(そう)、雨に()いて()ち乱る

「月島、お前は熱があるんだ」

鶴見に断言され、月島は黙り込んだ。

旭川の冬は夕暮れが早い。将校室に呼び出されたのは十五時半だったが、ほどなく空は暗くなり、三つめの報告を済ませた頃には既に夜の様相だった。他の将校は定時で部屋を出て行ったので、今は鶴見と月島二人だけになっている。

会話が途切れると部屋の中は静かで、凍てついた雪が小さな音を立てて窓にぶつかるのが聞こえるほどだった。月島がちらりと窓の方を見ると、窓枠の角に雪が貯まっている。少し逸れた意識を、書類を見ている鶴見の方に戻して、月島は締めくくった。

「――以上になります」

鶴見が「お前は熱がある」と言い出したのは、ちょうどその時だった。

熱があるなどと言われても月島にその自覚は無い。

確かに、昔、熱があることに気がつかずに訓練を続けていたことはある。寝床に入ったらやけに寝台がひんやりして気持ち良く、そう気付いた後でそういえば頭が痛いような気がしてきたものだった。だが、それはまだ一等卒だった頃の話だし、その時だって次の日には何事もなかったように熱は引いていた。

正確に言えば、熱を計ったわけでは無かったので、「あれが熱が出たと言うことだろう」と月島が勝手に思っているだけなのだが。

翻って、今。

頭が痛いか。――否。

関節が痛いか。――否。

悪寒その他の症状。――否。

自分の体調を順に確認し、月島は眉間に皺を作った。

「なんて顔をしてるんだ、お前は」

「いつも通りのつもりですが、何か失礼がありましたか」

月島の答えを聞いて、鶴見が、ここだ、ここ、と自分の眉間を指してみせる。そこに皺を作っている自覚はあったので、月島は右手を上げ人差し指でもぞもぞ自分の眉間の皺を伸ばしてみた。途端に、鶴見が吹き出す。

「指で伸ばすような物なのか」

「......」

手を止め、納得がいかないという表情をありありと浮かべた月島を見て、鶴見はその肩にぽんと手を置いた。

「今日はすぐに部屋に引き取って、早く就寝することだ」

――なるほど。

急に納得が追いついて、月島はひとつ頷いた。

つまりは、用があるから下士室で待機しろと言うことだ。

ロシアとの緊張が高まり、鶴見が秘密裏に動いていた諸々のことは一旦中止と聞いている。だが、その前に何かもう一仕事やっておきたいことがあるのかもしれない。今夜それを伝えるから、熱があることにして他の用務を遮断しろ、ということなのだろう。

「分かりました」

戸口で一礼し将校室を出ると、月島は玉井伍長を探した。そして、今夜は給養班のことは任せると告げて、真っ直ぐ自分の部屋に引き取った。

夕食の膳を二等卒が下げて程なく、同室のもう一人の軍曹がどこかに呼び出されて居なくなり、いよいよこれは密命のために違いない、と月島は机の前にぴしりと座り鶴見が来るのを待っていた。

ただ待っているのは手持ち無沙汰なので、月島は引き出しから書面を引っ張り出した。中隊長の和田から「重要な物かは分からんのだが」と渡され翻訳を頼まれたロシア語の小片だ。

「鶴見にはやることが多くてな。他に適任者がいるかと訊いたらお前を推挙してきたのだ。そういえば、鶴見と一緒にロシアに行っていたのだったか」

つまるところは鶴見から回されたのだ。急がないというので空いた時間にぼつぼつ訳しているが、今のところは当たり障りの無い貿易のための物品売買の記録に見える。

鉛筆を握りしめて文字を書き出してさほど経たないうちに、扉の辺りに人の気配を感じ、月島は顔を上げた。

「二階堂浩平一等卒です」

「二階堂洋平一等卒です」

二階堂?

しかも、二人ともとくる。

月島はほんの少し眉を顰めた。鶴見自身がわざわざ下士室に来ないのは想定の範囲内だが、秘密裏の命を寄越すとしたら、宇佐美か尾形だと思っていたのだ。

逡巡(しゅんじゅん)僅か、月島はすぐに口を開いた。

「入......れ......?」

語尾が上がってしまった。洋平の方――だと月島は直感で思った――がふっかりとした畳んだ布を恭しく抱えていたのだ。

「何だそれは」

褞袍(どてら)です」

そうだとは思った。だが、本当にそうだったか。

「どこから持ってきたのだ」

「軍曹殿に暖かい上着を持って行ったら煙草がもらえると聞いたので」

「俺はどこから持ってきたか聞いたのだ。あと、そのでたらめは誰から聞いた」

「え、嘘なんですか」

「浩平」

後ろからついてきた方に不機嫌な顔を向けると、(たぶん)浩平はピンと背筋を伸ばして見せた。

「鶴見中尉に言われたと聞いたのです」

聞いたのです。......聞いたのです。

「『聞いたのです?』」

三回目の反芻は声になっていた。じっとりそのまま睨むと、浩平は背筋を伸ばしたまま白状した。

「二等卒から聞きました」

三秒ほど考えてから、月島はゆっくり言った。

褞袍(どてら)は二等卒が運んでいたのだな?」

「はい」

ばれた、という表情をありありと見せて、前になっている洋平が頷いた。

「俺に褞袍を持って行けば煙草がもらえるのだとその二等卒から聞いたのだな?」

「はい」

「煙草に釣られて巻き上げたか」

「あー......はい」

溜め息を飲み込んで、月島は(おもむろ)に言ってやった。

「私物は入営の際に全部家に返す。兵営内は軍服しか無い。普通、二等卒は褞袍(どてら)など持っていない。そうだな?」

「そう......なりますか」

「ということは、褞袍を調達したのは鶴見中尉だ」

「はい」

「なら、煙草は鶴見中尉がくださるのだろう」

月島が言ってやると、二階堂兄弟は互いに目配せをしあってから、渋い顔になった。

「ええ? 軍曹殿じゃないんですか?」

洋平が褞袍(どてら)を机の上に置く。月島はそれをちょっと弄りながら気のない調子で答えてやった。

「俺は知らん。欲しければ鶴見中尉に言え」

二階堂が沈黙したのは、将校室――いや、おそらくもう帰っているだろうから私邸の方だ――に、わざわざ煙草をせびりに行くことを想像したからだろう。兵卒にとって将校は基本的に命令を与えるだけの存在だ。わざわざ近づきたい者などあまりいない。下士なら良いのかというところは横に置くとして。

「用はそれだけか」

「はい」

「なら、戻れ」

「はい」

つまらなそうな顔をして背を向けた二人を呼び止める。

「待て。その二等卒は誰だった」

「山村です」

「分かった」

心当たりがあるなら山村には煙草をやってくれと明日にでも中尉に言っておこう。

二人が出て行くと、月島は机の上に置かれた褞袍(どてら)をしげしげと検分しだした。鶴見が寄越したからには、何かあるのかもしれないと思ったのだ。最初は襟にでも命令書が仕込んであるのかと思ったのだが、襟どころか全体を触ってみても紙の手触りは無い。

「着てみれば何か分かるのか?」

軍服の上着を脱いで軍用襦袢の上に羽織ってみる。分厚い綿が入れてある分、上着よりも暖かいと言うだけで、取り立てて何かが仕込んであるようには思えない。

「暗いから分からないのか?」

手元にランプを引き寄せようとした時だった。

「宇佐美上等兵、入ります」

やけに明るい声が外からして、月島が入れという前にもう戸が開いていた。

「なんだその布団は」

「布団じゃありませんよ、()()きです、掻い巻き。ほら、袖の形になっているでしょう?」

宇佐美は机の前で掻い巻きを広げて見せる。

どこから持ってきた、と訊こうとしてやめた。なんとなくだが、どこからでも何でも調達してきそうな要領の良さが宇佐美にはあった。才能と言えば才能だが、問えば聞かなくて良いことまで聞かされそうで、面倒になったのだ。

「軍曹殿に防寒着を渡したら中尉殿手ずからご褒美をくださるとあっちゃ、渡さない手は無いでしょう」

「あー......でまかせだ、それは」

「え、なんなんです、それ。どういうことです、それ」

えらい勢いで詰問してくるので、月島はじっとりと黙って睨み付けた。途端に宇佐美はそつなく言い直した。

「只今の発言はどういう意味でありますか、軍曹殿」

月島は溜め息を飲み込んで言ってやった。

「さっき褞袍(どてら)を置いていった二階堂一等卒二人が、鶴見中尉の命令で来たと言うから、なら鶴見中尉がくれるのだろうと言ったのだ」

途端に宇佐美はあからさまにつまらなそうな顔になったが、手に持った掻い巻きを一瞥すると、つかつかと月島に近づいた。

「立ってください」

「なんだ、おい、着せるな」

「鶴見中尉が褞袍(どてら)を寄越したというなら、防寒着のくだりは本当でしょう。届けた報告ぐらいしてもいいじゃないですか」

宇佐美は、ただ一人の将校に対してだけは隙あらば会いたがる希有な兵卒だ。そうまでして鶴見と会いたいか、と呆れると同時に思い当たった。

絶対こいつはこの嵩張る代物を持って帰るのが面倒になったのだ。

抵抗するのがそれこそ面倒になって、月島は宇佐美に被せられるままに掻い巻きに袖を通した。後で脱げば良いし、少なくとも掛け布団の足しにはなる。

着膨れした状態ですとんと椅子に座ると、元から狭かった机の下に足が入れにくくなった。

外から「尾形上等兵です」と温度の低い声がかかったのはその時だった。

「今度はお前か」

そして、どうしてこいつらは皆予想の付かない物を持ってくるのだ。

「はは、猫が猫を持ってきた」

宇佐美を睨み付けた尾形は、一匹のトラ猫を胸に抱えていた。

「その猫は何なのだ」

頭が痛くなってきたが一応問うと、

「月島軍曹殿にあたたかい物を渡さないと演習が長くなる、自分より前の者が渡した物は無効、と」

だんだん伝言が複雑になってきている。

「誰に聞いたのだ、それ......いや、言わなくて良い」

尾形の背後で宇佐美が自分の顔を指さして手を挙げたので、月島は面倒になって言葉を止めた。部屋の中で二人に喧嘩を始められると厄介だ。止めるにしても、褞袍(どてら)の上に掻い巻きを被せられて動きづらいうえ、暖かいを通り越して暑くなってきている。

「どうぞ」

「おい、待て、押し込むな。猫が潰れるだろう」

尾形は表情も変えずに掻い巻きの(あわせ)から猫を押し込む。猫はうなうな言ってしばらく抵抗していたのだが、月島の太ももの上に足が着くと、そこに空間を作って落ち着いてしまったらしい。掻い巻きの中なので見えてはいないが、腰を落ち着けて丸くなっているのを感じる。

「温かいですか」

「......温かい」

しぶしぶ月島は答えた。間違いなく猫は温かかった。重くはあったが。

「では、俺は条件を満たしましたので」

条件とはなんだと言いかけて宇佐美と目が合い、睨み付ける。宇佐美は気づかなかったふりをして、にっこりと笑みを浮かべた。

「じゃあ、僕はこれで失礼します」

「失礼します、軍曹殿」

覇気無く尾形も言い、二人の上等兵は出て行った。

仲良く、とは言い難い二人だ。廊下で小競り合いを始めないと良いがと月島は首を振った。あの二人の喧嘩は余人では止められないと知ってはいたが、

――今日はもう俺は知らん。

投げ遣りに思ったところで、月島ははたと疑問を覚えた。あの二人が命令を持って来なかったとなると、鶴見自身が命じに来るか、あるいはここでは具体的指示を出さずに使いを寄越すかどちらかだ。

「外出になるならこんな格好はしておれんな」

なんとはなしに掻い巻きの中の猫を撫でながら考えていると、重い足音が近づいてきた。

「月島軍曹殿、谷垣一等卒です」

薄々、嫌な予感を覚えながら、月島は戸に向かって言った。

「入れ」

「失礼いたします」

予感があたって、月島はとうとう溜め息を()いた。

「谷垣、お前もか」

言われて谷垣は、外套と思しき物を持ったままぱちくりと一つ瞬いた。それでも座っている月島に歩み寄り、

「外套が必要と伺いましたので、お持ちしました」

暗くて定かで無いが、外套は茶褐色をしているようだった。生地は粗めの羅紗地で襟には毛皮が付いている。しかし、だ。

大きい。ずいぶんと大きい。

嫌がらせかと他の兵卒なら思うところだが、この大柄な男は朴訥としていて、そんなことをするような人間ではない。実際、谷垣は申し訳なさそうに眉を下げている。

「縫工場で作っている新しい防寒外套だそうなのですが、大きさが一つしか無いそうです」

月島が手を出すと、谷垣はその手に外套を載せた。

「誰でも着られるようにと大きく作ってあって、自分でも袖が余ります」

谷垣で袖が余るなら、自分などかなり持て余す。ただ、谷垣は掻い巻きを被せられて猫を腹に入れて着膨れもいいところな月島を見て、何故かほっとしたように頷いた。

「これだけ大きければその上から着られますね」

月島は黙ったままゆっくり瞬きをした。

――なぜその発想に辿り着く。

もう考えるのが嫌になってきて、月島は黙って外套を検分した。前立ては二重になるようになっていて、日清戦役の頃の毛布地・一重の外套よりも風が入りにくそうではあった。引っ繰り返してみると要所に裏地も付けてある。

「着ればいいのか、これは」

「手伝います」

手伝わなくて良いから持って帰れという台詞がちらりと頭を過ったが、困惑させるのも目に見えていたので、月島はされるがままに着せられてやることにした。いったん猫を外に出すと、谷垣が目を丸くして猫と月島を見比べる。猫の方は不満だったらしく、たいへんな勢いで鳴いている。

立ち上がって、着せてくれ、と言うと、谷垣は気を取り直して外套を着せてくれた。手が全く出ないので、半分ほど折り曲げる。机の上の猫が懐に入りたがるのをみて、谷垣はそれも丁寧に押し込んだ。

「胴の太さはちょうどいいですね」

谷垣はうんうんと頷いて、失礼いたしました、と出て行った。

掻い巻きを着てちょうどよくなる外套など、外套の意味があるのか。

もうすぐ就寝喇叭がなるだろうという頃合いになっても、鶴見は来ないし伝令も来ない。もこもことした袖口からどうにか手を出し、書類を見詰める。猫はご満悦で膝の上でごろごろ言っているが、翻訳はさっきからちっとも捗らず、月島は何度も同じ場所を読み直している。

遠く靴音が近づいて来るのを聞きつけて、月島は鉛筆を置いて扉を見詰めた。やっと来たのかと思ったのだが。

「月島軍曹、どうだ、具合......なんだ、その格好は」

「和田大尉殿!」

予想だにしなかった人物が入ってきて、月島は慌てて立ち上がろうとしたのだが、ぶくぶくに着膨れしていて、褞袍(どてら)はともかく掻い巻きと防寒外套の裾でもつれて無様によろけて机にぶつかった。突然膝から落とされた猫が、脛の辺りに引っかかって抗議の鳴き声を上げ、椅子は音を立てて派手に後ろにひっくり返る。慌てて椅子を立て、猫を床に降ろし――冷たかったのか、猫は断固として掻い巻きの裾から外に出ようとしない――と無様を晒していると、和田は、いい、いい、と月島を落ち着かせて自分の方に向かせた。

「これは酷そうだな、月島軍曹」

「酷い、とは......?」

全く何のことか分からず訊き返すと、

「熱だ、熱」

「は?」

上官に向けるような返事ではなかったが、そんな声しか出てこない。和田は少々咎めるような調子で言った。

「なんで仕事をしているのだ。頼んだ私が言うのもなんだが、そこまで急ぐようなものでもない」

そこで和田は言葉を切った。

「――何だ、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして」

「私は熱があるのですか」

呆然として月島が言うと、

「何を言っているのだ、お前は」

和田の方が呆れかえって首を振った。

「そんな熱っぽい潤んだ目をしておいて。だいたい鶴見にも言われたのだろう」

怪訝な顔をした和田が手を伸ばし、その手が自分の額に触れるのを避けられもせずに――上官のすることだ、避けるわけにもいかなかっただろうが――いると、月島に触れた和田がやれやれと首を振った。

「お前、これはだいぶ高いぞ。流行病(はやりやまい)という訳ではあるまいな。医官には診てもらったのか」

「いえ、診てもらっていません......」

「診てもらえ。この情勢で病気が流行って兵が使えないなど、あってはならん。だから鶴見もとっとと休んでとっとと治せと言ったのだろうに、何でこんな時刻まで書類を睨んでおるのだ、お前は」

和田は人を揶揄(からか)うような人間では無いし、細かい小言は多いもののどちらかと言えば実直な人物だ。和田が熱があるというのなら、本当に自分は熱があるのだろう。

「......申し訳ありません」

急に具合が悪くなってきたような気がして、月島は足から力が抜けて椅子に座り込んだ。

「だから言ったじゃないか。熱があるから高くならないうちに早く休めと」

翌朝やって来た鶴見は、月島の寝台の(そば)に立って、困った奴だと言いたげに首を振った。

「申し訳ありません......」

さすがに、上官に対して「信じていなかった」などとは言えず、月島は殊勝な調子で謝った。その声も今やかすかすと掠れており、呟くような小声である。

「鬼の霍乱だなあ」

なぜか鶴見は楽しげだ。結局のところ、自分が信じなかったのは鶴見にこういう面があるからなのだが。

「面目ありません......」

何か考えるのも億劫になって、月島はひたすらぼそぼそと謝った。そんな月島を見ていた鶴見の笑みが心なしか優しげになった。

「まあ、お前はすぐに治ってしまいそうだがな」

それから月島にかけられた毛布と掛け布団とを引っ張り上げると、肩口辺りをポンポンと軽く整えた。

「ゆっくり休め、月島」

はい、と言えたかどうか、とろとろと眠りに引き込まれていた月島には定かで無かった。

猫は兵営のネズミ捕り係として重宝されました.

高校生の時なのですが,保健室に放り込まれて先生に「熱があるなら学校に出てくるな」と怒られて,そんなわけあるかと思いながら熱計ったら38度あったことがあって,丈夫な人間は分からない時は分からんのです.(今はさすがにそんな体力は無い)

原作のサーカスの話で,「なんで俺が下なんだ」と言いながら,桶置かれてるところが好きで,位は上なのに時々部下(?)に無抵抗だなあと思っています.描写的に避けただけかもしれないけど,部下をぶん殴って従わせていること無いんだよね.真正面から上官の顔面ぶん殴ったことはあるけど.

前に定時ってこの頃何時なんだろうと思って調べたら,どこかに16時と書いてあったのを見つけて,まじか~と思いながらそんなつもりで書いています.いつまでかは分からないけど,昔は燃料とか燃料の輸送手段(とその費用)を考えると,日が昇る頃に活動始めて日が沈むと同時に活動を終えなくちゃ燃料の方が足りなかったんじゃないかなあと想像しています.

資料:書籍

『写真集 日本軍服大図鑑 明治編』(平山晋・著/国書刊行会/2018.12)
日露戦争期の陸軍防寒外套(30巻裏表紙で月島が着ているアレ)の写真が載っています.全体の寸法は誰でも着ることができる大寸の一種類当時の普通の兵隊では袖口をかなり上まで折り返さなければ着用できませんという説明を見て,月島ァ!!と思いました.たぶん,人の形に見えない状態になる.