代に読んでたなあ。同じく岩波のイギリス名詩選も。今も手放せない文庫です。
 高3から二十歳にかけて詩を読むのが好きでした。
 ドイツ名詩選は何を目当てに読んだんだったかなあ、ゲーテの「魔王」だったかなあ。
 ボードレールに始まって、ベルトランの「夜のガスパール」、マラルメ、珊瑚集。中国名詩選、etc.……読み耽ってたなあ。耽美、好きだし(笑)。
 厳選された言葉に引き付けられっぱなしです。
 言葉はかくも美しく輝く。
 と、思うんですが。すごいよなあ、詩。

 岩波じゃないけど,高校か中学時代にイギリス詩はいくつか読みました.対訳のヤツ.この本で「対訳」が気に入ったんですね.選集だったので,ウィリアム・ワーズワスとかウォルター・デ・ラ・メアとかバイロンとか定番がいっぱい.でも,忘れちゃったなあ.

 漢詩も中学時代ですね.自分で選集作って手作り本作りたかった.(漢字の打ち込みで挫折)

>ボードレールに始まって
 ああ,そういえば『悪の華』『悪の華』と頻繁に言うとったね.

 おかげで,読んだことはないんだけど,その題名だけ覚えました.近代美術館でルオーの展覧会があって,そっちの『悪の華』を観たのは覚えています.

 あと,ルオーはミゼレーレ.

>言葉はかくも美しく輝く。
 そもそも,今回,発作のように詩を読んでいるのは上田敏の『海潮音』に端を発しています.あれはすごい.

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