私のメグレとの出会いは中学校の頃で、そのとき読んだのは『ある男の首』だった.推理小説と言うより、哀愁漂うパリの町を描写した小説だった.からりと晴れた麗しいパリではなくて、何か薄暗く物悲しいパリだった.
メグレのシリーズはかなり多い.100余りの作品あることを考えると、私はほとんど読んでいないことになる.メグレは「警視」であった期間が一番長いようだが、最初は「警部」だったし、もっと若いころの話や退職後の話もある.そのうち読破したい.
メグレと部下たちとの交流がシリーズを魅力的にしていると思う.ベテランを感じさせるリュカ,職務に忠実で家族思いのジャンビエ,駆け出しのラポワント,ワーカホリック気味の鑑識官ムルス.
人物の描写、人物を取り巻くパリの空気の描写がシリーズの魅力だと思う.
ここは基本的に感想文をネタばれしないように書き散らしただけなので、読んでない人にはさっぱりなんのことやら…だと思う.けれど、もし興味を持ったら図書館に行くなりなんなりして1冊2冊読んでみてほしい.
⇒ こんな人にお薦め.
シムノンの非メグレ物のうち、メグレ物と世界観を同じうする作品(つまり、メグレ物に出てくる部下なんかが出てくる話)の紹介.
メグレ物についてのエッセイなどの記述がある本の紹介.
メグレ関連の話題,作品リストなどがあって便利.原文(フランス語)の言い回しや、フランスの習慣についても紹介してあるのでフランス語を勉強している人にもお奨め.
主要登場人物の紹介,いくつかの事件の概要などがあります.
邦訳文献のリスト有り.いくつかは,表紙画像もあります.事件の舞台になるパリの写真も豊富にあります.
五月のある日の午後、デルフゼイルに到着したとき、メグレは、このオランダ北端にある小都会へ自分を呼び寄せた事件の、ごくあらまししか知っていなかった。
(『オランダの犯罪』宋左近:訳)
(小説としての)メグレ誕生の地がオランダはフローニンゲンのデルフザイルでのことだったことは,メグレ本にたびたび紹介されています.『TRANKIEL』はかのフローニンゲンを紹介しているサイトです.特集記事『メグレの誕生』はたいへん読み応えがあり,なんだかデルフザイルに行きたくなってしまいました.